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「俺は子猫がいい」②【猫とおばさんシリーズ】

 お姉ちゃま猫を引き取るということで話がまとまったところに、遅れて登場したおじさんはいきなりこんなこと言ったの。

「この子確かに可愛いけど、でも俺としては子猫がいいと思ってたんだよね」

”(え、今さら…???)” byおばさん

おばさんだってこの譲渡会に来るまでにちゃんとお姉ちゃま猫の年齢も写真もおじさんに見せて相談してたらしいんですよ。あの2人。猫から見てても、会話が噛み合ってないこと結構あるから…こういう危ない局面が生まれがちなんですよね。

 「子猫…?? え、じゃあこのお姉ちゃま猫ちゃんは?(諦めろと⁉︎)」

おばさんは「1匹しか飼えない」って思ってたから大混乱していたんだけど、おじさんの子猫発言を聞いた保護主さんは「なんだぁ。子猫がいいんですか?いっぱいいますよ」って多頭飼いの体で軽ーく話をすすめはじめたの。

それからは電光石火、奥で関係なく縮こまってたあたしに白羽の矢が刺さっちゃったの!お姉ちゃまの本当の子供たちはもう他所へ行くところが決まっていたからね。

「この子、(お姉ちゃまの)母乳飲んでるからちょうどいいですよ」と、あたしをヒョイと持ち上げておばさんとおじさんの前に差し出すじゃない!あたし心臓飛び出るくらい怖くて、必死にピャーピャー鳴き叫んだんだから!

おばさんは2匹飼えるかっていうことにずいぶん困惑してたけど、お姉ちゃまのことは諦めたくないし、保護主さんは「大人猫と一緒なら子猫の飼育は問題ないですよ」ってあたしを推しまくるし、なんと言ってもおじさんが急に「子猫一点張り男」になっちゃってるじゃない。おばさんも若干意地になって清水の舞台から飛び降りる気持ちであたしも一緒に迎えることを決心したそうよ。

実はね。あたしこの時暴れてじっとしてなかったから、2週間後におばさんの家に届けられるまで、おばさん、あたしがどんな猫だかはっきり覚えてなかったんですって‼︎‼︎  あの人ほんとに清水から飛び降りたんだわねぇ

でも到着した日、キャリーの中から怯えきったあたしのか弱い鳴き声が聞こえて、切なくて胸が張り裂けたんですって。 "どんな猫ちゃんでもいい、うちに来てくれたこの子を大切に育てよう!"って思ってくれたそうなんです。(あ、ちなみにおばさんの胸は簡単に張り裂けるんですけどもね。)

 と、こんなわけであたしはこのお家に来たんですけど、あたしってすごく怖がりでね、最初ずっとおばさんたちから逃げまわってたんです。そんなあたしにとって母乳を頂いてたお姉ちゃまが一緒にいてくれたことがどれほど心強かったことか。

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(↑少しずつおばさんに慣れてきた当時のあたしたちです。)


そして、おじさん。
他のお家のことは知らないけど、あたしがここで3食昼寝ホッカペ付きの生活を送れているのは、上記の通りおじさんが「子猫」を所望してくれたおかげです。

おばさんも、初日の誓い通りお気に入りのお姉ちゃまと分け隔てなくあたしのこと可愛がってくれてるし、今となってはあの日おじさんが子猫!とこだわってくれたことに感謝してるんですって。

3人とも大好き。あたしは今だに「ビビりちゃん」って言われるんだけど、でも自分としてはこのお家でのびのび暮らしでいるんですよ。

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保護主さんからは、お姉ちゃまが産んだ子供たちも、あたしの本当のお母さんも、それぞれのお家でみんな幸せに暮らしているって聞いてます。

”あたしもお姉ちゃまと一緒にこのお家に来れてよかったな。”

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