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「ツバキ文具店」を読んで|読書感想文

こんにちは まるです。

質問です。あなたはこの1ヶ月の間に知り合いからお手紙(封書)をもらいましたか?

LINEのメッセージやGメールの着信音は鳴るのに、切手が貼られたお手紙をもらうこと、書くことが少なくなりましたよね。

ぶっちゃけ、年賀状のハガキだけっていう人も少なくないと思います。

ツバキ文具店は手紙の代書を請け負う鳩子のおはなし。

タイトル:ツバキ文具店
著者:小川糸
出版社:幻冬舎文庫


さまざまな人が、さまざまな理由で鳩子に手紙の代書をお願いします。

手紙の代書とは
本人(依頼人)に代わって、手紙を書くということ

代書といっても、この小説では綺麗な字で手紙を書くという意味ではありません。依頼人の人なり、手紙の文体、インクの色など、その依頼人になりきって心を込めたお手紙を書くお仕事です。

こんな経験はありませんか?
言いたいことはたくさんあるはずなのに、相手にどう伝えてよいか分からない。言葉がでてこない…。

主人公の鳩子さんはその依頼人の想いをじっくりと時間をかけて、手紙に書き出します。

その見事な書きっぷりに鳩子さんと友達になりたい、とさえ思いました。

お手紙の代書をお願いする依頼人の人々、鳩子の近所の人々、みんな個性的で魅力的。

心がほわっとあたたかくなる言葉がたくさんでてきます。

また手紙の書き方、手紙にまつわる話もでてきて、勉強になります。

例えば、弔意|《ちょうい》​の言葉を書きあらわす墨の色は薄い。

薄い墨の色は悲しみのあまり、涙がおちて薄まってしまったという意味合いがある、ということ。

感想を書いていたら、またツバキ文具店を読み返したい気持ちがむくむくわきあがってきました。

最後に心に残った一節をシェアします。

今日だけは、誰のためでもなく、自分自身の文字を書くのだ。代書仕事は、いろいろな人の心や体になりきって文字を綴る。
けれど、ふと立ち止まって考えると、私は私自身の文字をまだ知らない。
まるで私の体を流れる血のように、私そのものであるような、どこを切っても私のDNAがあふれ出すような、そういう自分の分身のような文字には出会えていなかった。

小説 ツバキ文具店から引用

手紙にまつわる思い出、あなたにもあるはず…。デジタルな世界から離れたくなったら、読んでみてください。



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