見出し画像

フォトウォークのファッションのなぞ

11年前に亡くなった父は、晩年カメラオタクだった。
ニコンにすっかりハマって、たくさんレンズやボディーを揃え、何を取るのかわからないような、ペットボトルよりも大きいめちゃくちゃでかい望遠レンズを買っていた。
家には、防湿庫が2つあって、何やらぎっしり入っていた。私たち家族にとってあれは湿度を防ぐものであると言うことを、父が亡くなってから知った。それまで冷蔵庫だと思っていたからだ。


今日も元気にしてくれるだろう、京都の街

父がカメラにはまったのは70代になってからだったと思う。約10年間のカメラマニア生活をした支えしたのは、私たち家族だった。父は、ドライバーになれといつも要望されていたからだ。
幸い、私は車の運転が得意だったので、日帰りができる範囲の旅行や、たまに私の出張先に(富山県とか福岡とか…)わざわざJRでやってきて、帰りを、岐阜とか、飛騨高山とかいろんなところに連れて行けと言っては写真を撮っていた。

その頃、私は全く興味がなく、まして、父がわけのわからない写真を、ただただ暇つぶしに撮っているだろうとしか思ってなかったことや、多趣味すぎて家が貧乏で、私の進学に必要な学費が出せないといわれて人生に挫折したころ、豪華なゴルフセットを買って海外へゴルフ旅行に出ていた父だった。
そんな父を恨む気持ちもあり、ぜったい写真に興味を持ってやるもんかとさえ思っていた。だから、父が亡くなった後、私たち家族は父が持っていたカメラや防湿庫、レンズその他もろもろ、常連だったカメラショップへ持っていき、中古で引き取ってもらった。確か70万か80万だったか。ちゃんとメルカリに出せばもう少しいい金額になってたかもしれないけれど、私たち家族にとってそんなことには全く興味がなかった。もったいない。

何の話だ…汗


父のカメラ生活にあまり興味はなかったものの、1つだけ興味があったのが、父のカメラファッションだ。ポケットがいっぱい付いている、ベストのようなジャケットのような。

あれは何?

家族の間で持ちきりだった。何かポケットに入れるんだろう、確か若い頃釣りにハマっていた父が、あんなポケットだらけのジャケットというか、ベストを着て、夜譲りに出かけて行っていた。

どうしてあんなにポケットに入れるものがあるんだろう?
どのポケットに入れたか覚えてるんだろうか?
そもそも、そんな小物がいっぱいあるようなカメラってめんどくさくないか?
一まとめにしてバッグでいいんじゃないのか?

とか。
その世界のことを全く知らない私は、どうでもいい妄想と、どうでもいい批判をしていた。

それが今、カメラ好きになって、やっとあのおじさんベストの意味がわかった。
いや、ポケットいるわ。
バッグじゃだめだよ。
キャップや、交換するレンズや、あれやこれや。


以来、フォトウォークに出かける時は、さすがにおじさんベストは着られないので、スカートやパンツ、ジャケットにポケットがある服を選ぶ。スマホも頻繁に使うけれど、両手がふさがっていて3本目の手が欲しいと思う位なので、ストラップをつけて首から下げる。バッグもリュックにしていたけれど、斜めがけの方が便利が良いことがわかった。

みんなどうしてるんだろう?
フォトウォークのときのファッション。

機能性重視で、なぜかいつも黒か紺か、たまにネイビー、頻繁に出てくる迷彩柄、これが定番。全然おしゃれじゃない。これだけカメラ女子が増えたのに、もう少しセンス良くなっても良いはずだ。


ほのぼの風景が
おちつく

とは言え、カメラ好き歴まだ日が浅いので、立派な事はまだまだ言えない。もう少し苦労してから、これがいいよ、こういうファッションにしようよ、こういうポケットだらけのジャケットがいいよなんて、提案ができたらいいな。

そういえば、父が撮っていた写真数枚をアルバムで見つけた。ちゃんと現像してプリントしているではないか!ひとりよがりではなく、いい一枚がとれてるってことがわかった。亡くなってからようやく父と対等に話ができる気分なのも、なんだかうれしい。私の教育より、ゴルフバッグを買って海外に行った父の楽しみ優先っていう主義もいまなら笑える。いい人生だったんじゃないか?

っていいながら、おじさんベストからはじまるファッションを考えるのもいいけれど、撮りたい1枚に出会えることがなにより楽しいけどね♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?