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PR TIMES(東証プライム/3922) 株主総会レポート 2023/5/24

 東証プライム上場のPR TIMESの株主総会に出席しました。当記事では、株主総会の様子についてご紹介したいと思います。なお、当記事は私の個人的な心証に基づき脚色した表記となっているため内容の正確性は保証出来ない点はご了承頂ければと思います。
 なお、当記事は同社の株式の売買を推奨するものではありません。ご自身の投資判断に基づき対応頂けますようお願いいたします。

1.はじめに

 株主総会の内容に入る前に、同社に関連する記事を再掲しておきます。ここでは、昨年の株主総会レポート記事と、直近で開催された個人投資家向け説明会についての記事を再掲しておきます。

2.株主総会の流れ

 株主総会の全体の大まかな流れについて触れておきます。手元の時計でのざっくりとした時間ですが、なんとなく雰囲気が伝わればと思います。

10:00 開会 (山口社長)
10:03 議決権個数の確認(事務局)
 ■今回
 1,873人/4,654人(40.2%)
 11万5,674個/13万4,020個(86.3%)
 ■前回
 1,135人/4,066人(27.9%)
 11万1,794個/13万4,183個(83.3%)
10:06 監査報告 (向川監査役)
10:10 報告事項・対処すべき課題・連携財務諸表 (ナレーション)
10:18 議案上呈 (山口社長)
10:20 質疑応答の進め方の案内
 ※リモートからの質問受付のため3分待機
 ※事前質問がなかったため、会場からの質疑から受付
10:25 質疑応答(会場) 
11:10 質疑応答(リモート)
 ※リモート参加者の質問は事務局が代読
11:25 議案の決議
11:30 閉会
11:32 新任監査役の紹介

 昨年までは株主に向けて、ライブ配信を行っていましたが出席型ではなかたため、質問や議決権行使は不可でした。しかし、今年は出席型でのハイブリッド開催ということもあり、質問の投じ方等についての案内が冒頭あり、監査報告までの時間が若干多く要していました。また、質疑応答の前にも、リモート参加者が質問をテキスト入力できる時間のため、3分の待機時間があり、会場はこの間シーンと静まり返ると間もありました。ちなみに議決権行使のタイミングでもリモートからの意志表明のために1分程の間がありました。効率的な運営という中で、質疑も会場からの質問を受けながら、どこかのタイミングで締め切るという事も出来たと思うのですが、敢えて、議事運営に間を空けるというのは何かルールなんでしょうかね。たかが数分ではありますがもったいない気もします。

 それから、議決権の行使率が上がりました。あれ、クオカード500円抽選があったんだっけか、とかちょっと記憶がありませんが、明らかに増えましたね。同社の場合、実質的にはベクトル社が過半数を保有していることから、行使率が上がることで何かが大きく変わるということはないかもしれませんが、意思表明される方が増えるのはいい事だと思います。

 また、報告事項については、昨年同様に全てナレーションです。多くの会社でナレーションを利用しての報告事項を済ませる所が多い中で、対処すべき課題については、社長自らの言葉でお話をされる会社さんが多いです。同社では、この対処すべき課題についてもナレーションのみとなっています。この辺りは、ナレーションや朗読会になることなく、社長自らの想いをもって語って頂きたい所だと感じています。特に現状では多くの課題もある中で、それでも前を向き歩もうとされている中でもありますし、信用を改めて構築していくというフェーズにある中で、無機質さを感じます。たとえ芳しくない状況であったとしても、拙い言葉になってしまうとしても、報告事項として説明する中で、整形されたナレーションのみに終始してしまうのは、もったいないことだと思いました。

 そして、一番ショックだったのは、冒頭に質問数を1人2問に限るという案内を再三強調されていた点です。「効率的な議事運営のため」という体ですが、その割には、前述の通り数分の間を置く等、工夫によって前倒しできる要素もあるように思いますし、そもそも質問数を限るというのは、質問を熟考して参加する立場からすると愕然とする案内です。
 最近ではせめて1人1回2問までとして時間の許す範囲で2回目を受け付けるというような対応を取る会社さんが多いです。これは結果、時間で区切られるので同類の事を言っているにすぎないかもしれませんが、印象としてはだいぶ変わります。
 株主総会としての時間配分やその後の取締役会の予定等もあるため物理的に区切らないといけないという趣旨も理解はしますが、年に1回の大切な機会に、こういう形でコミュニケーションを遮断をされてしまうことが残念ですし、それだけ、私を含めた株主の質問やそれを受けた対話に価値を感じてもらえていないんだという儚さを感じてしまいます。
 これもIRさんにも伝えていますが、株主総会としては議題に絞って質疑を重ねて、その後に説明会という位置づけでQAをやるなどの対応方法もあろうかと思います。せっかく株主総会という貴重な機会にも拘らず、双方で対話が深められない、あるいは物理的に距離感を感じさせてしまうような機会に留まってしまう事は残念です。
 結果、今回の総会では参加者も大きく減りました。現地での参加者は、関係者と思しき方々を除く、純粋な個人株主は5,6人程度だったのではないでしょうか。もちろん、ハイブリッド型になった事で、リモートでの参加者が増えたということかもしれませんが、これから業績面でも企業価値を高めていくプロセスで信用を再構築したいという想いをお持ちの中で、こういう現状でよいのでしょうか。
 昨年は社員株主の方も一部みえられ、社員株主の方、あるいは個人株主の間で開会前、開会後にも軽くお話を出来る機会もありました。今年はそういう雰囲気は一切なく、閉会後も役員の方々は早々に別室控室に入られ、帰り際にご挨拶する機会すらありませんでした。せっかく会場に赴いて、やや厳しい言い回しのものを含めて質問をさせてもらった中で、今後も頑張ってください、期待していますよ、と直接一言でも言って会場を後にしたいじゃないですか。そういう想いというものが行き場をなくして、ここを後にするという事がただただ悲しかったです。

 とはいいつつも、質疑については、投じられた質問にはいつもの通り、山口社長は想像力をもって、またある程度リスクも取りながら丁寧に答弁をされていたと思います。個人投資家説明会においても、一部で冗長でわかりにくいという声もありますが、私は丁寧に理解を促そうという想いを持たれて回答される姿には感謝していますし、それは株主総会でも同様の姿勢でした。ですから、余計に、運営とか空気づくりという点で無念さが残る内容なのがもったいないと感じた次第です。
 なお、当然のことながら、別に私は株主だから客扱いして欲しいとか、そういうことを言っているわけではありません。むしろ、もっと同じ目線に立って一緒に歩めるといいなと思っています(もちろん、健全な株主としての距離感はあるのでしょうけどね)。

 最後に、今回の株主総会は事前の出席登録(表明)が必要だったようです。これは招集通知をきちんと精読していなかった私の落ち度なのですが、周囲で参加されていた個人株主さんも登録を失念していたようでした。改めて招集通知をみると、表紙には一切その案内はなく、中身にその旨の記載がありました。通常、事前登録が必要というケースはコロナ禍で多くありましたが、別紙になっていたり、表紙に強調されていたりという事が多かったです。私ひとりが見落としていただけということであればまだしも、周囲の状況からみても、この辺りもアナウンスのやり方にも課題があるようにも思いました。

3.質疑の内容

 それでは、質疑応答の内容について記載をしていきたいと思います。重ねて申し上げますが、ここに記載する内容は全て私の主観に基づき脚色を加えているため、実際のやり取り内容から悪意なく誤認している可能性があります。内容についての正確性は保証できませんので、ご参考程度に留めて頂ければと思います。また、私が質問した内容には冒頭に★印をつけています。
 そして株主からは事前質問の投稿が可能となっていました。しかしながら、0問でしたということでした。会場での質問を制限されるのであれば、事前質問も駆使して網羅できるようにしたいなと悪い事も考えてしまいました。ですが、なんかこういうのは非建設的で嫌ですね…。せっかく出席するなら会場で質問したいですもんね。

★Q PR TIMESの地方展開について
 前期には地方での利用機会を増やしていくという課題感の下で地方CMやPR TIMESカレッジ等の接点強化の施策を展開されてきた。その結果、地方での接点やPR TIMESの認知度やプラットフォームとしての訴求力も高まってきたものと理解している。行動者に伴走するという視点で多くのエンゲージメントを形成してきた中で、その成果が、今後のPR TIMESの利用促進として継続的に顕在化していけるような状況を創るための課題感をどうみられているか。またCMを含めた販促活動は今後も前期と同じような方針・規模感でなされるのか。あるいは前期の効果をみて調整されるのか。
A
 現状においても、全体の6割程度が東京拠点のお客様である。更に内訳をみていくと、大企業やスタートアップの利用率が高い一方で、中堅企業や中小企業、とりわけ地方を拠点とする法人の認知度や利用状況は未だ低位であり、ここにポテンシャルがあると感じている。このような視点から、前期において地方の中堅、中小企業に認知を高める施策を展開してきた。TVCMはもちろん、各地の地域に根差したPRそのものの価値を共有できるようなイベントを規模は小さいながらも対応してきた。
 では、その手応えがどうであったかということになるが、TVCMについては、地方の中でも大規模な地域では反響が大きかったものの、比較的小規模な地方都市においてはその反響は限定的で、地域による差が大きかったと感じている。地方のイベントについても地域の規模に合わせたイベント規模に留まったこともあり、結果その規模感に沿う形でのリアクションとなったという手応えである。
 このような状況を踏まえて、今期においては、比較的反響の大きかった関西、愛知、福岡、宮城、北海道、静岡あたりにフォーカスを当てて大規模なイベントを展開し、各地域の産業特色にも配慮したイベント展開をしていきたいと考えている。具体的には例えば地方の観光業向けのイベントという時に、本社でのリアルイベントを、地域のお客様へも配信という形でハイブリッドでPRの意義を感じて頂くような機会を提供しようと企図している。
 いずれにせよ、大切にしていく方針としては、PR TIMESの普及を前面に出すというより、PRそのものの価値を共有できるような方向で展開をしていきたいと考えている。大企業は広報業務が確立しているため一定の理解がある一方で、まだポテンシャルがある先には、そのような確立した何かがあるわけではないため、PRそのものの啓蒙をまず大切にして、その上で啓蒙だけで終わらせないように、活用することでそのお客様の成功に繋げられる所までの伴走をしっかりやっていく事が大切だと考えている。
■考察
 漫然とCMをやり続け、イベントもエンゲージメントやファン獲得という所だけでは現実的に投資対効果が見えづらいだろうという中で、まず前期の振り返りを踏まえた、今期の展開計画になっているのかという部分についての質問でした。前期には地方展開という賛否がありそうな部分で、大胆に投資をするという事を意思決定された中で、その手応えについては、なかなかお伺いする機会がありませんでした。本来、IRの資料の中で、この辺りを俯瞰した考察と今期の展開における方向性が示されるともう少し理解醸成が図りやすいとも思います。
 特に今期もまだ利益回復がV字とまではいえない中で、地方でのエンゲージメント形成という旗を降ろさずに継続していくとあれば、そこにどういうチューニングがなされるのかというのは関心がありますし、それが定量面でどの程度の規模感なのか辺りも本来は示されるとより理解が深まりますね。もっとも、この広告宣伝費の投下なんて、全体の状況を見ながら機動的に調整していくものでしょうから、あまり各断面で論じても意味がないのでしょうし、だからこそあまり定量面で質問するというより定性面でお伺いしたつもりでした。
 答弁の内容からすると、効果の有無を検証した上で、まずは第一に対処していきたい所へフォーカスを当てていくという事でしたので、今後出てくるイベント開催情報等はチェックして、各地の濃淡を見つつ、観察をしていくということになりそうです。
 なお、同社らしい姿勢ではありますが、PR TIMESという会社やソリューションを前面にすることより、PRそのものの意義の啓蒙に力点が置かれているのは、一見遠回りのようにみえますが、ミッション実現という根幹の部分でブレていないのは流石だなと感じました。
 なお、質問の冒頭で、「ミッション実現に向けた活動に邁進された社員の皆さんへの激励」を述べました。また質問は4問用意してきたという事も敢えて申し上げました。私の中では昨年の8問に比べて絞ってきたつもりでしたが、それすら叶わず、質問数を制限されてしまうことへの小さな抗議のつもりでした。

★Q 社外取締役の役割について
 前期には、組織マネジメント上、規律を失う状況下に陥り、収益力の低下等がみられた。またある種コロナ禍の反動によりPR TIMES利用頻度という観点でも変調がみられ課題が顕在化した一年だったかと思う。このような状況下で、社外取締役の方は取締役会でどのような提言を行われて、その役割を遂行されてきたのか、各取締役からご自身の役割遂行についてお伺いしたい。また、社長として社外取締役の方々からの提言等をどのように受け止め、ガバナンスの過不足感を含めてより経営を前に進めていくための体制面での所感をお伺いしたい。
A
 どの部分で規律を失っているという表現があったが、どのような点でそのような表現をされたか定かではないが、広告宣伝活動の考え方については様々な立場での議論があった。私自身は地方の展開よりまだ首都圏中心に大都市圏で伸ばせる余地が十分あるという事から、地方への展開という部分には尚早ではないかという立場で提言をしてきたつもり。少なくてもその規模感や投資バランスについては牽制の声を上げてきたつもり。
 しかしながら、中長期的な部分で避けて通れないという業務執行側の強い想いがあったことや、今期痛みがあるもののその先を見据えた部分での議論において納得した部分もあった。但し、それが翌期においても投資が継続していくという場合には、よくよくそのROIを見極める議論を再検討せねばならないだろうと考えている。そのような目線で、社外取締役として注意深くその動向を観察していきたいと考えている。(鎌田取締役)
 広告宣伝費に関しては、喧々諤々の議論があった。私はPR TIMESが今後成長していくことやミッション実現に近づいていくという目線において、そのチャレンジを応援したいという気持ちで議論に参加をした。今の変調がその先の将来を創るという視点で、議論を深めることで、社外取締役としてガバナンス含めて対応してきたつもりである。(鈴木取締役)
 PR TIMESの取締役会はオープンで議論を深めやすい環境だと感じている。私はグローバルの経験やM&A案件の経験等の観点で、PR TIMESにおけるこれらの業務執行上の意思決定のサポートをしてきたつもりである。時に厳しい意見も申し上げてきたつもり。様々な案件を見ていく中で、結果として成否が決まるものであるが、投資の目的とリスク査定は重要な視点なので、常に議論の際に提示してきたつもりである。(小澤取締役)
 当社は大株主として半数以上の株を持たれている中で、この大株主と少数株主の利益が相反しないことが重要だと考えている。社外取締役にはこの少数株主の意見の代表だという認識の下で大株主の影響を受けない中で、議論に加わってもらっている認識である。実際に厳しい意見も多く頂いたし、応援を頂くこともあった。業務執行側として、結果が出せたかというと残念ながら前期は満足いく結果が示せず猛省している。但し、これを単純な失敗に終わらせず、今期の計画をきちんと実現する、だけでなく、それを超えるような姿を想像してもらえるような信頼を取り戻す必要があるものと考えている。
■考察
 昨年に続き、社外取締役の方にマイクを持って頂きました。やはり年に1回の株主総会という場で、社長だけでなく、他の取締役の方、それも業務執行側ではなく、社外取締役の方の活動を伺いたいと思っています。ですので、敢えて質問を振っています。
 ちょっと気になったのは鎌田さんが冒頭で、「規律を失った」という表現についてどの部分を指しているかわからないが、という前置きがあった部分です。私が質問の冒頭で「規律を失った」と表現した事は、会社側のあるネガティブな一面を私が独自に表現したものではなく、決算説明資料等の場で会社側がこの表現をなされているものです。会社側が自らの状況を投資家や株主に対して「規律を失っている」とストレートに表現することは相当レアな事であるし、それは同社らしさでもあるわけですが、この表現にピンときていない様相から、きちんと決算説明資料等の開示文書をご覧になっているのかという点が気掛かりに感じました。元々規律を失うという表現は広告宣伝というより、組織マネジメント上の課題だと理解をしていましたが、そこには他の取締役の方も含めて言及がありませんでした。この辺りは意図せず言及をされなかったのか、真意はわかりませんが、下期における規律の部分の認識がきちんと取締役会で同じ目線に立てているのか気になりました。
 答弁にあった広告宣伝に係る内容については、異なる立場で議論があった模様がわかり、この観点で見れば有益な議論が出来ていそうだなとは感じました。特に鎌田さんの指摘は我々少数株主の保護の観点でも重要なお立場で議論に参加頂いたものと感じました。
 それから、小澤さんは前期より参画されましたが、まさに米国進出の件では、具体的に表には出てこない様々な助言や議論をなされた事と思います。本来、もっとストレートに小澤さんのグローバルとM&A経験でアサインされているお立場として米国案件の一連の取り組みについての見解を伺いたかったですね。

Q JootoとTayoriの状況について
 JootoとTayoriについては、成長をしつつも売上寄与度は低く、参入余地がどこまであるのかという観点でも今後の展開が気掛かりである。2025目標を示された所からみるとだいぶギャップがあるように感じる。どのような課題感があるのか、同事業への取り組みを継続させていく事の意義や今後の見通しを教えて欲しい。
A
 両サービスとも2025年には黒字転換し、数億レベルの営業利益を上げる事を目標としている。両事業とも、足元で成長している事は確かだが、計画ベースでは思うようにいっていない点は反省している。とはいえ、成長率としては高いもの維持しているし、今期は前期の未達という反省点から、PR TIMESを含めて各サービス共に予算をしっかり達成するという事を肝に銘じて取り組んでいる所である。
 JootoもTayoriも既にマーケットは成熟しているしレッドオーシャンではないかという指摘も再三受けている。しかしながら、今のPR TIMESも立ち上げ当初は数億レベルの小さな規模であったし、当時は大手広告代理店等の枠組みの中で寡占化が進んだ中での後発であったが成功した。
 JootoもTayoriも現状の外部環境は厳しいものがあることは承知しているが、しかし、これらの利用ユーザーの成功を重ねていくこと、そしてそのユーザー間でコミュニティを形成していく事が大事だと思っている。
■考察
 事あるごとに、この両サービスについては取り組み意義的な部分で指摘が入りますね。どこにブレークスルーがあるのかいまだ私もわからないのですが、体制面で責任者も各々立ったということもありますから、私を含めて株主からの疑義の声を跳ね返すくらいの成功を収めてもらえるよう期待をしたいと思います。
 今回新たな視点としては、ユーザー間のコミュニティ形成という部分でしょうか。ユーザー会等を通して、横の繋がりを形成していくという事は案外こういったソリューションにおいては強さもあるんですよね。
 そういう意味では、展示会で名刺集めをして新規リード獲得の消耗戦のような活動より、むしろコアなユーザーを形成し、成功体験をコミュニティ化させていくことで、展開していくという方が健全な気もします。持続性の観点からもいいように思うのですよね。まぁこの辺りの展開手腕は私のような頭の悪い人より遥かに色々な世界が見えていると思うので、引き続き見守りたいと思います(笑)。

Q ベクトル社との関係性について
 大株主にベクトル社がおり、ベクトル社の株主総会資料等をみていると同じようにプレスリリースを生業にしているとある。この領域で親会社と事業がバッティングしているようにも思えるが棲み分けなどどのような関係にあるのか。
A
 親会社であるベクトルとの取引関係は有報に記載がある。売上比率は2%程度である。ベクトル社は多くのPR支援会社であるが、同社の開示資料でさすプレスリリースの事業の件は、その多くは我々PR TIMESの事業の事を指しているものと思料している。棲み分けはされていなくて当然で、資本関係があろうがなかろうか、エンドのユーザー様が効果を感じられ、メディアの方にも利便性を高める活動ができているかという視点が大事なこと。
■考察
 あくまでベクトルは多くのPR TIMESの株を保有しているものの、その関係性はいい意味であまり凝り固まっていないということなのでしょうね。この辺りは、これまでの個人投資家説明会の場や、ベクトルでアルバイトをされていた頃からのお話を紡いでいくとなんとなく、実情がみえてくるような気がしますね。

Q 招集通知の簡素化について
 多くの株主総会に出席している中で、招集通知が簡略化しており戸惑っている。もう少しわかりやすい発信をされてはどうか。
A
 今年より電子化をしており、郵送している部分は簡素化している。電子化している部分への案内が十分でなかった点は反省として承りたい。
■考察
 個人的には電子化されたデータで提供頂ければ十分ですし、それが開示されていれば問題ないと思います。ただ、電子データの閲覧が難しいという方もおられるでしょうから、せめて、会場には少し紙で用意していくなどの配慮があってもいいのかもしれませんね。まぁどこまで対応するかという事のような気もします。

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 ここである個人株主の方が挙手をされ、その方の2問の枠を私に譲りたいという要望があり、私が再度2問を質問することになりました。
なお、この株主の方とは前回の個人投資家説明会の際にもご一緒し、面識はあったのですが、予め仕込んでいたわけではありません(笑)。完全にその方の善意で私に譲って下さいました。
 株主平等の観点から良いものかと悩みましたが、議長からもお許しが出たので、僭越ながら再度質問をさせて頂きました。
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★Q PR TIMESストーリーについて
 規模感こそまだ小さいながらも、PR TIMESストーリの伸長が顕著であり、行動者によりフォーカスが当たるソリューションが注目されている現状を歓迎している。私が個人的にPR TIMESの利用を推薦し、実際に新規利用をしてみた中堅企業さんにおいても企業広報に悩まれている実情から、機会は拡がっていると実感した次第。伸びてきているサービスとなっているぜひ頑張って頂きたい。 また、noteさんを始め、発信メディア自体が単なるプレスリリースからストーリを持ったエンゲージを創造する構造の選択肢が増えてきており、プレスリリースとの垣根もボーダーレスとなってくる中で、PR TIMESが選ばれる存在になるために大切に考えている展望をお示し頂きたい。
A
 PR TIMESストーリは数年前から立ち上げたが、前期後半に急激に伸びてきた。ひとえに事業責任者がコミットメントを持って参画してくれた事によるものだと評価している。
 同サービスを立ち上げた時には葛藤があった。プレスリリースで伝える事に拘っていた事もあり、プレスリリースの万能さを否定するようなものになるのではないかということ。しかし、プレスリリースでは十分表現出来ない現実もあることを受け入れローンチするに至った。
 他社のサービスについては素晴らしいサービスが多く世の中に展開されていると思っている。プラットフォームとして様々な特徴をイノベーティブされPR TIMESを含めて世の中には様々な優位性のあるサービスが出てきている中で、大切になってくるのは、発信しようとする企業(行動者)が存在するのかという所にかかってくると思っている。自らの貴重なナレッジや想いなどを発信しようという機運があってこそのプラットフォームサービスであるし、そういう貴重な機会の選択肢として選ばれる存在であるかという事が大切になってくる。そういう意味で単なる発信ツールということだけでなく、その後の循環を創造出来るポテンシャルがあるかどうかなども大切になってくる。
■考察
 PR TIMES社としては、他社比較という目線は実は禁句だと私は思っています。ひとつは、他社の事をきちんとわかっていない中で、こういう場で比較する事にとてもコンサバティブな姿勢を持たれていること、そして、PR TIMESのサービス自身がミッション実現を視野に邁進している中で、他社との比較というものがノイズになることもあるという懸念があるからだと私は理解しています。ですので、質問の後半でnoteさんを具体例として挙げることは悩みました。わざわざ個社名を挙げる必然性はなかったわけですからね。ここは、前回の個人投資家説明会で、プレスリリースそのものの手段が多様化しているという文脈の中で、想像していたnoteさんではなく、TikTok
を具体例として挙げてご説明なされていたからです。他の投資家さんもあそこでnoteさんを関連づけておられたようで、私も同じだったのですが、そうは至らなかったため、敢えて個社名を挙げてみました。他社比較の事もあり、ここでの回答内容は一部記載を自粛した所もありますが、やはり他社のサービスの優位性を独自にきちんと把握された上で、しかし大切な事をブラしていないという所も良かったですし、選ばれる存在になるために愚直に仕組み作りしているな、という事を感じました。プレスリリースのポテンシャルは従来を踏襲しつつ、やはり世の中のトレンドや需要もゆるりと変化していくところもある中で、求められる要素を観察しながら、巧く運営をしていってもらえるといいなと思います。

★Q グルコースの参画について
 グルコースさんが仲間に加わることで、各開発体制も強固となり、これまでの製品力という面での課題感を解消していく事を期待している。仲間に迎えられ、一定の時間が経過していく中で、成果や課題感を教えて欲しい。特に技術集団として歩まれていたグルコースさんには従来の開発手法だったり管理ツール等、様々な既存ナレッジがある中で、従来のPR TIMESの開発体制とうまくシナジーを発揮させるために必要となる要素はどのようなものなのでしょうか。
A
 短期的な部分ではPR TIMES以外のサービスはBPさんに頼った開発体制であったこともあり、この部分をグループ内で内製化できることは、コスト管理の面と機動的な対応という両面で意義があると考えている。また中長期的にはPR TIMESの技術力も高いものの、サービスを持つ中での開発力と、外部からの受託を受けて開発する力というものは各々色彩も違う。その意味で、PR TIMESの開発チームと受託開発を主としてきたグルコース社のシナジーが発揮されれば、このサービスを構築しながら、外部からの受託開発にも応えられるという稀有な存在になるポテンシャルが期待できると考えている。双方に敬意を持ち、各々のナレッジを共有していくこと、そしてエンジニア採用という難しさがある中でも優位に人材リソースの獲得、育成を進めていく上でも期待している。
■考察
 受託開発と商品企画を構築していくというものの違いというものは確かに存在しています。大手Sierであれば当然双方の力量を持つことはありますが、往々にしてどちらかに偏りがちにはなります。その意味で開発構築における機動性とリソースバランスをしなやかに対応していける体制としては良い部分であると理解しています。
 今後双方のナレッジや手法を共有していく中では、答弁にもあった敬意などはコミュニケーションとしては重要になってくると思いますが、手法の違い等はなかなか一筋縄では会い知れない部分もあると思います、単純にウォーターフォールなのか、アジャイルなのかという所からしてももう宗教の違いのようなものも生まれます。実態として両社の差異があるのかないのか定かではないのですが、このような視点で聞いて出てこないという事はそこまで喫緊の課題というものはないということなのかもしれません。

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 ここで会場からの質問は終了し、ハイブリッド型参加者からの質問の受付となりました。ハイブリッド型参加者からの質問は3問でした。
 なお、ここに白状しますが、このうち2問は私の妻からの質問投稿でした。もちろん家庭では投資先企業において、様々な事を語り合う事もあるわけですが、そんな中で投じたものです。本当は私が預かって会場で質問なり対話なりが出来ればよかったのですが、結果、妻にも投稿してもらうということになりました。(冒頭2問がその質問となります)
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Q PR TIMESの営業活動の状況について
 PR TIMESにおける営業体制含めて人材リソースも少数精鋭で進められている中で、気持ちはあっても手が回らないといったケースにより、現場士気の持続性などに課題はみられないでしょうか。課題顕在化への対応として足元の改善だけでなく、持続的な伴走体制構築に向けた方針をどのように見据えられていますか。足元の成果と今後の対応方針をご教授願います。
A
 営業組織として少数精鋭で多くのお客様への対応にあたっている。取り組みとしては営業の仕事を大きく2つに分けた。いわゆる付加価値を高めるコンサルやサポートの側面と、契約や請求等の事務という側面。当然どちらも大切であるが、この求められる職能が異なる両者を明示的に分けて、役割を明確にしたことによる成果が表れている。人事もこのような背景で営業体制の強化に取り組んでいるし、新入社員も本人の配属希望が第一ではあるが、営業希望の方が多く存在してそのような結果になれば嬉しいと思っている。今後も営業体制の整備、構築は適宜プレスリリースをしていくつもりなので、注目していただきたい。
■考察
 営業を事務とコンサルサポートという部分に分けたという話は、まぁよくある話ですね。事務に追われて本来の顧客へもたらすべき付加価値創造が後手になってしまうというのはあるあるな話ですからね。その意味では、明示的に手を打って対処されているのは良いと思います。
 気になるのは、現場士気です。元々少数精鋭の体制で取り組んできた中で、顧客接点の持ち方を変えていこうという中で、頭数はなかなか抜本的に変わらないという中にあって、現場の社員のマインドが変わらずにあられるかという視点です。ここは今後離職状況を含めて注意をしていかないといけないなと思っています。

Q 年頭所感について
 山口社長の年頭所感において、挑戦だけで終わるのではなく、期待と実現の循環を作り出しながら目標をUPDATEしていく決意を述べられていました。前期に様々な課題露呈があり、とりわけマーケットからの期待に応えられていないという現実が株価評価にも如実に表れています。2023年の折り返し地点を迎えようという中で、この年頭所感で述べられていた循環作りは有限実行できていますか。またマーケットからの失望が継続している中で、どのような想いでおられるのか、市場が決める事という模範解答ではない想いをお聞かせ下さい。
A
 株価の評価としては、営業利益推移が落ち込んでいるという点と2025年目標を実質的に下方修正とみなされていることを主因にしていると解釈している。期待をして、信頼を損なう結果となってしまっている事は言い訳なく申し訳ないと考えている。
 一方で期待は将来で形成されるものだと考えている。まずは今期目標を達成し、2025年の計画を射程に捉える道筋を決算説明の場などできちんと示していける事、その信頼の再構築が求められている事だと思っている。
■考察
 株価への受け止めは前回の個人投資家説明会を踏襲した内容です。まさに背水の陣ですが、ここは信頼の再構築という観点で頑張って頂きたいですね。私の周りでも株は売ったという方を多く観察しています。実際、私も保有量を減らしています。そういう意味で忸怩たる思いがあるわけですが、信頼は大切だと思いますからね。
 そして年頭所感の有言実行については言及がありませんでしたね。期待と実現の循環というところで、実現は今の時点で述べるのは時期尚早ということなのだと思いますが、別に財務目標の観点だけではないと思います。そもそも年頭所感とは株主に向けたものではなく、むしろ内部の社員に向けて発せられている色彩のものだと思っています。そういう意味では定性的な活動や社内施策を含めた様々な部分での期待を実現で上書きするような循環が出来ているかという点ではよくわからなかったですね。

Q 米国進出のUPDATE目途について
 米国進出の続報を期待しているが、この続報が出るのは今期中は無理で、来期というイメージなのか。今後の状況がみえないが、どういうスケジュール感で今後の目途が示されるのか。
A
 米国のついては、相手があることなので、なかなかスケジュールを明示化する事は難しい。ただ2025年には米国展開を本格化させているという姿を示す目標は変えていない。ただ、では足元ですぐにという事はなかなか難しく今期もしくは来期前半に何かという事も確定的には申し上げられない。適宜必要なUPDATEがあればプレスリリースにて公開していきたい。
■考察
 この件は何を聞いてもだめですよね(笑)。直接的にプレスリリース会社のM&Aではなく、周辺系から埋めていくというアプローチもこれまで言及があった気もしましたが、その色彩も今回はなかったですね。印象としては停滞しているような印象を受けましたが、さてどうなんでしょうね。そもそも、国内でもこれまで議論があったようにまだなすべき事山積という中で、なかなか経営リソースの観点から難しさもあると思います。なんとなくそういう雰囲気を感じたのですよね・・・。

4.さいごに

 株主総会の運営などにおいて、かなり厳しいトーンで記載をしました。それだけ期待が大きいということでもあります。決して手を抜こうとかいうことではないはずです。むしろ誠実に対応しようという気持ちが大きい一方で、それが不器用なのかなという印象でもあります。山口さんはもとより、株主総会やIRを掌握する三島さんも大変優秀な方で、私から見れば天井人です。ですからしがない窓際サラリーマンの私が思いつくようなことは当然のことながら、百歩先をいっているはずです。しかし、私のように頭の悪い株主もいます。同社を応援したいと思って同志の株主が集まり、対話を重ねて会社を盛り上げていければいいなと思っています。所詮は外野の人、とどこか区切られる事がある事もやむ得ないのかもしれませんが、せっかく頂いたご縁ですし、株価が下がったとかで日々は悶絶したりということもありますが、それでも応援しようと思う会社がある事は幸せなことだと思っています。
 しがない株主ではありますが、会社側から耳を傾けてみようと思ってもらえるように、今後も同社の応援団として見守っていければいいなと思っています。
 頑張れ、PR TIMES!

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