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絞められたこころ

その人は隠していた。
なにごともなかったかのように
 大好きな人のことを話した。

いつも助けてくれた。
何があっても
かばってくれた。 

そばにいると安心した。

ヒーローだと思っていた。
大好きだった。

そう、話す彼女の目は、
ずっと私を窺っていた。

大好きだったから
怖いんだね。

そう伝えると、涙を流した。
俯いて、言葉を吐いた。

大好きなその人に、
絞められた首が、
今でも自分を苦しめる。

思いあたることが
浮かばないまま、
お前のせいだと呟かれた。

湧いているのは、
恐怖か、悔恨か。

驚愕と絶望の中で、
それでもまだ、
慕情は続く。

離すことができない
黒く重い感情を
押しつけてきたその人は

夏の終わりに
一人で命を止めた。

彼女の中に
いらぬ跡だけ残して。 


 ・・・ あぁ。重い…。
先週のカウンセリングで
私に見えた世界。  


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