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オリコンHD(JQ/2498) 株主総会レポート 2021/12/23

 東証JASDAQ上場の建設コンサルティング会社のひとつである、オリエンタルコンサルタンツホールディングス(以下「オリコンHD」)の株主総会に出席しましたのでレポート記事にします。なお、当記事の記載は、私の心証に基づき脚色されており、意図せず誤認している可能性もあります。万が一、当記事の内容を投資判断の一助とされる際にはご自身のご判断で活用頂ければと思います。なお、記載内容へのご指摘やご意見、感想などお気軽に以下当方のツイッターアカウントよりお寄せ頂ければ幸いです(画像リンクを貼っています)。

1.参考記事

 まず冒頭では、参考記事として前回の株主総会レポート記事と、直近の決算精査記事を再掲しておきます。

2.概況

 株主総会関連の全体の流れについて簡単に纏めておきます。なお、時間は手元での記載のため、目安とお考え下さい。

 10:00 開会 (野崎社長)
 10:03 議決権数の確認 (事務局※IR担当でお世話になっている方)
 10:04 監査報告 (小道常勤監査役)
 10:06 事業報告 (野崎社長)
 10:16 議案の上程 (野崎社長)
 10:20 質疑応答
 10:45 決議
 10:50 閉会
 10:51 新任取締役挨拶 (橘新取締役)

 議決権数の確認の所ですが、メモ間違ってるかもしれませんが、記載しておきます。

■今回
 841人/1,645人 (51.1%)
 48,900個/58,227個 (84.0%)

■昨年
 710人/1,979人 (35.8%)
 46,073個/59,812個 (77.0%)

■一昨年
 570人/1,573人 (36.2%)
 47,790個/58,471個 (81.7%)

 まず株主数は昨年増えましたが、今年は減少してしまいました。これは素直に残念ですね。コロナ禍の下で株主数が増えましたが、議決権行使率は人数、個数ベース共に低下しましたが、今年は行使率は共に上昇しています。株式の流動性の課題も含めて、株主数が伸びない点は会社が順調なだけに残念ですね。

 株式総会の出席者ですが、恐らく純粋な個人投資家は私一人だったのではないかと思います。席はソーシャルディスタンスが十分過ぎる位とられた形で20席位用意されていたでしょうか。そもそも、本社オフィスの広めの会議室での開催なので、思いっきり仕事場って感じなんですね。
 開始10分前になっても私一人だけがぽつんと座っていて、辛うじて、新任取締役候補の方が控えて予約席に座ってらっしゃるだけで、異様な光景です(笑)。そして開会直前に関係者と思しき方が数人後方へお座りになっていました。
 まぁ元々、来場自粛が呼びかけられていますし、コロナ前からOB株主等関係者が圧倒的に多かったですからね。それにしても昨年はまだ片手で数えられるくらいは個人投資家の方が参加していたので、リアルに実質一人を味わったのは貴重な経験となりました。
 この日はSHOEIやダイイチ等、他の総会とも重なっていて、参加する先を悩んだのですが、結局今年もオリコンHDに落ち着きました。SHOEIはろくすけさんはじめ、敏腕投資家の方が多く参加されていますし、この時期の北海道は飛行機恐怖症の私にとっては敷居が高いのですよね(しかも大雪のようですしね)。

 監査報告も一応常勤監査役の小道さんが簡単に朗読をされました。その後、野崎さんがスライドを使って事業報告の説明をされます。この辺りは前回より朗読会感は薄まりましたが、決算説明資料に記載されている内容の中から掻い摘んでの説明です。一応株主総会ということで、招集通知の記載ページと関連がつきやすいようにスライド資料にもわかりやすく記載されています。ただ、聴衆がほぼいないわけで、私も決算説明資料並びに説明会にも参加しているので、既知の事で特に新しい内容はありません。それがわかってのことか、益々説明のスピードも上がりますが、要点はきちんと抑えられた説明だったと思います。

 議案の上程もスライドを使って説明されましたが、こちらはもう少し丁寧な説明があっても良いように感じました。特に1号議案ではバーチャルオンリー株主総会の開催も可能となるような定款変更ですので、まぁ当然感染症などの状況を踏まえたものとはいえ、リアルな対面機会に対して消極的なのかなとも感じてしまいますので、そういう誤解を与えぬような説明があっても良いと思いますしね。2号議案の新任取締役の候補者の件も、どういう点を期待するとか、キャリアを紹介する等、生え抜きとはいえ補足がある方が丁寧な気がします。

3.質疑応答

 質疑応答ですが、当然、質問するのは私一人です(笑)。
 簡単なやり取りと考察をメモとして起こしておきます。なお、繰り返しになりますが、私の主観で脚色していますし、意図せず事実と異なる可能性があります。ご了承下さい。

Q 社会価値創造活動の深耕と利益率向上の考え方について
 当社は社会価値創造活動を大切にされており、建設コンサルを主軸としつつも、生活インフラに留まらず、自己投資もされながら地方創生活動にも取り組まれ、まさに多岐に渡る活動をされたこの一年、心強さを改めて感じました。
 一方でこのような社会価値創造活動が深まり付加価値が高まるにつれてより高い利益率を出せる会社であるとそのポテンシャルに期待をしています。当社は人材等の将来投資にも積極的に取り組まれているという背景も理解していますが、同じように投資もされながら切磋琢磨されている競合会社と比較しても利益率で劣後している点はもったいないな、とも感じています。
 今後、社会価値創造活動をより深め、DX活用等も含め付加価値を高めていかれようとされる中で、将来投資も大切にされながら新たに策定される中計も含め今後の利益率をどのように向上させていけるか、お考えを教えて下さい。足元でも営業利益率は2-3%だった所から、足元では漸増傾向にあり5%程度まであがってきております。とはいえ、日本工営さんが6%、建設技術研究所さんで8%、長大さんに至っては10%を超えている状況ですので、ぜひ当社事業の価値が収益率でもひけをとらない評価がされる事を期待しています。
A
 当社は社会価値創造に真摯に取り組んできているが、今後も「着実に」この価値創造を高めていくことを継続していきたい。そのプロセスの中で、当然の事ながら利益を高めていくことと、人材投資を通して組織力を高めていくという総合的見地に立って堅実な経営をしていきたいと考えている。
 ホールディング化した頃はご指摘の通り利益率も低く推移していたが、ここを着実な経営で利益率も高めて努力してきているし、今後もこの歩みを続けていきたい。
 具体的なイメージとしても、現在の25/9期の中計目標を上方修正したが、現状から更に一歩着実な取り組みで利益率も向上するような策定をしたが、既に我々は30/9期の次のフェーズをみていかねばならないと考えているし、この付加価値創造を高めていく事で、今後もこの利益率を更に着実に押し上げていきたいと考えていく。売上、利益を伸ばし、そこからきちんと人材投資を行う事が当社の強みを高めるものであるからしっかり投資を行い、しかし、財務の伸びに応じてしっかり株主へも還元をしていけるようにありたいと考えている。こういう計画をきちんとこの1年で作り上げてご報告出来るようにしたい。
■考察
 付加価値を高めていくためには、人材投資が大切であり、これは一朝一夕ではなしえるものではないという事をよく認識されたご回答だったと感じました。私の質問に対して安直に利益率向上を目指していきますという軽いトーンというより、言葉をかみしめながらお話されていたのが印象的でした。
 「着実に」という言葉を強調されていたのですが、我々投資家はどうしても成長というものにスピード感や驚きを伴って欲しいとどこかで期待をし過ぎてしまうばかりに前のめりになりがちです(私も含めてですが)。確かに今のように業界にもしっかり予算がついていて追い風ともいえる状況の中で、ある程度案件をとっていけば底上げは出来る余地もあるのだと思うのですが、価値創造という所をとても大切にされていて、それには魔法のようなものはなくて人材投資をきちんと重ねていく事でしか積み上げられないという揺るぎない覚悟のようなものを感じます。
 今後も成長率という点では決して高いものを期待できませんし、構造的にDX推進などともいわれていますが労働集約型人月ビジネスの側面は大きいですからマーケットでの評価も渋いものになるかもしれません。しかし、これだけしっかりした考えの下で経営されていれば安心だなと思います。この1年でしっかり新たな中計を考えられる、その中では率はともかく業績の積み上げを、人材投資をしっかりやって成し遂げていくという宣言も改めて直接聞けましたので、その報告を楽しみに待ちたいと思います。

Q 人材採用・育成の状況について
 当社はこれまでも人材採用や育成に注力されていますが、今後の事業展開においてもその重要性は変わらないものと認識しています。特にアフターコロナの世界ではより人材不足の課題が叫ばれる中で、従前の活動の延長線での活動だけでは満足いく活動になり得ない事もあろうかと思います。今後の人材施策をどのように加速させていかれるか、その中で人材をひきつける社員エンゲージメントを会社としてどのように仕組み作りされていくのでしょうか。また採用面では就職ランキングに当社がランクインしたという事もあったようですが、どのようにこの成果を受け止め今後の活動に活かされるお考えでしょうか。
A
 人材の確保・育成というものと社会価値創造活動というものは全て連動していると考えている。つまり、我々が獲得した人材をしっかり教育して経験させていく中で、早期に技術士の資格を取得するという「実績」を作ることが、より高い社会価値創造活動に資するものへ繋がっていくわけであるし、そういう実績をみて、若い学生の方が当社を真に評価してくれて選ばれる存在になるということである。事実、こういった実績(最小経験年数での合格者を多く輩出とか)を我々は採用活動で大いに訴求しており、それが奏功してきているという実感がある。このように、人材育成を単に強化しているという言葉だけではなく、実績として示している事によってより当社へ魅力を感じてもらえる機会になっているし、このような確保、育成、価値創造という流れがしっかり出来る会社だという認知が広がりつつある成果だと感じている。
 またこのように育成をした人材が組織として実証実験等の社会価値創造活動に資する仕事の中で得られた知見を単なる広報としてリリースするだけに留めず、学会発表等で堂々と発表できるという経験までを学生にもリアルに感じてもらえる事が採用活動においてとてもメリットになっている。
 人材採用・育成に魔法のようなものがあるわけではない。育成し、実績を作り、それを対外発表という形にすることにより、それがチャレンジしているという会社認知となり拡がり採用活動に更に活きてくる、こういう地道なサイクルを事実としてぐるぐる回しながら着実にポテンシャルをあげていきたいと考えている。当然、こういうサイクルは新卒だけでなく中途も含めてきちんと当社の事をみてくれていると信じている。
 また、こういったサイクルの中で、日々業務に当たる社員がモチベーションを高くある事も大事だと考えている。自らが社会に対して創造した価値というものを共有する機会を持つことも大事だし、多様な働き方でもそれぞれが活躍できるテレワーク環境等業務フローの改善も進めてきている。このような実感を伴うことと多様性に対応できる事で社員のモチベーションの維持向上にも今後務めて参りたい。
■考察
 人材投資の部分は野崎社長の熱い想いがある所なので、敢えてこの趣旨の質問をぶつけているんですが、やはり熱が入った回答でした(実質私一人しか聞いてないのがもったいないです…)。
 言葉だけではない、事実に裏打ちされた実績が伴う人材投資を訴求している、そしてその成果らしきものを実感されているという点は嬉しく感じました。特に同社の採用は、専門的な分野に従事される方も多く、博士課程の方の採用率も一般的な会社と比べると高かったはずです。従って、学会での発表とかアカデミックな場での機会を感じられる事が単なる社会への広報だけではないといった部分で心動かされる要素なのかもしれません。この辺りは競合会社の状況ももう少し横に並べて調べてみる必要がありそうですけどね。
 魔法のようなものはないと断言されていたのもいいですね。私の聞き方が、何か今までの歩みから抜本的な向上策のような聴き方をしてしまったので、そこへの牽制かと思いますが、このお考えでいいと思いました。急に学生に媚を売るような、あるいは自分達を過度に大きく誇張してみせるようなことは、結果的にミスマッチを多く生んだり、組織力低下を招く事も多いわけですから、ペースを乱さず、しかし着実にというのがいいと感じました。
 それから、エンゲージメントの所ではモチベーションと置き換えて解説下さいましたが、同社は各種リリースをみてもらうとわかるのですが、社員にフォーカスを当てたものが多いです。何かを対外的な賞を受賞したとか、社内イベント等で活躍したなど個人名が出てくることが多いんですね。この辺りの背景にも回答のあった通り、業務を通した価値を共有すること、そこにモチベーションを感じて欲しいという文化があるのかなと感じました。そう考えると、色々な取り組みやリリース内容も合点がいくのです。

Q DX活用と外部連携について
 当社の事業展開において、DX活用がもはや当たり前となり数々の成果が挙げられています。今後も建設コンサルの枠組みに捉われない総合化というキーワードも念頭に、今後の大いなる飛躍を期待しています。昨年の総会の場でも、DX推進を本部として新たに組成し戦略的に進める事、また外部連携についても積極的に模索されていくとご説明がありましたが、この一年コロナ禍で難しさもあったと思いますが、今後に繋がる手応えや課題をどのように感じておられますか。
A
 DXという側面ではこの1年多くの実績を積み重ねてこられたと考えている。また外部連携という点では、まさに多岐に渡る領域であり、1年前はAI活用による砂防ダムの案件の話などもあったがAIだけでなく、例えば自動運転の技術適用等の案件も進めており、これはまたAIとは異なる領域での連携を図りながら進めてきている。この他にも海外では米国でソフトバンクさんらとコネクテッドカーの技術検証で合弁会社を作る活動などにも着手してきている(こちら)。つまり、事業の領域は非常に多様であり、適用するべきDX技術も様々であるわけで、当社としてはそれぞれの領域の専門家と個々に最適な連携を図りながら事業を推進していくことが重要であると考えている。
 そして、それぞれの領域でそれぞれの専門家とコンソーシアムを組み具現化していくプロセスを経ることにより、それぞれの領域の専門家から当社グループが一目置かれる存在となり、様々な案件のご相談を頂ける機会になるわけである。もちろん当社からも働きかけを行っていくがこういう着実な実績作りが今後の更なる幅出し案件を作っていくという潮流をうまく機会に出来るような相乗効果を発揮できるようにしていきたい。
 国内外重点化領域を策定する中で、それを横断する形でDXを活用して様々な領域でどう事業化を図っていくかという6つ目の柱を掲げている。我々がそれぞれの専門家と個々に得意分野で連携を図りながら実績を作り、その実績を次の構想に繋げていく、そのプロセスでは相手からも認められるようなポテンシャルを当社が有していくことが大切で、そのためには当社がこの領域で単なる戦略を掲げるだけでなく案件化を進めていく事が大切であるため、そういう企画を立ち上げているので、この一年また情報発信にも努めながら注力していきたいので期待をして欲しい。
■考察
 人材投資の時にもそうだったのですが、野崎さんのお話のされ方がややゆっくりで言葉を選んでいるようにも感じるんですが、それがとても実感を伴っているというか、様々なシーンを脳裏に浮かべながらお話をされているような気がして、とてもわかりやすく理解ができるんですね。
 そしてお話の内容がとても合理的なのです。なんか威勢のいい、耳障りの良い事を並べててなんとなく聞いていて気持ちよくなるという感じではなく、なるほど、そんな感じで現場も動いているし、今後の活動も大きく変わらないだろう中でも着実に進んでいるなーというのが窺えるんですね。
 DXの活用自体は本部も組成され手応えもあったわけですが、何より、ここで一つ一つ実績を作ったことが、更なる案件に繋がるというスパイラルのような事がここでも起こっているように感じました。答弁の中でDXというものはもはやインフラ構築で欠かせないキーになってくるというお話もされていましたが、DXが既存の何かを抜本的に変えてくれるというものというより、もう既にそれを適用していかないとインフラ構築そのものの意義が存続できないレベルになってきているという事なのだと思います。そして、これは1社の中で完結する事は難しいので、個々にその領域の専門家と連携を図る事でつくられる実績が、その後の仕事にも活かされていくということなのですね。大手のゼネコンとかだと資本の力等も使いながら一気にここを推進していくのでしょうが、当社にとっては地道な活動にはなりますが、身の丈で事を進めていくというのも悪い事ではありませんし、適正なスピード感が組織を強くするという側面もあります。自分事として一つ一つ吸収しながら進めていく重要性もありますからね。
 しかし、豊田市でのモビリティとか、米国のSBとの連携案件など、結構投資家が期待しそうなネタもあるのですが、認知されていないのか、あるいは可能性を感じられない内容なのかわかりませんが、特にもてはやされずとも、こういう実績を地道に作り続けて価値創造を深めてくれれば私は満足です。

Q コーポレートデザイン/ブランディングについて
 当社はコーポレートサイトを拝見していると質実剛健なイメージが強く、悪い事ではないのですが地味な印象もあります。今後価値観の多様化も進む中で、社員や取引先などから見える印象も大切にしてもよいのかなと感じています。コーポレートデザインを刷新する事で事業に直接関与はしなくとも、そこに新たな風が生まれ、事業創造意欲や社員エンゲージメントを高める事に繋がりそれが企業ブランドに繋がると考えます。建設コンサルタント業界というどちらかというと堅い業界ではありますが、長大さんも社名を変えて刷新するなどされてますし、DX活用等を通して当社の露出もより高まってくる際に、外形的に若い世代も巻き込める訴求力があるようなデザイン、コーポレートブランドがみえると当社の認知がよりポジティブとなり、人材獲得や新たな事業創造という点で良い面もある気がします。いやいや、このまま質実剛健、媚(コビ)など売らんという拘りもあるかもしれませんが、業界団体の代表にも就任されている野崎さんが、率先して伝統的な業界におおられながらも新たな取り組みとして検討されてみてはいかがでしょうか。
A
 正直いってあまり十分に考えてこなかった。確かにご指摘のように社会からの信用に応えてくれそうだなというイメージを持ってもらう事は重要なのかもしれない。これまでの質問での議論でもあった通り、今後当社グループでは人材の採用の更なる強化、若い起業家との連携シーンの増加等、様々な側面で当社を見てもらう機会も増えてくる。そんな時、従前のお堅いイメージの下で一緒にやっていけるのかと一抹の不安を相手に与える余地があるより、なんか刷新されたデザイン/ブランドで一緒にやっていきたいとポジティブに映るのであればそれはその方がいいのは当然。
 パートナーシップというものをより深く感じてもらうためにも今後貴重な意見として参考にしたい。
■考察
 最後はちょっと砕けた質問としました。元々、私もこの件ひょんなことから質問したいなと思っていたのですが、フォロワーさんからもリクエストを頂いたこともあり、最後に質問をしてみました。
 冒頭、あまりこれまで考えてこられなかったと正直に述べられていたので、ちょっと戸惑いがあったかもしれませんが、これでよかったと思っています。今すぐにじゃ、デザイン刷新してリブランドしようかみたいなエンジンはかからないかもしれませんし、思い付きでやるものでもないと思うので(いや思いっきりが大事という側面もあるのですけどね)、少なくてもこういう意見が出ていたなという事が、脳裏のどこかにあることで、少し社内への働きかけが変わるかもしれませんし、長大さんを敢えて挙げて、業界団体の事にも言及したのはそういう場でもコミュニケーションをとって重要性を業界としてもより認知される事を期待したからです。その上で当社グループとして新たな中計を策定される中で30/9期を目指す策定となるため、この中でこういった、今まであまり考えてこられなかった観点を提示する事に意味があったのではないかと思います。答弁の中でも採用面だけでなく、若き起業家からの目線という言及もあったので、十分こちらの伝えたい意向は伝わったものと確信しました。あとはどういうタイミングで、どこまで本格対処をされるかは見守っていきたいと思います。

Q (コメントとして)株式流動化施策について
 株主として、社会的意義の高い活動を当社が長く続けられる事を期待し、その活動に敬意を抱き今後も長く寄り添い続けたいと考えています。ですので、株価形成は事業の成長を着実に進めていく中でその成果に対して適正な評価がついてくればいいと捉えています。しかしながら、安定的に事業成長を続けられ、今後も成長意欲を持たれている中では、もう少し当社の価値が認められるといいなとも思っています。株価そのものはマーケットが決めるものではありますが、やはり流動性の低さが懸念されてしまう一因となっていると思います。ついては、株式市場に対してもう少し流動性を与えるような分割だったり個人投資家向けIRの強化だったりとこれまでとは違う施策できっかけ作りを検討され、より広く当社の価値認識が広がり、株式市場においても流動性リスクが後退するような政策を期待しています。
A
 (こちらはコメントとしたため、回答はなし)
■考察
 敢えて、施策の検討状況や今後の取り組みについての質問としてもよかったのですが、既に質問開始から30分になろうかというタイミングであり、多くの取締役や関係者の時間を頂いている立場でもあり、そろそろいい加減にしておいた方がいいだろうという自制心がありましてね(誤解があるといけないので一応。別に雰囲気的にプレッシャーがあったわけではありませんけどね)。
 そもそもここで施策を問いただすとかしてもあまり意味がないですし、課題感が共有出来ればいいと思っています。野崎さんは真摯にこちらの質問に向き合われている実感がありましたし、節々にこちらの意図をとてもよく理解して下さっているのが伝わっているので、この伝え方で十分だと思いました。

4.さいごに

 残念ながら今年もコロナ禍に配慮して総会後の経営説明会は中止となりました。今の状況からすると開催として、よりコミュニケーションを深めてもよかったのかなと思うのですが、この辺りは個々の価値観も様々ななので致し方ありませんね。
 閉会後、昨年はコミュニケーション取る機会はなかったと記憶していますが、今年は、野崎さんが歩み寄って来て下さり、一言二言お話をすることが出来ました。その中で私がささっと申し上げたのは以下のことです。

・実直な経営に改めての感謝
・経営説明会がなくなったのは残念
・今後も非対面の活用をしつつもリアルコミュニケーションにも期待
・個人投資家にもより積極的な発信や施策を期待
・ある程度ロットでの売買が出来ない現状の流動性は喫緊の課題と認識
・本日の対応に改めて感謝

 開会前にもIRでメールやり取りさせてもらっている担当の方にもご挨拶できましたしよかったです。他の取締役の方のお話を伺う機会が持てなかったのが心残りです。また新任の方の挨拶も一言、よろしく、だけだったので、もう少し豊富などを伺いたかったです(それもこれも会場が実質一人みたいなのがよくないですね(笑))。

 流動性は大きな懸念でしょうし、建設関連という事でシクリカル要素という側面もあり、表面上の自己資本比率や配当利回り等の状況から人気化がなかなか望めない要因も思い当たるのですが、それでもゆっくりじっくり企業がより良い形となり、それにつれてマーケットからの評価も高まってくれるといいですね。強靭化というようなテーマで変にもてはやされる事なく、適度なスピード感で、じっくりいってもらいたいですね(そういえば今回強靭化という言葉が一度も出なかったですね)。
 頑張れ、オリコンHD!

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