薫大将と匂の宮 レビュー

古典の成績はいつもダメダメで、落第生の私がなぜか、古典に最近、気になる。源氏物語の流れも知らず、ちょっと読んで挫折した私がいる。

そういう古典の知識は「ばけもの好む中将」シリーズが入り口になった。ということで、読んでみた。夢枕獏の「翁」みたいな話かなと思いきや。宇治十帖の主役の薫と匂宮だ。

誰だ、あなたたち。あれーと思っているうちに本は薫と匂宮について語っていく。

タイトルであるように薫と匂宮が登場するに決まっているだろうというツッコミをしたくなるだろう。早とちりのアホの私は、まあ、いいかと思い直す。

源氏物語の熱いパッションを詰め込んだ作品でもある。雅な世界に殺人。サスペンスと思わない方がいい。サスペンスなんてない。推理小説である。清少納言と紫式部の頭脳対決が体験できる。ここで歴史に詳しい人だと、清少納言と紫式部は同世代ではなく、清少納言のあとに紫式部が出てくるのではないかと。

これはパラレルワールドなんですと解説に書いてある。

私はこじらせ女子だ。面倒くせー性格だと自負している。その面倒くせー性格の二人、この物語の紫式部と清少納言である。式部は表に出るのが苦手と言いつつ、なんだかんだで表に出て、失敗しないか不安がりつつも、表に出ることを望んでいる。

清少納言は前に出るのが大好きである。しかし、意地っ張りで、素直になれない。そんな知識もある、知性もある、しかし、どこか似ている二人の対決が見られるのは、ここだけ。意地悪なオンナのいやなところが出ている。が、それは源氏物語でも出ているところ。

そんな二人は、静かに闘志も燃やしている。あと、古典の勉強になるので、読んでいて間違いない。古典好きならば、知っている名作だ。

ネタバレにならないためにこんなことを書いた。しかし、やっぱり、作者に騙された私がいる。読書メーターのレビューに丁寧に伏線が張っているから犯人はわかりやすいと書いている。しかし、わからなかった。

曇りなきまなこではなく、曇りきったまなこの私だった。



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