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ステップ(東証プライム/9795) 株主総会レポート 2023/12/16

 東証プライム上場のステップの株主総会に出席しました。当記事で株主総会の様子をご紹介したいと思います。なお、記載内容は、私の主観で脚色した記載ですので、意図せず齟齬等が混在している可能性がありますので、ご参考程度にご笑覧頂ければと思います。また、当記事は同会社の株式の売買を推奨するものではございません。

 今年のレポートこそは、短文で終わらせたいと思います。


1.参考記事

 同社に関連した過去の記事をご紹介しておきます。
ここでは、前回の株主総会のレポートと、直近の決算メモの記事を再掲しておきます。

2.株主総会の流れ

 株主総会の流れを、手元の時計でのざっくりしたものではありますが列挙していきたいと思います。

13:00 開会 (遠藤社長)
13:02 議決権数確認 (新井取締役)
13:03 監査報告 (片山監査役)
13:05 決算報告 (今野経理部長)
13:14 現状報告<小中学部・キッズ> (遠藤社長)
13:40 現状報告<高校部> (大黒取締役)
13:55 今後の方向性 (龍井会長)
14:10 質疑応答
15:03 議案上程・議案に係る質疑応答
15:18 閉会
15:20 退任・新任役員の挨拶
 ~ 休憩 ~
15:40 事業説明会 開始
16:30 事業説明会 終了

 議決権行使の状況については以下の通りです(手書きメモなので数値が違っていたらすみません)。

◇2023年 (今回)
 議決権を有する株主数  5,600人/13,522人 (41.4%)
 議決権数        130,322個/162,933個 (80.0%)
◇2022年
 議決権を有する株主数  2,770人/6,870人 (40.3%)
 議決権数        134,342個/165,863個 (81.0%)
◇2021年
 議決権を有する株主数  2,564人  / 6,133人 (41.8%)
 議決権数        139,789個 / 165,008個 (84.7%)
◇2020年
 議決権を有する株主数  2,002人  / 5,547人 (36.1%)
 議決権数        142,790個 / 165,021個(86.5%)

 株主数が倍増していたので、議決権行使状況がどう変化するかなーと思っていましたが、ほぼ変化なしという感じですね。議決権行使率が漸減していますが、それでも80%を維持しています。

 会場はステップ本部(本社)のあるすぐ横の商工会議所のホールです。このホールはあの著名投資家kenmoさんが主催する湘南投資勉強会さんの本拠地?でもあります。事前登録制でしたから、予め200人程度の席が用意されていたかと思いますが、ほぼ満席という状況だったと思います。年齢層もシニアの方が中心というより、若い方も多く、何より高校生のご子息を伴った親子で参加されている方も散見されました。ステップの生徒さんなのでしょうかね。とてもよいことだな、と感じました。土曜日に開催して下さることもあり、現役世代や学生にも参加がしやすく、ハートフルな対応が素敵です。休日対応をされている多くのスタッフの方々に感謝ですね。

 それから今年は初めての午後開催でした。これまでは朝10時開会ということでしたから、朝もゆっくり藤沢の地まで赴く事が出来ます。何より、遠方から来られる方もいらっしゃるようで、当日の移動でも来場できような配慮も念頭にあったのかなと思いました。今後、どうされていくかはまた検討されるのだと思いますが、どうせなら、夕方以降、自費で構わないので懇親会とかもあるといいなと思いました。コロナ禍前は立食パーティー形式(但し華美な飲食は省かれ簡単な茶菓子のみ)でざっくばらんに交流が出来る時間がありました。飲食等は不要、もしくは自費で構わないのでこういう機会があるとよりダイレクトに、また様々な提言をもとに意見を交わせるなーと感じた次第です。今回の株主総会では2030年以降をどうするか、という重たいテーマも取り扱われ、まだ悩みの渦中にあるという中で、その問題提起に対して、インタラクティブに議論を深めたいなと思いましたしね。どうしても平場ですとこうしたら、ああしたら、でもこういうのも課題ですよね、というやり取りが制約されてしまいます。もちろん、私のような素人の提言なんて、何周も遅れてて聞くに値しない、という事かもしれませんが、保護者株主の方も含めて様々な距離感でこういった問題提起に対して、ステップがよりよくなって欲しいと思う集いだからこそ、何か建設的な場になれるといいなと思いました。

 開会の時間が近くなると、役員の方々も、ぞろぞろと入室されてきます。相変わらず「役員登壇」的に一礼して、一人ずつ重々しく入場される他社の状況とは違い、席にいる株主の方と談笑しながら、役員席に着席される感じが、その距離感の近さを表しています。社外取締役の木島さんに至っては、私に対して笑顔で、「今日は私には質問しなくていいからね~」とぶっこんでくれました。もちろん、これはダチョウ倶楽部的なフリだと思ってますからと応答し、そのフリに対してきちんとマイクを向ける質問をさせて頂きました(笑)。

 それから役員席には普通、「〇〇取締役」みたいな個人名が書かれた札のようなものが席に配置されるのですが、そういった対応もなく、ざっくり取締役、監査役とだけ表記されている緩さもまた同社らしいですね。

 なお、今回も株主向けライブ中継(こちらも事前登録制)がなされており、ハイブリッド形式での開催となっています。こちらは今年も参加人数も少なかったようで残念ですね。全国各地で各種投資勉強会等が盛んな中で、同社の株主総会はエンタメ性もありそれなりに楽しいと思うのですが、やはり「儲けネタ」の加減みたいな所でこういう潮流になっているのかもしれませんね。投資勉強会も大変意義あるものであると思いますが、同時に株主総会もいい機会だと思うのですけどね。ここまで偏りが生まれるのか、と思いながら、投資家の気持ちに想いを馳せてしまいますね。

3.報告事項について

 冒頭で決算報告として経理部長の今野氏がお話されます。これは毎年のことなのですが、株主総会における報告事項として取締役以外の方がご説明されるのは珍しいことですね。いや、別におかしいと言っているわけではないですけどね。内容としては、開示されている決算説明資料に沿った内容をお話されていきます。特段ここで目新しい内容はありません。主に前期の実績を財務諸表を中心に、その取り組み状況について報告があります。逆にその後の説明としては財務の定量的な部分への言及は一切出てきません(笑)。難解な財務諸表の数値などは、ここに参加されている方はあまり興味関心がないのかもしれません(乱暴)。まぁ大きな成長なんてありませんが、財務的には総じて堅実な経営がなされているという一言で終わりでいいですからね。

・小中学部について

 小中学部とキッズの状況についてという事で所掌の遠藤社長から説明がありました。昨年はキッズの責任者の佐藤氏から個別のご説明がありましたが、今年は遠藤社長が纏めてお話をされました。これは何故でしょうね…。
 冒頭はオリコン顧客満足度調査からです。これは昨年以前も同じ流れです。昨年はTOPでしたがかなり差を詰められての事でしたが、今年はまた少し差を広げられています。まぁあくまで水物の要素もありますからね。個々での趣旨はきちんと生徒本位の体制を継続出来ているということでしょうね。
 横浜・川崎戦略についてです。ステップが今後緩やかな成長を持続していくためにはこの横浜・川崎の人口集中地域への出校を進めていく必要があるわけです。この部分を生徒のシェア率を比較して分析した説明です。個々の細かい評価は割愛しますが、横浜市全体でのシェアを中期的に10%、長期的には15%まで高めていくという中で25校程度の出校余地があるということです。既にこの15%を達成している地域と全くシェアがない地域が広い横浜市の中で明暗がくっきりしている中で、今後の出校地域も含めて容易に想像できます。川崎についても同様の考え方で15校程度の出校余地があるということですね。この出校余地については、四季報の記事においても記載があるため計40校程度というのは目先の中長期的な成長戦略のひとつということになります。極めてシンプルでわかりやすい戦略ですよね。
 この展開を進めていくために必要な所として合格実績の話に移ります。現在TOPが取れていない上位校の実績については多摩と光陵ですが、まずは多摩での奪取を進めたいという意欲が示されていました。だいぶ差が縮まってきていますからね…。

・新経営方針について

 小中学部の件の説明の後、遠藤社長がそのまま新経営方針についてもご説明されました、赴きが変わるため、章を分けておきます。
 この新経営方針については、冒頭でこれを踏まえた心証を記事にもしておりますが趣旨は3つの柱です。すなわち、社員、生徒、株主双方への対応ということです。個々にどういう還元や投資を行うのか改めて説明がありました。特段ここで目新しい話はありませんので割愛しますが、ステップの認知度向上のためのyoutube活動については、他社比較等もされながらアピールされていました。チャンネル登録、高評価お願いします、っていうのが面白かったです(笑)。生徒に向けた投資の一環として、はば広授業で使う早押し機を作ったそうです。20人の席にUSBでボタンを置けるようにして、押した順番がコンマ秒でわかるという機械をメーカーさんと独自に製作したようで、その写真や生徒さんが使われている動画を紹介してくださいました。真面目にこういうことやってしまうあたりが、面白いな、と思いました。
 また生徒還元の所はでスクール図書の充実という取り組みも紹介されていました。生徒さんが授業の前などに各々図書を読んでいる様子も動画で紹介されていました。いかにも賢そうな子供達が伝記や科学系の本を読んでいる様子が日常だとすると相当に力が備わっていきそうですね。こういうあたりも家庭により支持を集められる要素になっていくとよいですよね。

・キッズについて

 キッズについても生徒数は順調に伸びているということですね。ただ、後に説明がある通り、収益モデルという点でみると黒字化までの期間の課題というものもあるようです。この部門が小中学部、そして高校部に次ぐ柱になれるよう、展開が進んでいくものと思います。何よりコンテンツ力が高い事で支持を集めていますが、この場では、ミニ四駆教室などで工作や工夫による試行錯誤の機会なども与えられており、いわゆる学習面のテクニックで点数を取るというだけではない多面的な活動が、この投資で出来るようになることは、ステップ生の益々の活躍に期待が持てますし、保護者の立場からするとより安心出来る取り組みに繋がっているのだなと感じました。

・高校部について

 高校部については、大黒さんがお話をされます。今年は私大の受験状況についての解説がありましたね。ステップ生で一番受験者が多いのはどこか、というクイズから始まります。そして塾としての合格者の輩出状況が大学側の目に留まり、大学から学校説明会をやりたいという要望も頂いて対応してきたというような話も伺いました。ここでは個別大学名等は控えますが、相応の著名な大学とこういう形で連携出来ることは、特定の地域にありながら存在感が増している証左であるということなのでしょうね。細かい高校別の分析などマニアックな話が続きます。個々のバイネームでの話はここでは割愛します。ただ、もの凄く分析を精緻にされていて、かつ状況が年々よくなっているという事が伝わる内容でした。
 そいて生徒の声として一番好評なのは、対面授業でリアルに切磋琢磨できる環境ということのようです。そういう生徒の声も動画で紹介下さりました。昨今、利便性の向上により映像授業等が盛んな中で、近場で仲間と切磋琢磨出来る環境があるというのは、一見不便があるかもしれませんが、それに勝るよきものがあるのでしょうね。なんでもコスパ、タイパ等と言われる世の中ですが、こういう所でも合理性だけでは図れない状況があるのだなと思いました。

・全社の方向性

 最後は全社のことについて、龍井会長がお話されます。冒頭では、昨年同様に全社を龍井会長個人の主観による採点ということで、各部門について語られていました。

<小中学部> 84点(昨年76点)
+ 横浜・川崎戦略が着実に進んでいること
+ 横浜翠嵐のTOPを奪取できたこと
+ 生徒数が堅調(インフレによる家計調査による落ち込みはあれど堅調)
+ 多摩高校の実績を伸ばし、TOPがみえつつある状況となったこと
- 横浜翠嵐のTOPで圧倒てきなかったこと
- より広範囲な人材を厚くしながら数を伸ばしていくこと
- 人口動態を踏まえた体制シフトが道半ばであること

<高校部> 90点(昨年88点)
+ 信頼度向上で進学校にとって最善選択となりつつある
+ 有益な人材獲得(全国区で先生が集結。社員型で初の本格対応が視野)
+ 小中学部と遜色ない収益構造の確立
- 人材層のより厚い 
- 入会待ちの抜本的な改善は道半ば(OB生以外を受け入れられない状況)

<キッズ> 80点(昨年80点)
+ 湘南教室が満席状態化/辻堂教室も同様に目途がついた
+ 収益モデルとしての在り方がみえてきた
- 茅ヶ崎教室と白楽教室の立ち上がり(黒字化までの期間短縮) 
- プログラムの標準化と共有化(先鋭化との兼ね合い)

 以上から、総合得点は85点(昨年82点)ということでした。昨年の総会では90点を目指したいということでしたが、残念ながら90点は来年以降に持ち越しになりましたね。

<2030年以降の課題>
・少子高齢化への対応
神奈川県下は2030年までは大丈夫。大事なのはその先。
出生数から確実に2030年より後は、抜本的な少子化対応をしていかねばならない中で、運営設計(何人のクラスでどういう授業料設計にするのか)ということを本格的に検討していく準備を進めていかねばならない。
・人材獲得・育成への対応
youtubeをはじめ認知度は上がり、採用力もあがっているもののまだまだ足りない。教える事が好きという人にとっては天職だが、その分ハードである。教える事が好きだという中でこのハードな働き方を意欲的に捉えてくれる人をより惹き付ける設計が必要。
・働き方改革への対応
生徒を預かるという事を踏まえてどういうあり方があるのか考える必要がある。育児休暇等での穴が出る際に、生徒のマインドに影響を与えないやり方がどう形成されるべきなのか。

 この3つの対応をうまくやっていけば、2030年以降もステップがより強固に成長出来ると考えておられるようですね。そしてこの諸課題への検討は容易いものではなく、どこかで出校を止めて、この課題対処のためにリソースを使うという期をどこかでつくっていかねばならないと考えられているようです。これは直接きちんとお話を聞けば、凄く納得するし共感もするし、長期で応援する立場として託したいと思うわけですが、一方でPLだけ見ている人からすると大きな失望を買う事にも繋がるため、きちんとIRを通してこういう志向を共有しておくべきだと強く感じました。
 つまり超長期的な目線での体制作りという事を考えた時、足元の1-2年は出校を止めてこれらの課題対処に全力投入するという時期を作っていきたいということですからね。当然ながら、その間売上成長は一旦止まり、むしろコストは増えるわけですが、減益になるという事を仰っているわけです。こういう所への共感や理解を今のうちに計っておくということは、IR等を通して上手く説明をなされるといいなと思います。
 もちろん、現時点でまだ見通しもない中で、示していくという事は難しい側面はあると思いますが、株主総会でお話を聞けば多くの方が納得出来るだろうことを、広く市場参加者にもメッセージングして頂けるようになるといいなと思っています。決算説明資料に課題認識として記載するだけでもだいぶ違う気がしますからね。

4.質疑応答(報告事項)

 ここからは報告事項に関する質疑です。議案に関する質疑はこの後、議案上程後に改めて受け付けられます。以下質疑の内容をメモとして残していきます。繰り返しになりますが、あくまで私の個人の心証等で脚色していますし、誤認している可能性も多々あるため、参考程度に留めて頂ければと思います。
 今回は事前質問の受付もありましたので、その内容から回答されていました。その後に会場からの質問を受け付けられてました(1人2問まで)。私が質問したものは★印をつけておきます。

事前Q 授業料値上げについて
 
授業料値上げについては今期は見送ったということだが、どういう判断や今後対応していく際の方向性について教えて欲しい。
A
 新年度の授業料はしない事を意思決定した。1月の新年度説明会に向けて9月には授業料を含めた来年度の運営方針について決定し、丁寧に説明をしていく方針。インフレ化で物品はもちろん人件費の高騰等、価格転嫁余地は当然ながら議論した。しかしながら、競合他社の状況やご家庭の家計の状況等を踏まえた時に、今のタイミングは悪手だという判断をした。来年度以降や家賃負担の大きい地域等は検討していきたい。
■考察
 ここは判断が難しい所ですよね。家計調査などで明確に学習塾等の校外学習費への支出が厳しい状況であるという事が示されている中で、上場競合他社の月次や決算情報を見ていても値上げして生徒数も減り、トータルの売上はむしろ下がる、みたいな事も実際に起こっているわけですからね。ステップは庶民の塾を標榜されている中で、敢えて生活防衛マインドが高まっている時に、ここでもまた値上げか、と思われるようなタイミングではなく、もう少しタイミングを見計らいたいということなのだろうと思います。まぁ実際問題、質と信頼の向上に努めているステップであれば、そこまで家庭からの受容度は高い気もするんですけどね。まぁこういう姿勢からの安心感がああるからこそ、信頼も増すのだと思いますし、もう少しタイミングを図ってということなのだと思います。

事前Q 校舎物件の自社保有方針について
 
校舎物件の資産は自己保有と賃貸とでまちまちであるが、自社保有することは資本効率を下げる要因でもある。どのような判断で現状況となっているのか。
A
 スクール開校後は長年運営していくことになるが、その地域に賃貸がない場合など(特に県中西地域など)は自社物件となるが、基本は賃貸。逆に横浜や川崎といった都市部の場合、好立地な場所には多くの賃貸物件もあり、十分選択の余地があるし、そもそも不動産価格的にも賃貸が望ましいと考えている。
■考察
 今後は都市部中心になってきますし、好立地でステップが自社物件で建てるということはないでしょね。そもそも場所もないですしね。今後は自ずと資本効率性も高まってくるのではないでしょうか。

★Q 新たな経営方針の策定について
 新たな経営方針の策定について、3方向に態度を示した事を評価したい。一方でタイミングとしては期中に業績予想の修正伴う形での実施になった。このようなタイミングで踏み切ったきっかけ・背景について教えて頂きたい。また、取締役会ではこの方針での報い方の加減等の議論としてどのような議論のプロセスを経てきたのか、反対意見や対案はなかったのかなど教えて頂きたい。
A
 
一番大きかった背景はコロナ禍である。今年の春に5類に移行するまでの3年余りの間、現場の社員には多くの苦労をかけてきた。経営として現場で頑張ってくれた各位に多大なる感謝の気持ちがあり、これまでも寸志等等の対応を行ってきたが、より本格的な感謝の気持ちを改めて還元する事が必要だろうという下で、この政策は中長期的に見ても士気向上等の観点から有益だと考えていた。但し、会社の利益を足元では毀損する事に対する理解醸成という観点から株主還元も同時に強化する事で理解を得たいという想いがありこの発表に至った。元々教師、生徒、株主に各々に報いたいという想いは元々発想として思っていたが、小出しにせずどうせやるならすべてこの機会に政策として発表したいということでこのタイミングになった次第。(龍井会長)
■考察
 ここでも龍井会長の強烈なリーダシップが発揮された様子がよくわかりました。新たな経営方針そのものは全方位で真っ当な事をなされようとしており、全く持って異論もなく、私個人としても嬉しい気持ちになりました。一方で取締役会で様々な意見が出たという点にはあまり言及がありませんでした。この質問を通して取締役会での意思決定等を想像したくて質問をしたのですが、遠藤社長への権限や委譲という部分、あるいは他の取締役の方の主張がどういう形で形成されているのか、という部分を観測したいなと思いました。いやいや、株主還元は一旦おいておいてまずはより社員や生徒に還元しようとか、より内部留保を厚くしていくべきであるといったような異論がなかったのかなという所も気になりました。最終結論としてはバランスがよい着地点となったように思いますが、どういう議論を経てきたかという点でより複層的な議論の上でより良い道を拓いていける姿というものを今後も期待したいなと思いました。

★Q 社外取締役の活動について
 社外取締役の木島さんと仲野さんは継続して社外取締役としてご活躍されるとの事で期待をしております。社外取締役は一般的には、我々少数株主のためになる観点で取締役会の議論をリード頂くお立場だと認識していますが、この一年、当社経営に関してどのような付加価値向上の働きかけをして頂いたでしょうか。お二人から直接ご説明頂ければ幸いです。また遠藤社長からみて、お二人の社外取締役のお立場からの活動に関してどのような想いで受け止めておられますか。
A
 
新たな経営方針の策定にあって、人件費をあげていく中で株主にとってはメリットをどう見出すかという提言はした。ただ、既にそこへの対応も検討されており、配当性向を50%にするということで素晴らしいと思ったということもあった。生徒本位という部分への投資もぬかりなく、全方向に良き政策になった。そしてこれが出来るようになったのはそもそも、ステップがコロナ禍で相当鍛えられ、その対応力によって明暗が分かれた中で、ステップは大きく成長する事ができたからこそだと評価している。今後も極力課題点に目を向けて改善していけるスタンスで臨んでいるものの、業績もよく全方位で素晴らしい経営をしていることもあり、中々ツッコミ所がないというのが率直なところ。(木島社外取締役)
 他の塾の活動等の情報提供を期待されていると思っており、様々な動向をインプットする活動を続けてきた。フリースクールなどの運営にも携わっている関係から、不登校問題への対応等も提言もしてきている。通信制高校等のモデルのポテンシャル等も今後提案していければと思っている(仲野社外取締役)
 お二人とも各々で専門的有識者である。全国レベルでの比較分析に置いて有益であると考えている。(遠藤社長)
■考察
 こちらの質問は木島さんにマイクを渡したいという想いと仲野さんの活動を把握しておきたいという想いで質問しました。事業活動などに特段ツッコミどころがない中で、株主総会という場で役員にマイクが出来るだけ回る方がいいと思ってのことです。本当は退任する袴田さんや教師職としてではない間接的に生徒に触れられている森本さんへも質問を投じたいのですが、質問数が限られていますからね。
 今年は時間制約もタイトであることから、木島さんに対しても長話にならないように厳しくご指導があったようで(笑)、比較的短尺でのご回答でした。来年はダメ出しをして欲しいという「質問のアドバイス」も後で指南頂いたので、本当にそのまま質問したいと思います(笑)。
 仲野さんのご回答でフリースクールはなかなか収益的にも難しいという回答があり、これは実は事前に把握していたのですが、通信制高校については言及があったのは意外でした。なかなかステップが、というのは難しい気もするのですが、時代の要請の中でそういう進路が今まで以上にスタンダード化することは十分想定されますからね。

Q 教師の不正行為への対応について
 教師が生徒にセクハラを働く等の問題が他社で起こっている。ステップではそのような事はないと信じているが、どのような対策や研修体制等をとっているか。木島社外取締役にもステップの先生の特徴等を踏まえてコメントを頂きたい。
A
 青少年に接する仕事であることから、相当早くから対策してきているし、ステップにはそういう先生はいない。万が一そういうことがある場合には無記名のアンケートを取っており、そのようなリスクを有していない。また問題が起こる前から対策を打っており、録画機能のあるデバイスを持ち込ませないことや、密室にはしない、キッズ教室等では自己申告が難しい事も想像されることから、監視カメラを置く等の対策はとっている。(遠藤社長)
 ステップの先生と他塾(ここでは敢えて明記しません)との先生との違いという意味でみると大きな違いがない。人材育成への考え方が違う。ステップの場合、人材育成が長期目線かつ常にフレッシュということ。ベテランであっても常にフレッシュな目線で生徒に向き合う、退職するまで毎年が新人という発想であること。だからこそ安心して教務に集中出来るということ。ただ視野が狭くなるという弊害もあると考えられる。経営へのスキルや後輩への対人スキル等、多面的なスキルを有せるような教育体制が必要であると課題認識している。(木島社外取締役)
■考察
 この質問は出るかなと思っていました。回答内容はやや楽観的かなとも思いましたが、こればかりはなかなか対処が難しいところではありますよね。特に性的志向の部分では、常識が通じない部分でもありますからね。私がこの件を質問するとしたら、いわゆる「日本版DBS」の対象業務として学習塾業界は外れた中で、どのように教師のプライベートとの狭間でリスク管理を行っていくかという事を聞きますかね。ただ、今回のようにストレートに質問しても、株主総会の場となれば余計に、うちの塾の先生に限ってそんな先生はいないよ、という回答になってしまいますよね(いやこれはしょうがないと思うのです)。

Q 自社株の活用方法
 自社株の取得を大胆に進められるとのことだが、その活用方法をどう考えているか。具体的には消却していく方向で検討はされないのか。
A
 第一にRSへの活用を考えている。年間10万株を目途に実施を継続していきたい。またMA案件も日々入ってきている。我々は独自路線でこれまでもやってきているが、良質な人材という点で補完が出来るのであれば、こういう機会も大事にしていきたいという中で、活用をしていきたいと考えている。現時点でこのような有効活用策も複数あり、現時点で消却という事を検討していることはないが長期的には効率性の観点で検討はしていきたい。(遠藤社長)
■考察
 まぁ仮に消却予定があったとしても、そういう事は話せませんからね(笑)。それより、MAの件はこれまであまり発言を聞いたことはありませんでしたが、多数そういう案件が入ってきているという言及はあまりこれまでなかった気がします。もちろん、様々な案件があるというのは今も昔も変わらないと思いますが、この言及があったのもコロナ禍前にMAについての直接的な質問に対しての言及でしたから、今回のように間接的な話題の文脈で語られたということは、コロナ禍を通して、本当にそういう機会が増えているのかもしれませんね。ただ、人材が欲しいだけなら、結局今の採用活動の延長で実現出来てしまうとも思うのですよね。わざわざ会社そのものをMAしなくてもですね・・・。
 RSはどんどん進めて頂ければより士気向上に繋がるものにして頂ければよいのかなと思いますが、やはり株価が堅調な推移になってくれないと、なかなかエンゲージメントを高める事も出来ません。急激な株価変動を抑えつつ、RS付与された分も含めて社員の皆様がより恩恵に預かれるという状況になっていくといいのだろうと思います。

Q 事前登録制にしている理由
 株主にとってはコロナ禍では亡くなった中で、事前登録制にしていることはなぜか。年に1回の総会の場を制限することには問題もあると考えているがなぜこういう形態にしたのか。
A
 仰るように制限をするという意図ではなかった。会場の受容人数として予め把握をしておきたかったという趣旨。様々な会場を検討するにあたり、事前に把握してお迎えしたいという想いであった。今後はやり方を検討したい。(遠藤社長/龍井会長)
■考察
 今回は事前登録制といいつつ、定員を超えた場合には抽選とするという文言はありませんでした。従って、本当に事前に把握をしておきたいという意向だったのだと思います。質問した株主さんは「制限」という言葉を使われていましたが、手続きを求めるというハードルが「制限」だと言われてしまえば、確かにそれは制限なのかもしれませんが、発行体側も事前に把握しておきたいという気持ちもよくわかります。Webだけでなく電話やはがきでも受け付けられるようにという事前登録の作業のハードルという観点よりも、そういう行為が必要になるということ自体がハードルだと受け止められてしまうのは悲しい気もしました。
 しかし、実際に私の周りでも事前登録を失念しそうになったりとか、実際忘れてしまったとかいうケースもあったようです。ですから一般的にはやはりハードルがあるということなのかもしれませんが、だからといって安全サイドに倒して巨大なホールを借りるみたいなことをするのもまたいかがなものかと思います。無駄ですよね。
 個人的には事前登録を受け付けしつつ、事前登録してない方は会場に余裕があれば入って頂けるが、会場が満席になれば第二会場たる本社のホールでパブリックビューイングにて参加してもらうという形式がよいように思います。あるいはもっとシンプルに事前登録をやめて、先着順で入ってもらい、万が一会場が満席になればパブビューへみたいな感じですね。そういう運用とする事を明記しておけばよいと思います。実際、トヨタ自動車のようにサブ会場が何個もある、みたいなこともありますからね。

Q 早押しボタンの拡販について
 今回開発された早押しボタンを拡販したらどうか。
A
 貴重な意見。今後の参考にしたい。
■考察
 これ、私も今日話を聞きながら同じ事を考えてました。一定のニッチのニーズがあるように思いますし、子供達にレンタルするとかありそうですね。すぐに壊されそうですが(笑)。

Q 中計開示について
 2030年代への長期課題対処というようなものを開示されたらよいのではないか。
A
 貴重な意見。今後の参考にしたい。
■考察
 中計というと、数値目標をコミットさせられて、という文脈でネガティブに扱われることもあります。特にステップのような会社にあまり数値目標なんておくようなものではないのですが、今日、2030年以降の長期課題というものが示された中においては、こういう課題認識は是非IRできちんと示して頂きたいなと思いました。その有効策などが現時点で定まっていないとしても、早期からそういう問題意識を共有頂けると、投資家もどこかで収益面で踊り場を迎えるという時においても理解醸成がより図られやすいように思います。現時点で方針がなくても、こういう課題があると示すだけでもまずは一歩だと思いますからね。

Q キッズの授業料設計について
 キッズの湘南教室はすぐに満席になり恒常的に入会が出来ないという状況は、単純に高いサービスレベルとの値段にギャップがあるという事だと理解しているが、授業料の設計で値上げ余地はないのか。
A
 指摘のある通り、提供しているサービスを見ると、習い事と比べてみると相当に割安であるという事は認識しており、定員が恒常的に満席という状況からも値上げ余地はあると考えている。但し、我々は庶民の塾でもあり、急激な値上げなどはしたくないとも思っている。とはいえ、恒常的に受け入れが出来ないという点でどういう対処があるのかは引き続き検討していきたい。(遠藤社長)
■考察
 ここは難しい問題ではありますし、それが最適かはわかりませんが、やはり需給が極端に偏っているのであれば、授業料という部分である程度調整するのが妥当なのではないかなとも思いますね。格差を作ってしまう弊害みたいな所もあるので慎重にやっていかねばならないところではありますけどね。

Q キッズの預け入れ時間の拡大余地について
 学童と謳っている以上、学校の急な休校時などでも朝から追加料金を徴収したとしてももう少しフレキシブルな対応はできないか。
A
 貴重なご指摘。あとは送り迎えの問題なども含めて対応を検討していきたい。
■考察
 学童として運営しているとなると、やはり前後の延長の要望は出てきますよね。特に臨時休校時等の対応は急な対応も必要になることもあり、対応にも相応の負荷がかかりますしね。

Q 川崎・横浜の出校戦略について
 (質問者さんが雄弁であることから質問が汲み取れず・・・)
A
 川崎区海側地域はポテンシャルがある地域。横浜の西区は中学生徒が少ないエリア。但し保土谷区側はポテンシャルがあるため出校したい。
■考察
 結局、色々な地域を質問されていましたが、うまく意図が汲み取れませんでした。。。

Q 光陵の合格実績について
 (質問者さんが雄弁でありまして・・・)なぜ合格実績が芳しくないのか。
A
 受験者数がそこまで増えていない。とはいえ、年々あがってきている。TOPを取っていきたい。
■考察
 前問同様、趣旨が上手く拾えずでした。光陵も頑張りますということでよいのでしょうかね。

 ここまでで事業報告の質問は締め切られました。一部の質問を残した感じですね。この後議案の上呈がなされ、更に議案に関する質問を受けてくれます。そして議案に関する質問についても事前質問がありました。

5.質疑応答(議案関連)

 それでは、ここからは議案関連の質疑についてメモを残していきます。引き続き、ここでの記載は私の主観で纏めていますし、記憶違い等で齟齬が生じている可能性があります。ご容赦下さい。

★事前Q 社内取締役の選任について
 袴田氏の退任や新たに松浦氏の選任案が挙げられているが狙いなどについて(割愛して表記)
A
 社内には執行役員にはできるだけ取締役会を経験させ、より中長期的な課題対処を議論する知見を得てもらいたいという想い。袴田氏の退任において何か不都合があったわけでもなく、経験の平準化という観点。
■考察
 
これは事前に投稿しておりました(笑)。こういう方針を持たれているという事をあまり認知出来ていなかったので、今回こういうお話を伺えてよかったです。そしてその趣旨も十分理解出来ました。とてもよいことですね。来年から袴田さんにお会いできなくなってしまう?のが残念ですけどね。

★事前Q 社外取締役の選任理由について
 各社外取締役の選任理由について(割愛して表記)
A
 相澤氏は教育社会学の教授をされている。ステップでは生徒に楽しく勉強してもらい、合格実績を得てもらいたいという想いであるが、合格実績ばかりに目を向けているとややもすると人的成長という意味で偏る可能性もある。ステップがより広く人材を育てるという教育に携わる会社として、多面的な目線で監視してもらいたいという意図。
 阿部さんは家庭裁判所や児童相談所との関わりもある中で、弁護士の経験をされており、青少年の健全な成長という側面でサポート頂きたい、また女性登用という観点からも参画頂くこととした。
■考察
 以前に学歴社会からの移行という件で、単に合格実績や上位校というブランドだけでは成り立たない世の中になっていくのではないかという事をお話したことがあったのですが、その時には、いやいやそれは確かにそうなんだが、この学習塾業界にあって、なんだかんだいってきちんと学力を備えて上位校に入ることが、その後の将来の可能性を拡げるポテンシャルになるんだよ、というような事をお話した記憶があります。私もまぁ現実そんなものだよな、と思っていたわけです。私自身も思い返せばそういう人生を歩んできていましたからね。
 ですが、今回の相澤氏の選任の答弁を伺っていると、やはりより多面的で高度な事を企図されようとしているんだなという事がよくわかる人選だった気がしました。
 そして阿部さんについても、同様です。家庭環境も様々という中で、今後多様性に対応していくという時に経歴から拝見するにとてもいい人選だなと思った次第です。

事前Q 株主優待の今後の方針について
 今回配当性向をあげたことにより、株主優待の扱いについては廃止は検討されないのでしょうか。
A
 配当性向の向上を行ったことと、現行の株主優待を含めて個人株主の方に魅力を感じて頂けているものと考えている。そのため廃止については検討もしていない。
■考察
 最近は株主の平等性とかいう文脈で配当一本にするという政策もありますからね。配当にした方がわかりやすいという合理的な部分もありますが、一方で優待をありがたいと思っている層も多いわけですからね。
 個人株主数が急増しているという中にあっては、まず半年未満保有は廃止しても良いのではないかと思います。それも半年以上前の予告期間をもってすればよいと思います。
 ちなみにこの後のQAでも出てきますが、授業の還元等は反対です。神奈川県下だけであるということもありますが、同社が特待生を取らず、平等であるという指針にも反します。少なくても経済的なメリットはない方がいいと思います。やるとしても早期入会の対象にしてもらえるくらいがギリギリではないかと思いますが、結局色々複雑になりますからね。現行のまま、そして半年未満の短期には宣告期間を設けた上で廃止するというのが個人的にはバランスがよいように思います。

Q 退任する取締役の方について
 退任する取締役の方に対して、遠藤社長はどのようにみられていたか。また新任の方から挨拶頂きたい
A
 袴田氏は厚木で先生をやっている中で、取締役のメンバーでもあり現場サイドの声を挙げてくれる存在としてありがたかかった。浅野氏は大和証券での経験からガバナンス部分での補完を頂けた。片山氏は社内監査役ということもあるが、大学受験にも精通していたことから社内の現場サイドからの視点での監査等ありがたいと思っていた。八木氏には労災や労務関連の対応で知見を頂き、整理が進んだという点で一区切りという事にさせて頂き、今後は顧問という形で関わって頂きたい。
 新任の方の挨拶は別途時間を設けているのでその際にお話し差し上げたい。(遠藤社長)
■考察
 どのようにみられていたかという質問は答弁難しいですね。そして、ソツの無い回答になりますね。この質問者さんの意図はどこにあったんでしょうね。


6.事業説明会(総会後のQA会)

 株主総会終了後に、休憩時間をとり、更にQA会は続きます。ここでのメモも主観で記載しています。齟齬が介在している可能性があるため、ご留意くださいませ。

Q 一人っ子家庭への対応について
 一人っ子の家庭からみると兄弟割引がある点が格差になってみえてしまう。今後、都市圏に出ていく中で、一人っ子も多い家庭からすると格差を感じてしまうような見え方をすると不利になってしまうのではないか。
A
 ステップは東京が近い都市圏ではより安く感じられている。提供するサービスに対して安いと感じられているのが実情。一人っ子世帯にも何らかの利便を図るとするとほぼ全体の授業料を値下げするということにもなる。頂いたコメントは貴重な意見として受け止める。(遠藤社長)
■考察
 この質問者さんは、ご自身が一人っ子の保護者さんでステップに通わせている中で、兄弟割引が格差と感じられているということですよね。確かに気持ちはわかるのですが、株主の立場で過度に便宜を図るという点は個人的にはあまり好ましく感じませんでした。回答にもあったのですが、そうなると授業料テーブルを全部下げるということになりますからね。むしろ都市圏においては値上げを検討するべき所だと思っていますからね。もちろん今の段階でタイミングの問題で来期は見合わせたはいいと思いますが、細かく便宜を図っていく、あるいは株主だけ便宜を図るというのは、巡り巡ってどこかにハレーションを起こすことになるので、シンプルにした方がいいと思います。

Q 新規出校の状況
 各行の募集の状況は。
A
 概ね収益化が果たされている。懸念はない。
■考察
 直近開校のスクールの募集状況への質問だったでしょうかね。総じてOKとうことですね。むしろ、私は人口減少地域が多い、開校10年超の校舎への状況を知りたいですけどね。

Q IR活動について
 東証からの株価を意識した経営を指南する環境下で、個人投資家向けの対応が必要になる。他社との比較という関係で今後IR活動を強化した方が良いと思うが、どうか。
A
 IRについてはネット活用が効率がよい。youtubeなどでも発信している方も多い。費用対効果も考えながら有益なやり方があればぜひ話を伺いたい。(龍井会長)
■考察
 個人投資家向けのIR機会もあるかもしれませんね(笑)。※詳細は迷惑がかかるとよくないので割愛します。

★Q 人材の課題
 youtube活用により人材獲得も良い状況になっている中で、まだ不足感を示されているがどういう部分に不足感を感じているか。
A
 
休職者が出た場合の余剰人員を抱えていく必要があり、学生アルバイトによるアシスタントティーチャーの体制をどう発展させていくのかという部分もだいぶ進化してきたが、より体制強化のために検討が必要だと考えている。また、女性の現場引退という問題への対応も必要で、優秀な女性の教師が現場を離れるというケースにおいて、それを組織全体でカバーしていくためにあるべき体制を決めていかねばならない。その意味からも採用をより多面的な展開を進めていくために、採用サイドでの認知度向上施策が必要で、単なる現状補完ではない盤石な体制をどう整えるかという課題。破壊的強化が必要。これが成しえればステップは飛躍する。もう少し明確になったら公開していきたい。(龍井会長)
■考察
 課題山積です(笑)。ちょっと全部を正確に文章に起こせませんでしたが、こういう課題に対してまだ答えはないものの、長期的目線できちんと考えている、場合によっては一度業績伸長を止めても本格対処をしていかねばならないというシーンが来ると思います。そういう時にやはり中計という形でも決算説明資料の課題認識という程度でもいいので、今から丁寧に言及をしておくべきだと感じました。このことはご回答のあと、改めて具申しておきました。個人的にはここでのやり取りが一番今後を考える上で大切な着眼点というか、自分事としてステップが飛躍するためにどういう方策があるのだろうかと真剣に考えていきたい宿題を頂いた気がします。いや、経営メンバーがきちんと考えられて対処されていくのだと思いますが、せっかくファン株主をやっているのであれば、こういうコアな課題を共有して一緒にあれやこれやと考えてみたいなと思うわけです。来年の株主総会ではこの課題対処という点で何かしらのUPDATEがあると思いますが、それの評価や受け止めをする際に、全く何も自分で考えていないと議論すらできないですからね。

Q 女性活躍のサポート
 ライクキッズさんなどでは受託型の保育サービスを展開するようなサービスもある。こういうサービスを上手く活用する事が出来れば、夜間帯の対応を含めて育児で辞めざるえない女性社員をサポートする体制の一助になるかもしれないので参考にされてはいかがか。
A
 貴重な意見。
■考察
 こういう提言はいいですよね。具体的ですからね。フットワーク軽いのですぐに検討されそうですね(笑)。

Q 教師1000人体制について
 かつて教師職は顔と名前が一致するレベルでの拡充という観点で1000人規模を一つの目安というような話もあった。現状この辺りの認識はどのようになっているか。
A
 だんだん近づいてきている。今は700人程度であり、向こう40校出校ペースを見据えた時にやはり1000人くらいがひとつのピークになるものと認識している。これ以上となると、会社統治や仕組みも変えないといけなくなる。今の密なコミュニケーションが図られるという点でも、社員からのレポートをみていくという観点でも1000人が限度。但し、次世代の事は後続の人たちが考えること。(龍井会長)
■考察
 この辺りもステップイズムなんですよね。労働集約型でありながら、成長を志向する際には、当然ながらキャップをはめていくことは合理的ではないのですが、しかし質を伴うという部分を大切にしていくと考えると、この辺りのバランス感覚というのは極めて優れているなと感じます。
 次世代の課題としてはっぱをかける様子もまた面白かったですね。

Q 株式分割について
 新NISAへの対応を念頭に分割等を検討しないのか。
A
 長期的にそういう事も視野にやっていかねばならない。若者が成人後に株を買うという時に単位を下げるという事も念頭に置いておきたい。
■考察
 これは今スグにはなさそうな雰囲気でしたが、結構いい指摘だと思うのですよね。一般的には事務コスト等の観点からあまり単元を下げるのも遠慮されがち、というのはわかるのですが、在学生でも今日がステップの株主総会であることを認知されていたり、将来株主になる、というような事を仰る生徒さんも一定数いらっしゃるようなんですよね(以前の総会の場でもそのような趣旨の発言を聞きましたし)。その時にNTTとまではいいませんが、買い求めしやすいくらいに単元を下げておくということは案外裾野やファン株主を拡げるには有効ではないかなとも思います。まぁ個人株主の数がこれだけ急増していることもあり、これ以上増やす方向の政策はとりにくいという所はありそうな気はしますけどね。

 この他の個別のやり取りとしては以下のような話題での対話がありました。内容的にここに詳細を書くべきではない事も含まれますので、ここでは割愛します。

・東京都の教育助成や校内予備校設置の動きを捉えた変化への対応
・塾生株主への報い方(優待拡充等?)
・医学部医学科に進学する生徒さんの状況
・神奈川県下の塾業界の栄枯盛衰について
・龍井会長への期待について(ビジョン策定)
・校舎の照明について
・早慶上理への対応について

7.さいごに

 毎年株主総会にはテーマがあるように思います。昨年でいえばそれがアフコロ下でのステークホルダマネジメントだったと思います。従業員への報い方、そして株主還元への考え方という部分へ様々な提言・議論がなされたわけです。これを踏まえて新たな経営方針が策定され、、敢えて期中に業績予想の下方修正をしてまで大きな転換をさせたわけです。
 今年のテーマはこの新たな経営方針を踏まえたテーマだと思っていたのですが、それを踏まえた更に先の2030年以降をどうしていくのかというテーマを大きな宿題として共有されたいうことだと思います。
 一般的な株主総会といえば、足元の業績や、せいぜい3年後くらいまでを見据えた成長戦略への是非みたいな所が議論され、議案を議決していく場であります。しかし、5年以上先の長期展望に立った時の本質的な課題対処をどう道筋を立てていくのか、未だ方向性を模索している中で一緒にこれを考えるという機会がもてたことは、稀有な株主総会であったなと終わってみて改めて感じました。
 足元で合格実績がどうなるのか、生徒募集の状況がどう推移していくのかなど各々で興味関心で右往左往する事もあるわけですが、株主としてはその先を見据えようと模索する会社の温度感を感じながら、より具体的だったり建設的な提言が重ねられるようにありたいなと思いました。
 こういうステップの活躍を祈念していたいと思います。
 頑張れ、ステップ!

■ 番外編

 午後開催になった事で、ランチを一緒にしましょうということになり、某敏腕投資家数名とランチに行く約束をしていました。しかしながら、目当てのお店は土曜日ということもあり、大行列となっていました。
 実は私は事前質問の投稿フォームに締め切り直前になってしまったのですが、数問質問を投稿させて頂いたのですが、流石に株主総会で時間も限られるので取り扱い出来る範囲で扱って頂ければという想いでとりあえず軽い気持ちで投稿させて頂いたのです。結果、会社側に多少なりともご迷惑をおかけしてしまった自覚があり、開会前にお詫びをしておきたく、結局私は皆さんとのランチの輪を抜け出し会場入りしました。
 早めについた事で事前に関係各位にご挨拶が出来て本望でした(笑)。
 また閉会後は敏腕投資家の方々と夕食をご一緒させて頂きました。目的のお店が混雑で空いてなくて(居酒屋マストバイ(笑))、結局ロイヤルホストに行きました。こちらは普通に席も空いていました。ドリンクバーでひたすらしゃべり倒して大変楽しい時間を過ごしました。ステップへの想いはもちろん、2024の投資戦略の話や新NISAの話など株の話、それ以外にも株以外の話も結構させてもらったかもしれませんね。結局22時くらいまで延々と楽しい時間を過ごさせて頂きました。普段私はオフ会のような場には人見知りで口下手ということもあり遠慮してしまうので、中々こういう機会も少なく楽しく過ごせました。一方で大人数の会合や、圧倒的なカリスマと多数の聴衆という構造下にあるとどうしても消極的になってしまうんですよね。いずれにせよ、こういう機会も多くは求めず、でも大切なご縁は企業であっても投資家であっても大切にしていければいいなと思います。
 



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