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ずっと自立していられるというお話

セカンドライフを考える上で、未来(終末)を見通すことは何より重要です。しかし、過去人類が経験していないほど寿命は延びており、しっかりデータを見ないと意外と見通すのが難しいことがわかります。

そもそも「何歳まで生きる?」と考えても誰にも答えられないので、まず、いくつかの指標を使って自分の寿命を想定する必要があります。


自分の寿命をどう考えるか

自分の寿命を考える手順は、以下の様になります。
何歳で亡くなり、その何年前まで元気でいられるかがわかれば、老後の生活のプランニングが現実的になります。

1.寿命(亡くなる歳)を想定する
2.健康でなくなる/自立できなくなる歳を想定する

寿命(亡くなる歳)を想定する

寿命を考える際の平均的な指標は4つあります。それぞれの指標には特徴があり、自分自身の考え方に合ったものを選ぶ必要があります。
ちなみに私は、「寿命中位数」を少し上回るくらいが自分の寿命かなと思っています。

図 2020年の日本人の寿命

平均寿命:0歳からお年寄りまで全年齢層を含めた寿命の平均値で、寿命というと平均寿命を指すのが一般的。現存する人はこの数値を上回る可能性があり、寿命としては控えめな数字になります。2020年値は以下の通りです。
男性 81.64年
 女性 87.74年

平均余命:平均してあと何年生きられるかを示す値です。平均寿命とは0歳の平均余命のことです。60歳の2020年値は以下の通りで。男性は平均寿命より2.57年、女性は1.72年長生きになります。
 男性 84.21歳 =60歳+平均余命24.21年
 女性 89.46歳 =60歳+平均余命29.46年

寿命中位数:出生者の半数が生存する年数。私は毎年、同級生と麻雀をするのですが、メンバが2人になり麻雀が成立しなくなる年齢です。2020年値は以下の通り。平均寿命に比べ男性は2.95 年、女性は 2.79 年上回ります。
 男性 84.58 年
 女性 90.53 年

死亡年齢の最頻値:亡くなる人が最も多い年齢です。簡易生命表において死亡者が最も多い年齢を指しています。2020年値は以下の通りで、平均寿命を男性は6年強、女性は4年上回っています。
 男性 88歳(2位は89歳)
 女性 92歳
(2位は93歳)

健康でなくなる/自立できなくなる歳を想定する

自分の寿命が想定できたとして、次は何歳まで元気でいられるかが知りたくなります。
よく使われるのは「健康寿命」。日本人の男性は72.68年、女性 75.38年と、健康寿命でも日本は世界一の長寿国です。

ただし、「日常生活に制限のある期間」は男性で8.7年、女性で12.1年もあり、これから高齢者に向かう人にとっては憂鬱になります。
しかし、健康寿命を超えると、いきなり不健康で自立できない不自由な生活が始まるかといえばそうではなく、実際は長い期間をかけて徐々に不自由さが増していきます。健康寿命を超えた先の10年間にも段階があるわけです。

そこで、長澤光太郎さん達は『還暦後の40年』で、「自立寿命」を提案されています。
「他人の世話にならない」という視点を入れ、「要介護2」までを「自立寿命」としています。要介護2とは、日常生活全般において見守りや手助けが必要ですが、自分のことは自身でできる状態、杖をついているものの生活は自分でコントロールできています。

自立寿命は、男性 79.91年、女性 84.15年となり、男性は平均寿命の1.5年前、女性は3.3年前まで自立して生活できるということになります。
「自立寿命」は、高齢者を迎える我々を元気にさせてくれます。

図 健康寿命/自立寿命/平均寿命

健康寿命:「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことで、平均寿命(a)から「日常生活に制限のある期間の平均」(b)を引いて計算します。最新値(2019年値)は、
 男性 72.68年(a 81.41年-b 8.73年)
 女性 75.38年
(a 87.45年-b 12.06年)

自立寿命:平均寿命(a)から「要介護3以上の期間の平均」(c)を引いて計算します。2020年値は
 男性 79.91年(a 81.41年-c 1.5年)
 女性 84.15年
(a 87.45年-c 3.3年)

寿命は長い/健康寿命後にも豊かな生活が

寿命を考えることは、未来の生活への理解と自信を深めるための重要なステップです。
ここで示した指標はよく知られた「平均寿命」よりも長く、さらに生活リスクを考えれば自分の寿命はそれらの指標を上回ると考えておいた方がよいでしょう。自分の寿命は、思ったよりも長いのです。

また、「健康寿命」にまつわる常識も疑った方がよいでしょう。健康寿命の後にも「他人の世話にならない」自立した質の高い生活が待っています。いわゆる「寝たきり」期間は、男性でたった1.5年、女性で3.3年しかありません。

(丸田一葉)

参考)
・「完全生命表」「簡易生命表」「簡易生命表の概要」厚生労働省
・「人口動態統計」厚生労働省
・「健康寿命の令和元年値について」厚生労働省
・「還暦後の40年: データで読み解く、ほんとうの「これから」」長澤 光太郎

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