カルナック神殿とカナン人(フェニキア人)
今回は「カルナック神殿複合体とカナン人(フェニキア人)」というタイトルで考察系記事を綴っていきます。
前回・前々回の記事では「アメン大神殿」について綴ってきましたが、色々調べているうちに気になったことがいくつかあったので、そのことを考察していこうと思います。
記事の内容に入る前に、実は私、学校というものにしっかり身を入れて向き合ってきたことがありません。
学校に行っても授業を聞かずに遊び呆けていました。
なので、世間的な歴史観が抜け落ちています。
だからこそ先入観に囚われない考え方・見方ができるかと思うのですが…
言い訳がましくなってしまっていますが、今回の記事は私なりに「整合性が取れているかと思える歴史観」です。
私は捻くれ者なので、学校で習う正史をあまり当てにしていません。
”勝てば官軍、負ければ賊軍”という言葉もありますしね。
それでは本文「カルナック神殿複合体とカナン人(フェニキア人)」の考察に入っていこうかと思います。
アメン大神殿が属する神殿複合体が「カルナック神殿複合体」です。(※以下カルナック神殿に略)
まず、カルナック神殿はエジプトの首都カイロから南南東へ約500キロ進んだ地点に位置しています。
その付近にあるルクソールより北へおよそ3キロ先にエル=カルナックという村があり、その村の名前からカルナック神殿と名付けられたと言います。
私はこの”エル=カルナック”という村の名前に引っかかって、「カルナック神殿とカナン人(フェニキア人)」の考察をしようと思いました。
考察のスタートとして”エル”という語と”カルナック”を別々に調べてみました。
”エル”という語、カナン地方含むセム語派の神一般を指す”エル”。
ミカエル・ラファエル・ウリエル・ガブリエルなどの”エル”もこの語に因みます。
ついでに言及すると、無理矢理建国された国イスラエル、”エル戦い給う”、”エル支配し給う”の意味。
秘密結社スカル・アンド・ボーンズで有名なイェール大学、エライヒュー・イェールに因んでその名前になったそうですが、先祖を辿ればウェールズに行き着くそうですね。学章もなんとも思わせぶり。
話が逸れました。
次に”カルナック”という語について調べてみると、アラビア語でخورنق Khurnaq =要塞村ということらしいのですがイマイチ腑に落ちませんでした。
カルナックはカナン(人)のことではないか?
というわけで「カルナックはカナンを指す」についてカルナック神殿周辺の歴史を調べてみたところ、エジプト第12王朝(B.C1991〜B.C1782年ごろ)の後半からシナイ半島よりカナン人のグループがこの土地のデルタ東部への定住が本格的に始まったそうです。
要塞村ではなく、カナン(人)のことを指す線が濃くなりました。
そのカナン人グループがこの地に本格的に定住し始めたということは、その前にその地に住み始めていた人たちがいたはずです。
もう少し歴史を掘り返します。
さらに神殿周辺の歴史を調べてみると、第11王朝(B.C2134〜B.C1991年)には既に現在のカルナック神殿周辺でアメン神を崇拝する聖地になっていたそうです。
私が前記事2つで綴ってきた「アメン大神殿」のアメン神です。
アメン神とカナン人の繋がりを見つけようと思っていた矢先に思わぬ収穫です。
では次は、アメン神とカナン人の繋がりを掘り下げていきます。
カナン人はバアル神を信仰していたと言われています。
カナン人とアメン神の繋がり、私は正確にはカナン人とバアル神だと考えます。
アメン神=バアル神
なぜその様に考えるのかというと、アメン神とバアル神は同一神と言われているからです。
ではそれぞれの神を敷衍しつつ見ていきましょう。
バアル神は紀元前3000年の初頭には中近東の文献に登場しており、カナン人(フェニキア人)の最高神でバアル・ハンモンと同一視されていました。
バアル・ハンモンの特徴として曲がった羊の角をつけた老人として描かれ、セム語族のエル(エール神)と同一視。
属性は雷神・豊穣神。
では次にアメン神の特徴を見ていきます。
アモンとも呼ばれる。
雷神・豊穣神で羊の角が象徴される。
アンモナイトの語源はアンモーン(アメン)のもつ羊の角に似ていることによる。
アメンは雷神だったが、太陽神ラーと結びつき、時が下るにつれて同一神となっていく。
ギリシア神話のゼウス、ローマ神話のユピテルと同一視される。
バアル・ハンモンのハンモンは、ハム・アモン。ハムのアモンのことです。
そのハムとは、旧約聖書ノアの三人の息子セム、ハム、ヤペテ。
時が流れていく過程でバアル神とアメン神(アモン、ハムモン)は集合してバアル・ハンモンになっていきました(確認できるのは紀元前5世紀ごろから)。
旧約聖書に於いて、ハムは黒人色種。ハムモーンはハム(黒人色種)のアモン。エジプト含むアフリカ大陸は黒人色種が先住していますよね。
また同じく旧約聖書に於いて、セムは黄色人種。先から登場しているエル(エール神)を崇拝していたセム語族のことを指します。
つまり、セム語族のバアル神(エル、エール神)とハムのアモンと合一して”バアル・ハンモン”となった。
ややこしくなってきてますので簡単にまとめますと、
●アメン神の別名はアモン
●ハンモンはハム・アモン(黒色人種)
●バアル神とバアル・ハンモンは同一神
●セム語族はエル(エール神)を崇拝していた
●エル(エール神)、カルナック神殿の語源になったエル・カルナックの”エル”
●エル(エール神)は、バアル・ハンモンと同一神
●バアル神=エール神=アメン神、どの神も雷神(あまり触れたくありませんが、ヤハウェも属性は雷神)
上記のことから、アメン神=バアル神(=エール神)を崇拝していたのは元々カナン人で、エジプトの地に根付き、時が流れるにつれエジプトの神と混ざり合っていったのではないでしょうか。
そしてその土地に住み着いたエル(エール神=バアル神=後にアメン神も集合)を崇拝していたカナン人たちに因んで、村の名前は”エル・カルナック”になったのではないでしょうか。
(簡単に神々の画像をまとめたのですが、どの神も特徴をが似ていませんか?)
神々の特徴からもカナン人とカルナック神殿(アメン大神殿含む)の繋がりが掴めたかと思います。
では、まだカナン人に関して気になることがあるので綴っていきます。
と、その前にタイトルでは「カルナック神殿複合体とカナン人(フェニキア人)」と書いてますので、カナン人=フェニキア人について補足をしておきます。
「カナン人」は古代ギリシア人によって「フェニキア人」と呼ばれた民族グループと考えられています。
コトバンク様より「カナン」の語源について引用しますと、
Canaan; Kěna‘an
フェニキア人がみずから呼ぶのに用いた「ケナアニ (カナン) 」に由来するとされているが,ケナアニには「商人」という意味がある。また当時の貴重な商品,赤みを帯びた紫の染料をアッカド人がキナフ kinahhuと呼んだことにも関連するといわれ,古くから栄えた。
引用元:コトバンク「カナン」より
(https://kotobank.jp/word/%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%B3-45828)
カナン人=フェニキア人ということで先の考察も進めていきます。
今度は先程より時を進めてエジプト第18王朝の出来事から。
第18王朝では「アメン大神殿の建築」や、ハルマゲドンの語源になったトトメス三世による「メギドの戦い」がありました。
(個人的な意見ですが、歴史はまさに「勝てば官軍、負ければ賊軍」が適用されていたり、視点を逸させる為に特定の人々を盾として機能させている様に思えます。今回の記事では特定の民族には触れませんが、上記のカナン人=フェニキア人の説明を入れたこと、汲みとってほしいが…)
第18王朝を統治していたトトメス三世とハトシェプスト。その両者を後援・シンクタンクとして機能していたのが「アメン神官団」です。
第18王朝では軍事遠征・貿易によって経済力を拡張していきました。その成功の裏では、アメン神官団が歴代の王に助言などを行い、政治的な地位を築きあげていきました。
しかし、影響力を強めていくアメン神官団と王族の間には対立が顕在化する様になります。
そのアメン神官団ですが、貿易でウハウハしていたカナン人=フェニキア人の末裔ではないですかね?
その末裔たちによってテーベは栄えていた。影響力を持ちすぎたアメン神官団や交易先のメギドやカデシュなど(カナン人=フェニキア人の本拠地)に対してトトメス三世は弱体化・牽制として「メギドの戦い」を謀ったのではないでしょうか?
ではアメン神官団のことは一旦置いておいて、「モーセ」と「バアル神」に関してです。
ハトシェプストは先にも述べた通り第18王朝を統治していた一人です。
ハトシェプストは、旧約聖書にも登場する逸話の中で、モーセを川から拾い義母となります。
まぁその辺はスルーします。
モーセとバアル神に関して私が興味深いと思うのは、旧約聖書の出エジプト記34章の「モーセの角」問題です。
この問題を簡単に説明しますと、聖ヒエロニムスが旧約聖書をヘブライ語からラテン語へ翻訳する際に、モーセに”角が生えていた”と訳したことから誤訳ではないかとの論争があります。
論争については私の記事では度々登場するダン・ブラウン著『ロスト・シンボル』でも触れられています。(画像は作中に登場するアメリカ議会図書館の”角の生えたモーセ像”です)
『ロスト・シンボル』内では”モーセの角”は誤訳であったと結論付けられていますが、私は聖ヒエロニムスは”角が生えていた”と意図的に訳したと思っています。
その理由は以下の引用のモーセと、上記で述べてきたバアル神とが繋がるからです。(引用は子×5様(ねここねこ)様より許可を頂きました。ありがとうございます!)
・ローマ・サンピエトロ・イン・ヴィンコリ聖堂の入口にあるミケランジェロ作のモーセ像である。この像には二本の角が生えている。
聖ヒエロニムスがウルガタと呼ばれるラテン語訳聖書に訳すさいに誤訳した角だとするのが定説。
(誤訳じゃなくて正しい訳。「定説」にして必死に否定。ヤハウェはバアル系だから、自分以外のバアル系を迫害するのさ。自称唯一神様だから同族にも厳しいのさ)
出エジプト記34章。モーセの顔の皮が光を放っていたという記述。
「光を放った」(karan)という動詞を、
「角が生えた」とヒエロニムスが訳した(keren=角) 〔角のある顔(Cornuta facies)〕
ヒエロニムスは35歳の時にベツレヘムにこもり、70歳の天寿を全うするまで聖書研究に明け暮れた。彼はユダヤ教徒から直接ヘブライ語の手ほどきを受けているのに、誤って角ををつけるだろうか。
このnrk
という語根
(右から左読みヘブライ文字の並びが逆になるのでアルファベットで代用。
ק クフはk
ר レーシュはr
ן ヌンはn。
どう母音を補うかが問題)
から派生した語を聖書の中で調べると、動詞は全部で4回、うち3回はkaranでモーセのこの個所にしか登場しない。
あと1回はmakrin (左から右読み)で詩篇69:32に1回だけ「角を持つ」の意で登場。
名詞keren(左から右読み)はアラム語を含めて90回、ほぼすべてが「角」の意で登場。
つまり、モーセのこの個所以外でnrkから派生した語は全て「角」の意味合いで登場。
アッシリア語、アラビア語、などヘブライ語に近い言語を見ても、語根 nrkの意味は「角」。光という意味は二次的。
ヒエロニムスは 語根nrkの根本的な意味を大切にし、なおかつ『ミドラッシュ』(ユダヤ教の注解書)も参照した上で訳したと思われる。「角」と解釈した注解がある。
(p.64-65 を要約+補足)
(英語の翻訳は信用できませんな。
ミケランジェロ、ドレ、シャガールはモーセに角をはやしているから結社員の可能性が高いですな)
(引用終わり)
引用元:子×5(ねここねこ)様の記事「あなたが使う言葉があなたの現実になる。
支配層に都合がいい定義で言葉を使ったら支配層に都合がいいあなたの現実が形成される。
定義を明確にしないのは本質を隠す為か、自分で何を話しているのかわかっていないってことだからダメなんだよ。
支配層に都合がよい定義の言葉(=1984年のニュースピーク)の典型例がイルミナティ、メーソン、ユダヤ、悪魔崇拝。」より
(http://yomenainickname.blog.fc2.com/blog-entry-124.html)
上記の引用でも登場しましたがバアル神が顔を覗かせますね。
カナン人・フェニキア人の末裔であろうアメン神官団、アメン神=バアル神=エル(エール神)、”モーセの角”問題を俯瞰で眺めてみると整合性がとれている様に思えます。
本記事で述べてきたことを踏まえても、”モーセの角”問題は誤訳ではなく意図されたものだったのではないでしょうか?
ついでに附言しておきますと、エジプト第18王朝ではアメン神官団と王権の対立を解決するために、多神教であった信仰を一神教とする宗教改革「アマルナ革命」が起こります。(このアマルナ革命は普及せずにすぐに終了)
アメン神官団に忖度して多神教から一神教なんてモロすぎません?
本記事「カルナック神殿とカナン人(フェニキア人)」で綴りたかったことは概ね綴れたかと思います。
結構長くなってしまいましたねw
カルナック神殿とカナン人(フェニキア人)が繋がったかなと思います。
詳しい繋がりは省きますが、某宗教にて「アーメン」と言うのも納得です。
最後におまけとして、皆さんご存知の「ツタンカーメン」実は正確な呼び名ではありません。
正確な呼び名は「トゥト・アンク・アメン」で意味は「アメン神の生ける似姿」です。
では本日は以上とします。
最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。
次回の記事もお付き合い頂けましたら幸いです。
※追記※
前回の記事「あなたは神殿」にて、アメン神殿は黄金比(1:1.618…)に則って建築されていることを綴りました。
画像で示したように、ツタンカーメンのマスクも黄金比ですね。
覚えておりますか?五芒星は黄金比です。
「アメン神の生ける似姿」と言うのも納得です。
因みに、五角形を2つ組み合わせた六角形も見て取れますね。
五芒星と六芒星については追々綴ります。
ソロモンとダビデの星なんて言わないで下さいね。
”ソロモン”は”ソル・アモン”ですから。
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