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イオンディライト(東証1部/9787) 2022/2 Q3決算精査

 イオンディライトの2022年2月期Q3決算が開示されましたので、簡単に内容を確認しておきたいと思います。なお、あくまで個人的見解に基づき記載しておりますので、誤認等もあるかと思います。お気づきの点などございましたら、ぜひツイッターからお気軽にご指摘を頂ければ幸いです。

1.参考記事

 まず、過去の同社関連の記事のうち直近の記事を再掲しておきます。最新の有報調査の記事と前期本決算の精査記事となります。

2.決算概況

 決算表紙のPLですが、増収増益決算となりました。

 Q2の時には2桁営業増益でしたが、今回は1桁増益となっていますのでQ3ではややおとなしめの業績となったと感じます。具体的にはセグメントの状況です。

セグメント別売上
セグメント別利益

 Q2はだいぶ好調だったのですが、コロナ禍の後、段階的に影響が軽減されながら売上、利益が回復してきたところからのQoQで減収減益です。決算説明資料によると、このQ3の3ヶ月でコロナの再拡大に伴い4億の減収要素となったとのことです。

3.セグメント状況

 セグメント別にみると、建設施工と自動販売機の2事業と海外事業が下押し要素になったようです。
 建設施工はQ1にも言及がありましたが「一部工事の遅延」と説明があります。また、自動販売機事業は中身飲料の売上減が影響しているようです。背景として、消費者の購買行動の変化があるようです。
 海外事業に至っては特にネガティブな説明とはなっていません。売上は増収ですが、利益は横ばいとなっており、Q2までの推移から比しても、利益率が下落しています。

4.その他施策

 その他施策については、まずカスタマーサポートセンターの立ち上げが引き続き進捗しているようです。施設数はQ1から95→123→133施設と順調に増えています。当然この施策で省力化が図られる事での効率向上と、その人材を高付加価値事業へシフトさせていくことを企図しているわけですが、これが理想通り上手くいく部分だけではないはずで課題もあるはずです。
 それから気になったのは、トップラインの伸長に対して既存顧客の深耕と新規顧客の獲得活動に手応えがあると上期に総括をされていた中での今回のQoQ減収という点です。これをどう解釈するべきかといったところは気になる所です。

5.IR照会

 IR照会をしました。その内容を元に私の所感でメモとして残しておきます。なお、私の理解に基づき脚色していますので、会社側の公式見解と異なる可能性があります。また私自身が意図せず誤認している可能性もあります。ですので、気になる方はご自身で照会頂くようお願いします。

・海外は中国が好調な一方、ASEAN各地ではコロナ禍の影響が再び大きくなり経済活動への影響がイオンディライト業績にも影響が出た

・エリア管理の指標は施設数/人材流動化共にKPI(24/2期目標)に向けて順調に進捗。一方で省力化を進めていく中では機械化されたシステムを有効に使うための運用やUI等の取り回しにはまだ課題もあるため継続して改善も並行して進めている。現場目線でこれを推し進め、人を機会に変えていくという無機的なものではなく、人とシステムがなしえるモデルを構築し、安全安心をより高めていけるようにしていく

・店舗のリニューアルや現状回復工事など、モール内のテナントの入れ替え等の時に建設施工で工事が入るが、これが遅延している部分がある。その背景は部材の遅れや入居の際の顧客側の投資余力や入居状況等に左右されている部分がある。ついては、予算達成に向けて、環境工事等を掘り起こしを行う事で案件積み上げを行っている。

・自動販売機の売上は、消費者がモール内で過ごす時間が従来と比して短くなっていることや、休憩できるスペースの抑制などもあって、自動販売機が利用される機会というものが減っている側面がある。今後も自社混合機の拡充等台数辺りの収益を重視しながら運営していきたい。

・アカウント営業の活動は既存顧客内シェアを高める等成果があった。一方、コロナ禍の影響が大きい中でイオン外への提案はやや寄り添い方に不足している部分もあった。今回の活動の成果や課題といったものには手応えを感じている部分もあり、今後の営業力強化に向けては一層成果をあげられるようにアカウントマネジャーからの顧客情報やCSCでの施設情報を活用していきたい。

6.さいごに

 業績面ではあまりサプライズがない会社ですし、そういう期待も去れていないものと理解しています。しかしながら、決算前に株価も大きく下落しており(相場全体の流れも相まって1ヶ月で2割弱下げましたね)、一定の懸念が先行していたような気がします。そういう意味でQoQでのこの状況に定量面でみると弱さは否めないので、この懸念が概ね当たっていた、もしくはもう一段売られるという展開もあるかなと感じます。
 とはいえ、私は目先の株価は良いに越したことはないのですが、まぁこれに一喜一憂してもしょうがないですから、課題感も概ね自分の理解と一致している部分でもあり今後も応援を続けていきたいと思っています。

 イオンモールの決算も芳しくない中で、決算前の株価調整もなくむしろ堅調なわけですが、業績面ではイオンディライトはまだ下方修正濃厚という程は痛んでないですからね。

マネックス証券さんの比較チャート(イオンディライト/イオンモール)

 中計の数値目標が意欲的なわけですが、これの成否はやはりDX化や新規顧客開拓辺りの施策がとても大切になってきます。また海外のモール展開についてもコロナ禍の収束がない中では不安定な状況は続くものと思いますが、全体でこういう中でも赤字になることなく、底堅い業績を残してくれる会社はありがたいと思います。多くの方が優待や配当といった安定志向で保有されていると思いますし、私もその一人なのですが、テーマや成長といったものに過度に依拠せず、縁の下の力持ちとして目立たずとも、裏方として頑張って頂ければいいなと思います。
 頑張れ、イオンディライト!

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