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親から学ぶ‘‘結婚とは’’【家族エッセイ】

私の両親は結婚して30年が経っても毎日一緒に寝て、起きて、ご飯を食べて、晩酌をして、また一緒に寝る。時々旅行にも行く。

この先何があるかは分からないが、二人はどちらかが死ぬまでずっと一緒なのだろう。

以前、父の会社の業績が芳しくなかった時があった。
後から聞いた話だが、その頃は父も相当参っていたようで、ある日、会社を畳むことになるかもしれないと母に告げたそうだ。
すると母は
「そうなんだ。じゃあこの家売って吹いたら飛ぶようなアパートに住もうか(笑)私はあなたが居てくれればそれで良いよ。」
と言ったらしい。
私にはそれが綺麗事じゃないことがわかる。
母がどれだけ父を愛しているか知ってるから。
幼い頃、水道が止まる程貧しかった母にとって結婚して得たものがお金でも家でも財産でもなく一人の最愛の男だという事実が眩しい。
生まれた場所も育った場所も全然違うのに、二人が出会ったのは偶然なのか必然なのかはっきりさせて欲しい。
結婚とは、夫婦とは何かを考えさせられた。

そんな二人だが、この30年間で二人の仲に一度も危機が訪れなかったのかというとそうではない。
あれは4年前、コロナ禍真っ只中の頃だ。毎日一緒とはいえ、通常ならばお互い仕事をしに家の外に出るので、24時間常に一緒にいる訳ではない。しかし、コロナ禍でお互いおうち時間が増え、通常よりも共にする時間が長くなった時、二人の仲が危ぶまれることがあった。
一緒に過ごす時間が長くなるだけであればまだマシだったのだと思う。コロナという要素が加わり、未曾有のウイルスに対する考え方の違いで衝突することが多かった。
その時のことを振り返って父は、「一生喧嘩ができる関係は夫婦だけ。小さい頃あれだけ喧嘩してたのにるいはお兄ちゃんともう喧嘩しないでしょ?大人になって、遠慮が生まれるからだよ。夫婦だけはいくつになってもずっと喧嘩するの。夫婦間で遠慮するようになったら終わりだよ。思い遣りや気遣いは忘れちゃいけないけどね。遠慮と気遣いは別物。」と言った。完全に父の持論だが、強ち間違ってはいないのだろうと思う。

以前両親に、ずっと仲良しでいる秘訣を聞いたことがある。
一つは、相手に好きでいてもらう努力を怠らないことらしい。出会って何年経っても、何歳になっても相手に好きでいてもらおうと思わなければ関係の維持は難しいそうだ。
母は「大変だよ!」と茶目っ気たっぷりに言っていた。
そしてもう一つは、時々気持ちをリセットすることらしい。
初めて会った日のこと、話した日のこと、お互いが好き同士だと分かった日のこと、結婚した日のこと、子供が生まれた日のこと、時々立ち止まって思い出してみると、相手のことがどれだけ大切か改めて感じられるそうだ。

私もその感覚を早く味わってみたい。

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