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靴の値段の意味が分かる!知っておきたい靴作りの流れ(1)

今日はそもそも靴ってどうやってできるの?(手製のオーダー靴の場合)の話をしたいと思います。

服の作り方は家庭科の授業などで一瞬触れるためなんとなく想像がつくと思いますが、靴となると全くのブラックボックスじゃないでしょうか。

基本的な流れは靴も服も一緒なんですが靴は平面的な革を立体的に変形させる魔法のような過程が入っています。

量産のスニーカー、革靴、ハンドメイドの革靴など靴にもカテゴリーが色々とありますが、靴の中で作るのに一番手間がかかるのが手製のオーダー靴です。

一人の職人さんが月に2−3足しか作れません。普通の方が靴を買う時って1万円以下が大半で、高くても3万円辺りの価格帯が多いと思います。

しかし、オーダー靴は20万円を超えてくるのが普通です。今日はそのオーダー手製靴の解説をしていき、その価格の訳、そしてなぜ量産靴が低価格なのかにせまりたいと思います。

1 採寸、カウンセリング

​まずはお客さんの足の計測、足の荷重分布の測定、歩行分析、足のお悩みを聞き出す、どんな靴が欲しいかなどのカウンセリングを行います。ここで靴の方向性が決まる為とても大切なプロセスです。

ここで得られたデータは後の木型作りというプロセスで生かされていきます。

最近は3Dスキャナを使った3次元計測なんかも流行っています。

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結局、計測したデータをどのように使うのかはその職人さん次第なので3Dスキャンが正しいとかそういうことではありません。スタイルの違いです。

2 デザイン作成

次にどんな靴の外観にするかを決めていきます。デザインの種類(ローファーとかパンプスとかスニーカーとかそういった大まかな種類)、カラー、素材、製法など細かい部分を決めていきます。色々なデザインサンプルを見ながら決めていくため楽しい過程です。

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伝説的シューズデザイナー マノロブラニクさんのデザイン画

3 木型作り

ここのプロセスが靴作り特有で、また難しく楽しい部分でもあります。

木型(ラストとも言う)とは靴の形をした樹脂や木でできた型のことです。

靴はこの木型につり込みと呼ばれる革を木型に被せて固定して型づけをする工程を経ることにより立体的に仕上がっていきます。

この木型が靴の形状及び足へのフィッティングも決めてしまうため、その靴の性能や外観のほとんどの部分がこの木型作りのところで決まってしまいます。

量産靴の場合はより多くの人にフィットするような当たり障りのない大きめな形状の木型がほとんどです。

しかし、オーダー靴の場合はその人の足のデータに基づいてカスタマイズして木型を作れる為、絞れる所は絞った設計をしていることがほとんどで、其れゆえにフォルムも洗練されたものになります。下に参考までに量産の靴木型とビスポークの靴木型の比較画像を載せておきます。

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量産ビジネスシューズ木型 ずんぐりした印象。数千円代の靴でよく見る形

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ビスポークのビジネスシューズ木型 流線型の洗練されたシェイプ

大まかなガイドラインは共通してありますが、木型作りの仕方は設計者によって異なり、計測データを木型にどう反映していくのかはその設計者次第です。

ですのでマニアとしては自分の好みの木型を作ってくれる職人さんを選んでオーダーすると言った楽しみもあります。

4 型紙作り

今度は木型とデザイン画を使って革を裁断するのに使う型紙を製作していきます。この辺は服作りと一緒です。

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木型の上にマスキングテープを貼り、その上にデザイン線を描きます。

そしてそのデザイン線にそってカッターでテープを裁断して、厚紙の上に裁断した形状をトレースしていきます。そこに縫代などの追加の線を追加して最後に型紙を裁断すれば完成です。

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この型紙が設計図の役目を果たし、これに沿って革を裁断、縫製していきます。

次回に続く

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