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閉店するお店から、思いを少しばかり譲り受ける

福岡市博多区川端にある“アトリエ穂音”が2023年2月23日に17年の幕を閉じました。

ここは日本画家の比佐水音さんが開室した絵画教室でもありギャラリーでもありライブスペースでもあり、全国のアーティストたちが福岡でライブをするときにお世話になる実家のような場所でした。

17年をかけて大切に育ててきたこの場所を離れることはとても勇気がいっただろうし、ここでライブすることを目標にしていたアーティストもさぞかし残念だったと思います。

ようこそ、ってあたたかい。

私には地元福岡県大野城市に託児のできるカフェを開くという夢があります。
果物屋を営む両親と商店街で働くたくさんの大人たちに育ててもらった恩があり、今度は地域の大人として子育てをお手伝い/ひと休みできる場所を提供すること、子どもから大人、おじいちゃんおばあちゃんまで気軽に集まって繋がりをつくれること、物も知恵も技術も命も循環していく場をつくることをカフェで体現していきたい。そう考えています。

アトリエ穂音の店主である比佐さんから、「この場所、使う?」とありがたい言葉をいただきました。
即答で「イエス」と言いたいのはやまやまでしたが、どうしても地元にこだわりたかったために断らざるを得ませんでした。

ワイヤーアートと、奥には比佐さんの絵。

だから、比佐さんが全国のアーティストにこの場所を開放してお店を育てていたように、私もカフェを開いたあかつきには地域の皆さん、そしてアーティストの皆さんとともにお店を育てていきたい。
場所は引き継げなかったけれど、思いは譲り受けたい。そう感じた最後の夜でした。

お見送りをする比佐さん。

それなりの広さがあって飲食可の物件がなかなか見つからず長期戦になりそうだったので、勉強のためにカフェでアルバイトを始めました。
そこのお店では、料理もお菓子作りもドリンク作りもレジも洗い物も、すべての仕事をしなければなりません。
まだ始めて3ヶ月なので現場の運営がメインですが、もう少し慣れてきたら発注や原価計算などマネジメント業務も教えてもらう予定です。

何のために福岡に戻ってきたんだと、情けないし悔しい気持ちもありますが、「焦らず、ね。」という比佐さんのあたたかい言葉で頭を冷やすことができています。
私のやりたい“循環”が少しだけ体現できている喜びを抱きしめて、穂音とはお別れです。

ライトや小道具ひとつとっても勉強。

年明けから毎週のように全国からアーティストが集合してライブをおこない、私もできる限り顔を出して、場所を育てていく瞬間を目に焼き付けました。

樽木栄一郎さん(左)
青谷明日香さん
安宅浩司さん
zerokichiさん(左)ととんちピクルスさん(右)

アトリエ穂音の初ライブは2006年5月21日、ラストライブは2023年2月23日で、どちらもzerokichiさん×とんちピクルスさん。
始まりと終わりが同じアーティストだなんて、憎い演出で一生忘れられないですね。

最後のフライヤー。

最後に比佐さんとのツーショット。

出会えてよかった心強い先輩。

穂音との出会いはたったの半年前でしたが、出会ってからの時間というのはひとつの理由でしかなく、同じような思いを持つ人とは急激に距離が近くなり、その思いを共有して繋いでいくことができるんだと身をもって体験しました。
お店を開くことが決まったらすぐに連絡するので、遊びに来てくださいね。その日まで、お元気で。

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