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エビデンス・カニデンス・タコデンス

 『ソースは?』誰かの主張を論破したい人は、発信者が使用した根拠や裏付けに対し、まずここら辺りから切り込もうとする。あなたがおっしゃるその主張に使ってるそのデータは正しいのか? 信用するに値いするものなのか?と。『雑誌や新聞に書いてあった』なんかはもちろん、『TVで評論家やコメンテーターが言ってた』としても、その信憑性は疑わしいのだと突っ込んでやれ、と考えているわけで、もちろんこんなシビアなツッコミも必要な場面があるんだろうとは思うけど、例えば『この情報のソースは◯◯で・・・』みたいに自分が説明する側でこれを使用するなら何も感じないんだけど、他人が発した言葉に対して『そのソースは?』みたいに質問をした場合には、なんだか困らせてやろうといった意向を含んでいることの多い、イヤらしく聞こえる言葉だなぁと感じるのは私だけだろうか?

 同じように、主張者に対し ちょっと鋭い言葉として、『エビデンスは?』というものもある。キチンとした実証結果や確たるデータなんかはあるんだろうな? といったものだが、主張者がそのあたりに曖昧さが残っている場合には、破壊力もある。しかしこれも『ソースは?』と同じように、何となくトゲを含んだ 気持ちのいい言葉じゃない場合が多いと感じる。 

 『学費を分割払いをしている生徒の方が、卒業後の奨学金の償還率が悪いんじゃないか?』と言った私に対し、学園本部の課長に『校長、その仮説にはエビデンスがありません』と言われたことがある。その時には勉強不足ゆえその言葉を知らず、『エビデンスってなんや?』と聞いた私に『ああ、知らないですか? 証拠とか根拠のことですよ』とその課長は言った。
 『ならそう言えよ。なんでそんなカタカナを使わなあかんねん?』と聞いた私に『いや、まあ・・・』と、どこかで仕入れてきたばかりのカタカナ英語を問いただされ、曖昧に薄笑いしている課長を見て無性に腹が立ったものだ。

 こんなのは 英語もろくに喋れないのに、なんだかやり手っぽい気になってイチビッて使っているだけの『エセビジネス英語』である。だから『エビデンス』じゃなくって『カニデンス』でも『タコデンス』でもいいのだ。

 ムカつきついでに例えるならば、こんな言葉を多用したがる人は、スタバなんかでマックのパソコン(windowsでなくapple社の物の方がさらに『ぽい』)を開く、いかにも仕事ができそうな風を装って、実はイケてるビジネスマンに見られることだけが目的になっている輩と同じようなものだ。
 あくまで私の経験上の話だが、カフェでパソコンを開きたがる人の99%は、そんなことしなければならない程忙しい訳でもなく、カッコばかりで仕事はできない。


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