嘘つきも正義
「正直」であるということ。
他人に対して「正直」であること。
自分に対して「正直」であること。
私は診断テストを受けるのが昔から好きだった。
そこでひさしぶりに、性格診断を受けてみた。
するとそのなかに ”正直であることは大事だ” という質問があった。
私はそこで、5段階(そう思う、どちらかというとそう思う、どちらでもない、どちらかというとそう思わない、そう思わない)ある選択肢のうち、迷わず ”どちらかというとそう思わない” を選択した。
”そう思わない”を選ばなかったのは、単に例外があったからだ。
この質問に出会うまで、この世の中では「正直であることが大事だ」という価値観のほうが正義とされているということをを知らなかった。
もちろん、正直であることを否定するわけではない。
ただ自分にとって、正直であることは本当にほんとうに難しい。
たぶんこの先も、自分の長所に出来るほどの正直な人間にはなれないと思う。
人それぞれ育ってきた環境や価値観が違うから、
自分は正直だし、正直でない相手は信用できないと考える人もいるだろう。
でも私は、嘘をつかれたという結果を見るだけでなく、その人がなぜ嘘をついているのか、その理由を考えられることに価値を感じている。
私は正直な人間ではないし、正直であることが大事だともあまり思えない。
自分の気持ちに正直だからこそ、嘘をついた方が良い場面もあるのだ。
私はそれで自分を守ってきた。そうしなければならない理由があった。
だから自分も、嘘をついた人を責めたくはないし、実際、私に対するやさしさ故の嘘をつかれたこともある。
その理由を知ったとき、私は嘘をつかせてしまって申し訳ないと思った。
すべて人のせいにするわけではない。
ただ、親しい人に嘘をつかれたとき、それは自分を思っているからこその行動であるかもしれないということを考えられるようになりたいと、私は思っている。
おわり
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