まるこ

本を読んで考えたことや感じたことをエッセイに

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家族のすきなもの

シイラ、シーフードサラダ、牛カルビ握り、あぶりきんき。 夫は回転寿司チャレンジャー。手を出しにくい、なんの魚かわかりにくいメニューにガンガン手を伸ばす(きんきは高級魚だとGoogle先生が教えてくれた)。夫と一緒に見知らぬ魚を食すことは回転寿司の楽しみになった。ささいなことだけど、夫はいつもわたしの世界を広げてくれる。 その日は夫抜きで義両親に会いに行った。義母はお寿司がだいすきで、遊びに行くといつも出前をとってくれる。今日もお寿司を食べながら楽しく過ごしていた。せっかくだ

    • 心の浮き輪

      うつになった。 いろんなことがしんどくて涙が止まらなくなって心療内科に行った。診断書には「うつ状態」と書かれている。 自分の苦しみに名前をつけてもらえて安心してるのに、わたしはうつになるようなひとじゃないと必死に考えている。はやく元気にならなければと思っているのに、朝どころか昼間も全然起きていられないし、何もしてなくても涙があふれてくる。 心と身体が自分のものじゃなくなったみたいだ。 うつになったから休職すると連絡したら、同僚や先輩たちから電話やメールをたくさんもらっ

      • 「好き」が届いたら

        どうやらわたしは、好きなものへの愛を語らせたら頭ひとつ出る存在のようだ。 中学生だった。とあるJUNONボーイ(以下、Aくんとする)に夢中で、読者プレゼントの応募に精を出していた。 読者アンケートを兼ねたハガキで応募する形式で、タレント直筆のサインや絵が描かれた日用品が景品になっている。淡々とアンケートに答えてポストに投函することを2〜3回繰り返した。 ふと「こんなに淡白なハガキでは数多の応募者の中から選んでもらえない、いや、目にも留めてもらえないのでは?」と思い立ち、戦略

        • うらとおもて

          夕方、一人きりの部屋の空気はしんとしている。鼻をすする音が部屋中に響きわたる。3コール目で友人の声が聞こえた。聞きなれた声にせきを切ったように涙があふれだした。 自立した女性が好きと言った彼。結婚後も自立して生きたいわたし。考えがぴったりだと思っていた。 『君は僕の結婚相手にふさわしくない。母もそう言ってるし、僕もそう思う』 結婚したら家庭に入り夫を支えるのが女の務めだと、母親に苦い顔をされたという。親の説得は一緒に乗り越えていけばいいと思っていた矢先にふられた。わたしはわ

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        家族のすきなもの

          どこまでいっても自分を幸せにできるのは自分だけ/尾形真理子「隣人の愛を知れ」を読んで

          醜い感情を持つ自分が嫌いだった。 醜い私のこともすべて愛してほしいと願った。 愛する人が「ありのままの君でいい」と 言ってくれたら安心できると思ったから。 そんなの勝手だとわかっているから、 醜い感情をなくせばいいと思った。 醜い感情がなくなるわけもなく、 「ありのままの君でいい」なんて 言ってもらえるわけもなく、 ますます自分が嫌いになった。 出口は醜い感情を持つ自分を、 「ありのままの自分」を、 自分自身が受け入れることだった。 美しい感情も醜い感情もセット

          どこまでいっても自分を幸せにできるのは自分だけ/尾形真理子「隣人の愛を知れ」を読んで