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古文の勉強法②

 前回に引き続き、古文の勉強法です。

 
 私は大学受験での古文に「択一式古文」と「記述式古文」があると考えており、それぞれの特徴は以下の通りです。

択一式の古文:助動詞と敬語は必須で覚えておく
       残りは最低限分かれば消去法でなんとかなる
記述式の古文:古語と文法を押さえておく必要がある
       高得点のためには当時の時代背景を理解すべき

「択一式」は選択肢が与えられている問題のことです

 
 今回はそれぞれの勉強法について書きます。正直なところ記述式の勉強をしておけば択一式でもかなりの高得点が取れるので、二次試験で古文を受験する場合は特に択一式の勉強をする必要はないと思います。私もセンター前に授業以外で古文の過去問をすることはありませんでした。時間配分を練習するために国語の問題全体を解く時にちょこっとやる程度でした。
 反対に、共通テストなどの択一式で「そこそこ」点数を取れば良い場合やそれ以外に時間を割く必要がある場合(傾斜配点)などは「最低限」で大丈夫だと思います。

①択一式古文の勉強法

 まずは敬語と助動詞からです。その後で古語を暗記していきます。敬語と助動詞は覚えるしかありません。敬語はそんなに数が多くないのでガッツでがんばります。助動詞は歌や語呂合わせで覚えました。
 助動詞は、接続・意味・活用を覚える必要があります。私はアウトプットで記憶を定着させるタイプだったので助動詞はある程度覚えたら書き出すようにしていました。下の画像のような感じです。枠を作っておいて「接続・基本形・意味・活用・その他」を埋めます。活用形がない場合は◯を書きます。助動詞は30個くらいなので毎日全部書きます。慣れたら10分くらいで表を完成させられるようになります。1ヶ月も続けたら全部覚えています。

 次に古語ですが、意味を全部覚えるのは大変なので、その単語のイメージがプラスかマイナスがニュートラルかを把握しておくのを第1ステップにしてみてください。例えば「あし」は「悪い」でマイナスですが、「わろし」は「悪くはない」なのでニュートラル寄り、というようなイメージです。

 次に動詞や形容詞の活用だと思いますが、これは音読でなんとなくリズムと共に覚えられます。漢文もですが古文も音読がとても重要です。また、助動詞の接続を覚えていれば、上の動詞や形容詞が何形なのかも自然とわかります。「美しかりければ」は「美しかり」「けれ」「ば」に品詞分解されます。「美しかり」の活用形が分からずとも、「けれ」が「けり」の已然形で「けり」が連用形接続だと覚えていれば上の「美しかり」が連用形であると判断できます。

 内容に関わる選択問題については前回も書きましたが、推理ゲームのようにして思考することが可能です。選択肢には必ず明らかに不適なものが含まれるのでそれに惑わされないようにすれば大丈夫です。また、経験上内容に関わる問題の選択肢は主語、つまり「誰が」が変えられていることが多いです。これは、敬語をしっかりと理解していれば対応できる場合が多いです。
 以上のように択一式古文は、基礎をしっかりと固めていれば得点が伸びやすいので、中々点数が伸びない場合には、問題集などで内容に関わる問題を解くよりも文法や単語の一問一答から解いていくのをお勧めします。
 私は『古文単語315』を使っていました。


②記述式古文の勉強法

 記述式で問われるのは、「現代語訳」「読解」です。 対策の優先順位は、現代語訳>>>>>読解です。現代語訳ができないと内容がわからず読解もできないので、まずは現代語訳の力を伸ばすことに重きをおいた方がいいと思います。

 現代語訳のために必要なポイントは、
  ・古語を覚える
  ・文法を覚える
  ・指示語を把握する
  ・省略された言葉を補う
  ・言い換えに気がつく

です。上の二つについては①でも書いているので割愛します。

 指示語の把握は訓練が必要です。「”さ”あれば」や「”かの”人」など古文には意外と指示語が沢山出てきます。基本的に現代文と同じなので、指示語よりも前の箇所で当てはまるものを探します。見つけたら指示語と入れ替えて読んで違和感がなければ合っています。授業でも大体説明されると思いますし、問題集の解説にもあると思うので、私は教科書や問題集で問いに直接関係ない指示語についても内容を確認するようにしていました。

 次に、”省略された言葉を補う”ですが、個人的には古文の最難関でした。当時の人はこれほど主語や目的語が省略された文章をどうやって読んでいたのかと不思議になりました。『源氏物語』を読むハードルは長さもさることながらこの「補う」作業が多すぎるからだと思います。主語については、敬語や話している内容、動作の内容から推測ができます。会話の場合、古文の問題は親切に「」をつけてくれているので2人で会話している場合には「」が続いていてもいても交替で話していることがわかります。難しいのは主語以外の省略です。「男、取りて」など指示語もなく主語と動詞だけが書かれていると混乱してしまいます。このような場合に、私は自分で指示語を補って考えるか、その文の後ろから何を取ったか推測するという方法をとっていました。「男、取りて」の後ろに「鬼を切る」とあれば「刀」などの武器を取っただろうと推測できます。ただ、主語が省略される弊害で連続する動詞でも主語が変わっている場合があります。登場人物の多い話や、回想が含まれるとややこしくなってきます。私はわからない時はとりあえず線を引いて次に進みます。最後まで読むと理解できる場合もあります。

 最後の「言い換え」ですが、これは名前だけでなく位や官職で呼ばれることがあるので「同じ人だ」と気がつけるようにします。最初に名前で呼ばれていた人物が何行か後には「中将」と呼ばれていたり、回想に入ったら「大臣の子」などと続柄で呼ばれていたりと混乱してしまいます。また、身分によって呼び方も異なるのも厄介です。父親には名前で呼ばれ、天皇には役職で呼ばれ、女房からは通称で呼ばれ、などこちらも見破る力が必要です。教科書や問題集で、新たな登場人物が出てきたら本当に「初登場」なのか確認する癖をつけておくと良いと思います。

 現代語訳ができていれば読解は現代文ほど難しくありません。ただし、現代語訳が間違っているとそもそも問題に即した部分を答案に盛り込めない場合もあります。一方で、現代語訳がそこそこできていれば解答に必要な部分を抽出して文字数以内におさめれば1点ももらえないということはないと思います。解答の作り方も現代文の小説や評論とほとんど変わらないので、読解の点数は現代語訳の精度にかかっていると言っても過言ではないでしょう。
 記述式の古文の点数が伸び悩んでいる場合はまず現代語訳の精度を上げていくことに比重を置けば良いと思います。
  

 長くなってしまいましたが、私はこれらを意識することでセンター古文は満点でしたし、駿台模試や進研模試の古文は全国平均の1.5倍くらいの点数が恒常的に取れていました。古文は苦手な人が多い分武器になりやすいですし、基礎を固めれば応用しやすいので国語の点数を上げるという点でも対策に力を入れても良いと思います。

 さて、次回は基礎を固め、現代語訳の精度を上げるノートの作り方について書いてみようと思います。

 最後までご覧いただきありがとうございます。

 

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