美容師の離職率が高い理由 2
さて業界を取り巻く環境のことは述べた。続いては実際に美容師が身を置く美容サロン=美容室についてだ。もちろんここに何らかの問題があった場合も美容師が長期継続勤務することは困難になる。
老舗美容室や徒弟制度の香りが色濃いサロンなどにおいても、ここ10年でその体質を変えられなかった企業は、等しく退職者が出ることに恐れおののいている。そんな店は新人の応募も多くは期待できず、もはや現状維持さえ困難になっているともいえる。
ここでは社会の問題という大層な話ではなく、至極表面的な観点から『人が続かない店の特徴』を、あくまで私自身の実体験や見聞きした膨大な情報から ちょっと皮肉ってみる。半分は笑い話だ。
Ⅱ.美容サロン現場の問題
法則1
《働く美容師の髪色の明るさは退職率に比例する》
パッと店に入って、ハイブリーチやクレイジーカラーのスタッフの構成比が高いサロンにおいては喫煙率と退職率が高い。中でもオーナーや店長など経営幹部の髪がそうである店は、決まってスタッフルームも汚いし、スタッフが定着しないという印象がある。勤めている美容師たちは表面は仲良くしているが、寂しいことに本心はそうではないことも多い。
法則2
《経営者が目立ちたがる店のスタッフは続かない》
チラシや広告に やたらオーナーが出てくる店は、基本的に窮屈な職場であることが多く、そのオーナーはスタッフにはケチなくせに外車に乗っていたりする(笑) 新人たちはオーナーや店長の顔色を見ながら仕事をすることになるから、そんな店では若い美容師は閉塞感を感じているせいで、ちょっと良さそうな他店の情報があれば 簡単にそっちに移籍することになるのである。
法則3
《初任給がやたら高い店は人がすぐ辞める》
『初任給が高いのに人がすぐ辞めるのはどうしてだ?』と一瞬思われるかもしれないが、その考え自体が実は真逆であり、真実は『人がすぐ辞めるから給料を高くしている』場合が多い。給料をつり上げないと、ドンドン辞めていく人材を補給するための新規応募が期待できないのだ。人が辞めない策を考え実行するのではなく、辞めた人の補充をどうするか? という出口の見えない人材不足の結果が高給になってる訳だ。この図式には終わりがない。
法則4
《仲の良さを売り物にしている店でも 仲が良いとは限らない》
美容室にも企業紹介のパンフレットなどというものがあったりする。当たり前だがその発行は人材獲得目的以外の何ものでもないのだが、その中で外に向けて訴えること、訴えたいことに『仲の良さ』があったりするのだがその表現の仕方は案外難しいと感じている。ウチの生徒たちの動向を見ていると、企業パンフで『海辺のバーベキューでイェーイ!』みたいなパリピ揃いのスタッフによる職場のレクレーションの画像を見ても、敬遠する生徒の方が多いと感じる。そうなると決して店のウリにはならないどころか、逆効果だということに発信側が気づいていないという、悲劇かつ喜劇である。
業界のこと、サロン現場のことを勝手に述べてみたが、最後は美容師個人のことを次の稿で述べたい。辞めやすい思考の人ってやっぱりいる。いや、しかしこれはどの業界であっても同じなのかもしれないが・・・。
(美容師の離職率が高い理由 3に続く)
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