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胎児

赤紫色の門を出たら 
ぐにゃりと曲がりくねった道を進む

太陽の涙を飲み込んで 
体内を駆け巡る時、熱さと冷たさが入り混じるような感覚を覚える

気付けば足は月光を浴びて 光り輝いていた

哀しい、寂しい、暗いと泣き叫べど
もうどこにも心臓は無い

草を刈り落とし、根を切り落とし、腐敗した風景を盲目でもって見つめる

月の子宮に還るころには何も残っていない

沈んでゆく中で雨音だけが静かに響いていた

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