精神的ワンマイル

スーパーマーケットへ立ち寄ったら知ってる人がいてそのままうちで飲む?って流れになる。
道を歩いていたら車から呼ぶ人がいる。
久しぶりに寄った飲食店で、待ち合わせしていたかのように知ってる人が先に座って手を振っている。
いつ空いてる?週末?と、先月会った人とのLINEのやりとり。
まるで中高生のような距離感。

そういうのが地方都市特有だときいて、私は泳ぐのが本当にうまくなったのだなと思う。
泳ぎも息継ぎもそこそこ上手にできていて。

「千駄ヶ谷で働いてるんだ。渋谷?早く帰るときはしょっちゅう表参道までは歩いてるよ。会おうよ」
「吸収合併して本社四谷になったってニュースでやってたね、新宿三丁目まで昼休み出られる?お昼食べよう」
「そんなにしょっちゅう新宿西口まで来てるんですか?東口すぐだから私行きます」
そんな会話の相手は遙か彼方にいつもいて、時間の感覚も距離の感覚もシェアできずに結局会えなかったことだらけ。
でもそもそも私は立川の書店へゆくのすら、帽子を深くかぶって服で口元まで隠す著名人スタイルで日暮れ後におうちを出てたから、薄情で出不精なのは私だけだったのかもしれないな。

泳いだあとの疲弊感は好きで、
だから私には好きな人だらけなんだと思いながら一緒にいた時間をいつも振り返ってる。
年齢とかアルコール許容量とか自由時間に隔たりがあるから結局私には孤立が味方してて、だから好きでいられるんだろうっていうのも知ってる。

2022

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