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盛大にヒッチハイクに失敗して、最高の旅になった。 その5

荷物

ひさちゃんとLINEを交換して別れた。

僕は国見PAという福島市に入る前あたりのPAにいた。

日が暮れてかなり寒い。

国見PAは駐車場はあるもののPAそのものが小さい。

だからこそトイレ休憩などで通る人が多い感覚がしていた。

ラッキーなのは小さいが故に、人に紙を見せやすい。

宇都宮方面のナンバーも、菅生に比べて見える!


いざ、紙を出すと結構反応がいい。

もはや初期の恥ずかしさなどはなくなっていた。

喫煙所が近くにあり、観光バスできていた栃木のおじさんに絡まれる。

後から運転手と、お友達がきた。

お友達は、過去にかわいいカナダ人を乗せたことがあると自慢してきた。

俺、女性ならサクサク行ったのかなぁ。


絡んできたおじさんが

「おめぇ、帰れなかったらどうするんだ?ここから先考えてのか?」

とタバコを蒸しながら聞いてきた。

「いえ、なにも笑」

「ガハハハ!!笑(2人)」

もう意味がわからない。


「乗っていっちまいなよ!」
とおじさんが言ったところで、おじんさんが運転手に怒られオチがついた。


少し待っていると、目の前に「八王子ナンバー」の車が来た。

東京が見えた。


中には大人しく優しそうな男性がいる。

結構な時間駐車している気がする。

1時間が経過していた。


荷物が多いのか出したり入れたりしている。

セダンの後部座席は、折り畳みベットや、大きなプラケースが押し込められている。


少し時間が経過して、遠くから、「荷物がなければ乗せられるけどなぁ」と少し小さい声で言われた。

声の方向は目の前の、セダンからだった。


「え、本当ですか!?」

僕はセダンに近づいていった。
なんとも柔らかい雰囲気が漂う。

「うん。いいよぉ」
荷物を積み直してくれていたのだ。

お茶まで差し入れしてくれて、僕は半泣き状態になっていた。

一緒に荷物を詰め込み、助手席に乗れるようになり、僕は東京方面へと大きく進めるようになった。


乗せてくださったのは、宮崎県出身ん早坂さん。

既に定年を向かえていて、今日はお父さんの介護の帰りだった。

エリカ様

乗ってからすぐ早坂さんは

「僕話すの苦手だから、無言でも気分が悪いわけじゃないから心配しないでね」

と言ってくれた。

今思えば、すぐにPAを出られるけど、僕に話しかけるのも相当勇気があったからこそずっと荷物を片付けていたのかもしれない

小さかった声の裏には相当な勇気があったのかもしれない。

今思い返すと、尚更泣きそうになる。


僕が行きたいのは東名に乗って東京方面に向かう。
だけど、早坂さんは東京に入る前に、圏央道という高速に入るので、途中の羽生PAで降ろしてもらうことになった。


話すことが苦手だと言っていたが、流石に話さないのもモヤモヤした。

ちょうどヨッシーさんからLINEで

「乗せてくれた人と話せ」とメッセージが来ていた。


少し話て、ヨッシーさんは昔長距離ドライバーだったことを知る。

過去にヒッチハイクの人を載せようかと思ったが方向が合わなかったみたいで、僕が初めての人になった。


10分くらい話して、会話が終わった。

気がつけば僕は寝ていた。


目が覚めて少しして沈黙が続いた。

「うわぁ。俺はそうすれば…。」


しばらく起きたり寝たりをしてしまい、目が覚めてからしばらく沈黙が続いた。

早坂さんがカーナビでテレビをつけた。

沢尻エリカの書類送検をそこで知る。


「え、マジ?」と言うと、「俺知らないなぁ」と言ってくれた。

そこから会話が始まった。


そういう意味でエリカ様には感謝している。

薬物はダメだけどな。


エリカさまがきっかけで下記のテーマを話した。

・引退してからは、介護のドライバーをしていること
・娘と息子さんがいること
・スマホじゃなくてガラケーなこと
・孫からゲームセンターでお金をめちゃくちゃ使わされること
・その孫が4歳なのに両替機を覚えたこと
・今乗っている車は、奥さんがゴルフクラブで見せびらかしたいが故にこっそり買われた車こと
・奥さんが多趣味なのに対して、趣味がないこと
・今のお笑い芸人の面白い理由がわからないこと
・過去におもしろかったお笑い芸人
・AKBがかわいいと思わない
・ニュース派?新聞派?
・Wi-Fiがわからない
・ケーブルテレビからもらったタブレット分裂事件
・幕張メッセやパシフィコ横浜に搬入したことがあること

いや、話すのが苦手と言っていたけど、めっちゃ喋ってくれるやん!!

奥さんがめちゃくちゃ面白い人で、奥さんの話を大半していた。

「文句ばっかりだよ笑」

文句を言っているけど、それは文句に聞こえず、むしろ好きなんだなぁと感じた。

口調が優しいが故か話すこと全てにギャップがあり面白い。

結局、運転して乗せてもらった2時間30の中で、30分沈黙、30分睡眠、1時間30おしゃべりという内訳になった。

本当人は見かけによらない。
好きじゃないといいつつ、実は話すのが好きってこともあるなぁと。


ヨッシーさんが言っていた。
現代社会はコミュニケーションが足りないと。

確かにこのヒッチハイクをしなければ、普段話すことがないような感じの人である。
けど、話すと最高に面白い。

序盤の沈黙の空気から車内は一変、沈黙がなくなっていた。

30分の渋滞を抜けて、羽生PAが見えてきた。
そろそろお別れだ。
せっかく盛り上がっていたのに。

羽生PAの後ろの方の駐車場に着いた。
名刺は切らしているし、メールとかも特にしない話をされたし。

でも何かしたいなぁ。


そういえば、毎晩焼酎を飲んでいる話をされた。
「いつも紙パックの1人で飲んでるんだよ笑」


そういえば、日本酒「一ノ蔵」をヨッシーさんと飲もうとして、小さいのも2つ買ったんだった。
1本は旅館で飲んだけど、もう一本は飲めず持って帰ってきてたのを思い出した。


「今日は日本酒飲んでください!本当にありがとうございました!」
「ありがとう!じゃあ遠慮なくいただくよぉ」
「また会いましょう」
「うん。すぐに誰か見つかるといいね!」

そして最後に

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早坂さんは、少し照れ臭そうだった。

でも快く写真を撮ってくださった。
ありがとうございました!

高速の後ろにトイレがあり、そこに手を振りながら入って行った。
僕はお辞儀して、PAに向かった。

最速

夜の羽生PAはかなり綺麗で、人生の中で見たPAで一番綺麗だった。

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中はも日本家屋みたいな感じで風情がある。

少し中を散策した。

というのも、マッキーペンをどこかで紛失して、誰かに借りようと思っていたから。

けど、みんな忙しそうなので、ボールペンで「東京」と書いた。


蛍光灯がかなり明るく、ボールペンで必死さをアピールする。


開始10分が経過した。

「乗ってく?」

イケメン

10分で声をかけられたことに逆に違和感があった笑。

いいのだろうか。
まだ早坂さんがトイレにいるかもしれないレベルだ。

「乗れましたー!」って報告できそう。

乗せてくださったのは、伊藤さん。
話しかけられて時、僕と2か3個上かと思ったら、27歳だったから驚きだ。

マジでイケメンで、しかも声のトーンもいい。

これをモテる人というのだろうと思った。

伊藤さんもヒッチハイクを乗せることがはじめてだったけど、大学時代の後輩がヒッチハイクをしていて、興味があったみたいだ。

たまたま見つけて、「いい子そうだった」という嬉しい理由で声をかけてくれた。

普段は栃木にいるが、明日高校時代の友人たちのサッカーの助っ人で実家の千葉に帰るところだそうだ。


伊藤さんとは大学時代の話を聞いた。

大学時代は学部の研究で伊豆大島に行って、地域活性について学んでいたそうだ。

伊豆大島しか生き物がいる動物園があるそうなのだが、全く人が来ないとか、伊豆大島には唯一日本に砂漠がある話とか興味しか少ない話をしてくれた。

鳥取砂丘は砂漠ではなく、あくまでも砂丘だそうだ。

こういうのを知れるのもまた、僕が旅に魅了する。

伊豆大島は東京だけど、結局若者は本当に来るから、事業ができず、空き地や空き家の有効活用などが課題だと言っていた。

なにより持続可能になることが難しいと。

秘密基地の話も含め、持続可能の難しさを話した。


首都高に入ると、PAがあまりないので、川口で降りようとしたが、乗り場がわからず結局降りられず。

「俺が乗せすぎてもつまらないか笑」

なんて冗談を言われ焦る。

「行けるところまでお願いしたいです泣」

カオス

結局東京まで行くことになった。

しばらく走ると、スカイツリーが見えてきてきた。

「帰ってきた…」

思わず口に出る。

「帰ってきたね!」


伊藤さんも帰ってきた感覚になる。

しばらく走り、箱崎PAがあったが、入り口が見えず。
首都高をグルグルと走らせてしまった。

明日もあるのに、見ず知らずの変な大学生に優しくしてくれる。

「どこがいいかなぁ」


自分を他所に全く知らない他人のために。

ヨッシーさんが言っていたことが段々と姿を表している。


しばらく走り、「平和島PA」を見つけた。

「ここにしよう」

ということで、平和島に着いた。


フェイスブックを交換して握手を交わした。

「葉山今度遊びに行くよ!」

「僕も会いにいきますね!」

「じゃあまた!」


「じゃあまた」

「じゃあまた」と言うことは、また会えるということだ。

平和じゃない島

平和島に平和な要素がないことに気がついたのは、トイレを済ませてからだ。

自販の無人コンビニと、自販しかない。

あと、地面とくっつくくらいに車高が低い車がワンサカいる。

「平和な要素なくね?」


気温は暖かいから寒さに怯える程ではない。

数百キロで気温はこんなにも違うのか。


横浜ナンバーがほとんどなので、目の前を通りすぎる人に声をかけることにした。

けど、会社の車とかそういう理由でフラれた。


横浜にいければ。

けど、そこまでが遠い。


自販しかないイートインで、僕はヨッシーさんがくれたクリ饅頭を食べ切り替える。

「横浜」とボールペンで書いてイートインの入り口の喫煙所の前で立つことにした。

しばらくして、スーツで6人くらいが喫煙所でタバコを蒸し始めた。

そして声をかけられた。

「何?ヒッチハイク?」

VIP

正直、スーツにタバコでいかついから、僕はそっち系の人たちに絡まれたと思った。

「横浜までいきたいんです」

「え、学生?」

「そうです!」

「乗ってけばいじゃん!」

「乗せてあげようよ!」


誰が僕を乗せるかの会議が始まった。

僕はタバコを吸わないので、様子を一歩引いて見ていた。


で、その中の1人の方が僕を送ることになった。

彼の車の前で写真を取撮るって、車に乗る。


LIME X

結局さっきまでの誤解はすぐになくなる。

人は見かけによらない。


僕に話かけたくれた人たちは、「横浜青年会議所」のvipだった。

えええって話。


僕を乗せてくれたのは、とある印刷会社の社長だった。

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