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2023年11月13日 | シャンデリア

日曜日。彼と一緒に注文していたお気に入りのパンを受け取るためにカフェに向かい、ついでにお茶をした。

隣の部屋では古道具の販売が行われていたので、少し覗いてみた。雫のような形をしたガラスを見つけた彼が、「綺麗だね」と言って私に見せてくれた。それは上部に金具がついていて、何かに引っ掛けることができる作りだった。何に使われていたのかはわからなかったが、うつくしかったので「電気の紐につけてみようか?」と提案すると、彼はすぐに会計を済ませた。

商品を包みながら、スタッフさんからそのガラスはシャンデリアの一部だと教えてもらった。

空のカップを前にして、二時間ほどを過ごしただろうか。最近ではふたりで未来について話すことが多くなった。不安と期待が行ったり来たりする会話は、船の上で波に揺られているような感覚なる。このまま何も変わらず穏やかに過ごすのが良いのかもしれないとも思ってしまったりする。結局いつも同じ話をして、どうにかなるのを待っている。

自宅に戻り、手を洗う前に購入したガラスを照明の紐に結びつけた。シャンデリアもこんな形でまた照明に関わることになるとは思ってもみなかっただろうが、天井から雫が落ちるようなその姿はシャンデリアとはまた違って、とても素敵だった。

揺れるガラスを眺めながら、昼間の船旅を思い出す。慎重な彼と私は、描く未来を計画的に、確実に進めすぎているのかもしれない。シャンデリアの一部のように辿り着いた先々で、試行錯誤しながら生きることを楽しむ心も持ち合わせていようと思った。

ひとりではできそうにないことも、ふたりなら大丈夫かもしれないと感じるから、きっと未来は良い感じになるだろう。

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