「人権は普遍的だ」というのは誤り?――とても短い覚え書き
Aさんが次のように主張したとします。
【Aさんの主張】「日本では表現の自由は保障されているが、中国では表現の自由は保障されていない。よって、『人権は普遍的である』というのは誤りである」
ここでは、実際に、日本では表現の自由が保障されているのか、また、中国では表現の自由が保障されていないのかという点についてはおいておきます。
さて、Aさんの主張には問題点があります。それは「人権の普遍性」と言われるときのこの言葉の意味を誤解している点です。法学者の深田三徳は次のように言います。
つまり、「人権の普遍性」とは〈人権はどの国・地域でも実際に保障されている〉ということではなく、〈人権は国・地域に関係なくすべての人に配分されるべきだ〉ということだと理解できるのです。
もしも「人権は普遍的である」という言葉が〈人権はどの国・地域でも実際に保障されている〉という意味であれば、Aさんの主張は正しいです。
しかし「人権は普遍的である」とは〈人権は国・地域に関係なくすべての人に配分されるべきだ〉ということだと理解できるので、Aさんの主張は正しくありません。
なぜなら、日本では表現の自由は保障されていて、中国では表現の自由は保障されていないからといって、〈人権は国・地域に関係なくすべての人に配分されるべきだ〉ということが誤りになるわけではないからです。
今回の記事は以上です。読んでくださって、ありがとうございました!
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