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11月に読んだ本と言うか「悪魔とプリン嬢」読了記録。

一度は上京の夢破れ、田舎に引っ込み、それでもまた都会に憧れ田舎から凝りもせず出て来た私が、大都会のビジネス街で出会ったパティシエのおねえさんから勧められた1冊の本。

それが「悪魔とプリン嬢」(パウロ・コエーリョ)だった。

この本。実はその後10年以上途中で挫折して読了に至らず、を繰り返す事数回、、、、難しいからとかつまらなくなったからとかじゃなく、ひたすら結末を知るのが怖かったから。

結末がどうなるのか怖かったのは、決して私がプリン嬢を自分に重ねたからではないけど、どこの国、街、村、人種、でも起こりうる、考えうる事に直面しなくてはいけない気がして、おおげさかもしれないが、とにかく読み進められなかった。

いつまでも積読しとく事も、出来るのだが、いつ何があるか分からない昨今。いつまでも大切に?とっておくなんてナンセンス・・・
という訳で

他の本を読む事もままならず、11月いっぱいかけ、、、、た訳ではないけれど、結局他の本を読む事もできず、今度こそ絶対読んでやると覚悟しついに読了。

・・・・・・・・・・・・・・・

ある日、いつもと変わらない田舎町の始まりの朝に、突如異邦人が現れる。
過去のものになってしまった世界にしがみついて、優しくて寛容でそして臆病な人々が暮らす田舎町ヴィスコスに。

異邦人は、それまでたびたび現れる旅人、ヴィスコスに短期滞在して去っていくハンターや旅人とは違った。彼は悪霊を引き連れていた。

田舎町から抜け出したいけれど、なかなかそのチャンスをつかめず、ホテルのバーで給仕する一人の娘シャンタール。異邦人は彼女にある話を持ち掛ける。

条件さえ整えば、地球上のすべての人間が喜んで悪をなす。それを試したい、どこか世界から隔絶した場所、誰もが人生を喜びと和やかさと思いやりをもってとらえているような場所に行って、彼らに基本的な戒めのどれかを破るように仕向けることができるかどうか試してみる、というものだ。

『汝、盗むべからず』
『汝、殺すべからず』

期限は一週間。

シンプルかつ、究極の選択。

この田舎町の誰でもいいから一人が、一週間以内に死に至ったら、異邦人が持ってきた金の地金が全て住民のものになる。それはこの街に暮らす全ての住人が一生働かなくて生きていけるほどの富である。ただし誰か一人が犠牲になる事と引き換えに。その地金はとある場所に隠してあるのだが。

プリン嬢には先に別の一枚の地金を見せ、その地金はいつでもプリン嬢が持ち出すことができ、それを持っていれば町を出て一生暮らす事ができる。

地金を実際に見たのはプリン嬢だけ。
その彼女に町の人々に地金の存在と異邦人の「提案」を話す大仕事が任される。

その役目を放棄してもいい、その場合には異邦人が同じ話を住人達にする事になる。
もしそうなったら、ただ一人、地金のありかを知っているプリン嬢を住人はどう扱うのだろうかという事も想定に入れて。

提案を受け、プリン嬢は住人達を信じ、こんな恐ろしい提案に乗らない事を信じ、散々に悩み自分の中の善と悪、天使と悪魔と戦ったあげく、話を皆に伝える事となる。

善良で、正直者で、そして臆病な住人達はよほど信じられない話、提案を受け入れるのか?それとも・・・・


小さな小さな田舎町で起きた事は、そこで終わりではない。
それは、世界中のどの場所でも起きる事で、すぐに地方一体に、国全体に、大陸に。海に、全世界に伝播してしまう。

つまりは、どこにでも起こりうる出来事。

異邦人はけして恐ろしい悪魔ではない、悪霊と呼ばれるものを引き連れているが、それは誰の中にも存在している。そして悪霊だけではなく、同時にそこには天使もいる。

善と悪。誰の心の中にも存在している。

異邦人は生涯忘れることのできない出来事から悪霊をを引き連れ、長い間彷徨ってきたが、そんな異邦人の中にも消えたはずの天使、善が顔を出す場面がある。

その逆もしかり。

善人とみなされる人の中にも、ふとしたことから、悪霊が、悪が顔を出す。

すべては抑えるかどうかにかかっていた。そして何を選ぶかに。問題はそれだけだった。

この10年以上何かと理由をつけて読まずに、部屋の片隅から時折視線を感じつつ、ついに読み終える事が出来たのだが、これはまだまだまだまだ、思考が追い付かない作品。

終わり方も、私が想像していたものとは違っていて
なんともいえない、後味。


もっと読み込まないと。再読必至。

ところで、今更だけど、大都会のパティシエねえさん、なぜ数ある本の中から私にこの御本を紹介してくれた?
あの頃は全くそこのところ考えなかったけど、私が田舎町から出て来た事をご存じの上でおススメした、、、、としたら、怖いよ?

ちなみに、そのおねえさんがもう1冊貸して下さった本が「ティモレオン センチメンタル・ジャーニー」だ。

・・・・・クセ、強くない?

再読にまた10年。。。?

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