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「人間」を読んで|読書感想文

人間は又吉直樹さんの作品です。

⚫️どんな小説だったか

銭湯から濡れた髪のまま
夜道をゆっくり歩きながら
ごはんも食べたし、あとは
歯を磨いて寝るだけだー。

と想う
あの銭湯帰りの
ほわんとした感情と
この小説を読んだ時の感情は
とても似ていました。

この小説をおすすめの人

自分って隠れた才能があるはず。いつか必ず開花させるぞ
って思っている人

自分という生き物について色々考える人


あらすじ


若い時は漫画家志望だった永山が主人公。

現在彼はイラストと文章業を仕事にしている。
でも煮えきれない日々を
過ごしている。

話は学生時代にさかのぼり、
現在の話も織り交ぜて展開する。
<過去の話>
美術の専門学校に通うため
上京した永山。

永山は美術に関わる人だけが住めるハウス(共同住宅)に
住みはじめる。

個性豊かなアーティストの
同居人たちとの関わりを通して話が進んでいく。

<現在の話>

ハウスの同居人の仲野は嫌なヤツ。
嫌なヤツだったのに
現在はイラストレーター兼コラムニストとして活躍中。

別の同居人は芸人+小説家になり何かと世間を騒がしていた。

ふたりの行動が何かと気になる永山。

ネットで彼らを検索してしまう。

行きつけのバーで影山と再会して昔話をするふたり。

感想


ネタバレになるから、詳しく書かないけれど、芸人しながら小説書いた影島がどうなったのか知りたかった。

又吉さんの小説はときどき
声を出して笑ってしまう文章がでてくる。

読む人が声をあげて笑う
文章を書けるのは
やはりすごいと思う。

人によっては「人間」と
いう小説を暗いと思うかも
しれない。

でも笑いも与えてくれるから
私は読んでいて楽しかった。

人間(自分)について
深くふかく書かれている小説でもある。

あ、これ私だと思う痛いところや
あ、これあの人だと思うところもある。

いちばん好きだった章は
永山が父親の誕生日に田舎(沖縄)に戻った時の話。

夕暮れどき、永山と母親が高台にのぼる。

遠くの海を嬉しそうに眺めながら母親が呟く。

「毎日、奄美の浜で夕焼け見てたんよ」

それに対し永山が答える

「俺もやねん。東京行ってやることがないとき、毎日のように近所のマンションの
踊り場から夕焼け見てた。

そんな話聞いたこともなかったけどおかんの影響なんかもな」

そのあとの永山の言葉が
いちばん好きだ。

自分の前世が幼い頃の母の
網膜だったなら。

母が見た景色を自分も
生まれるまえから
見ていたとしたら、
僕が母の網膜の生まれ変わりなら、
僕が見るということは母がみているということになる。

小説人間から引用

行ったこともない場所や
聞いたことのない音楽
匂いがたまに

妙に懐かしく感じるのは

私の父や母が見たり、感じたもので、
その父や母の細胞の一部が
私の中にある。

だから懐かしいのだ。

DNAがなんちゃらとか言ってそんなの当たり前でしょと
言う人がいると思う。

科学的に説明しちゃったら
ちっとも
おもしろくないんだよ。

私も母の網膜の生まれ変わりだったらいいと思う。

父は9月に90歳、母は87歳。
一時帰国のたびに
これが最後かもしれない。
毎年そう思ってスコットランドに帰る。

近い将来、母が私の世界から居なくなっても
私は母の網膜の生まれ変わりだと
思えたら、少しは寂しさが
軽くなれるんじゃないかって
思えた。

だから、この小説を読めて
本当に良かった。

おまけ|一時帰国で食べたもの

スコットランドから一時帰国中です。

小説『つばき文具店』のぽっぽちゃんの街を感じたかったので子供たちと鎌倉に行きました。

鎌倉とてもステキでした。

ランチに生しらす丼食べました。

おわり


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