品詞と文型で、英語をもっと楽に。【英文法導入講座①】
こんにちは。マーシャルです。
今回から、【英文法導入講座】と称して、英語における「品詞」と「文型」について解説する。
ここで書く内容は、私がこれまでに英語が本当に苦手で仕方がないという学生に、まず授業や参考書の内容が理解できるようにするために教えてきたものである。英語が苦手な人でも、とりあえずは「あ、なんだそんなことだったのか」くらいのレベルにはするので、ちょっと長いかもしれないが読んでみてほしい。
次節から、前置きを終えた後に解説に移るが、この前置きがやや長くなる予定なので、「まじでもう明日が試験本番なんです!」と、もう手遅れなのに悪あがきをしようとしているマヌケを除いて、飛ばさずゆっくり読んでいただけると幸いである。
はじめに(前置きという名の無駄話)
文法アレルギー
私は、英語の授業をする際に、当然のことながら「品詞」と「文型」に基づく英文法の解説をとても大事にしている。いわゆるS,V,O,Cとかを使って、英語を理解しようとする営みのことである。
ところが、初めて担当する生徒と話すと、どうやら一定数、こうした品詞や文型の知識を一切使用せず、英文を読んでいる層がいるらしいことがわかる。中には「英語を話す人はそんなSだのVだのを意識していないから、そんなものはいらん」という生徒までいたが、その「英語を話す人」ではないお前が、いったいどのように英文を解釈しているのか、ぜひともうかがいたい。
確かに、私たち日本人は、日本語の文を組み立てたり読み解いたりする場合に、「どれが主語で…、どれが動詞で…」などと考えながら読んでいるかといわれればそうではない。母国語である日本語に対して、そのようなアプローチは不要である。しかし、外国語についてはそうはいかない。私たちは英語ネイティブではないので、正しい解釈を感覚的に行うことが難しい。日本語ではできても、英語ではできないのだ。では、感覚以外でどのように正しく解釈するのか、それは文法知識をフル活用したロジカルな(根拠のある)読みである。
ここまで読んでも、まだ「いやべつに品詞だの文型だのいらんだろ」と思う人、以下の問題を解いてみてほしい。
【問題】以下の英文を日本語に訳しなさい。
He made his mistake in his report secret.
これは、かの有名な予備校講師、富田一彦氏が、授業の中でよく扱う英文である。間違った「なんとなく読解」の典型例として、ここでは引用させていただく。
さて、この英文、あなたはなんと解釈するだろうか。私はこの英文に出会ったときに、何が難しいのかとおもったが、生徒に出題したところ面白いほど同じような回答をするのだ。その回答というのが…
He made his mistake in his report secret.
彼は彼の秘密のレポートでミスをした
である。どうだろう。このような訳をした人も多いだろう。ただ、in his report secretで「秘密のレポートで」とはどういうことだ。何を言ってるんだ。秘密のレポートなら、「in his report secret」ではなくて「in his secret report」だろうが。ほら。適当に読んでるでしょ。所詮感覚で読むなんてのはその程度なのだ。
正しい解釈だと…
正しい解釈は以下のようになる。訳と文構造を示すので、見てみてほしい。
make OC「OをCにする」という形をとって、「間違いを秘密にした」となる。「間違った」から「隠ぺいした」に解釈が変わった。
もしかしたら、SとかVとかOとかが出てきて、もうこの時点で蕁麻疹が出始め、今にもブラウザバックしそうな人もいるだろうが、心配ない。あとでこいつらが一体何なのか、しっかりと解説する。とりあえずここでは、正しくちゃんと読むと、解釈が全く違っていた、なんて現象が今後起こりうるということをどうかわかってほしい。でも大丈夫。文法をしっかりやれば、なかなかそんなことは起こらない。文法とは、こうした解釈の齟齬をできるだけなくすためのツールなのである。
文型をなぜ学ぶのか
前置きの前置きがようやく終わったので、これから前置きを語ろうと思う。すでに原稿用紙4枚分程度の文字数に及んでいるが、最初に最悪読み飛ばしてもいいという旨を書いた気がするので、ここまで読んだのはあなたの責任であることは、ここで断っておきたい。
結論から言うと、文型を学ぶ目的は以下の3つである。
①英文の構造を正しく理解するため
②英文の意味(動詞の意味)を決めるため
③自主学習をうんと効果的にするため
1つずつ、解説する。
①英文の構造を正しく理解するため
「はじめに」で述べたように、英文をなんとなくで読むと、本来そこにあったはずの意味とは全く別のものが出力されることがある。これはもう、本当に最悪な読み方である。その英文を書いた作者が伝えようとしているものがあったのに、読み手が適当に読むせいでいつの間にか全然違う内容になるなんて、あってよいものか。
非ネイティブである我々日本人にとって、こうした文法知識に基づく解釈こそ、正しいアプローチである。理由はもうわかると思うので、これ以上述べない。
②英文の意味(動詞の意味)を決めるため
さて、文型を学ぶ目的①は、実は氷山の一角に過ぎない。実は文型とは、英文の意味(動詞の意味)を決めることができるという、とんでもないパワーを秘めている。例えば、getとかmakeとか、そのあたりの単語を辞書で引いてみてほしい。あ、言っておくがネットのやつは認めないぞ。紙か電子辞書で頼むよ。
手元にジーニアス英和辞典第5版があったので、こちらでgetをひいてみて、出てきた5種類の英文をいかに並べてみる。
※わかりやすくするために、一部主語を補うなどして補正している。
①〈人・乗物が〉〔場所に〕着く
When will we get there? いつそこにつきますか?
②~になる
He got drunk. 彼は酔っぱらった。
③得る、手に入れる
I got a good grade on the test. 私はテストでよい点を取った。
④〈人〉のために〈物・事〉を手に入れる、買う
My dad gets me all the books I want.
パパは僕の欲しい本は全部買ってくれるよ
⑤〈人・物〉を~の状態にする
She get the children ready for school.
彼女は子供たちに学校へ行く支度をさせた。
開いてみると、意味が十数個あって、見開き3ページ分にも及ぶ解説が書いてあった。
getの意味は何かと聞かれれば、多くの人は③の意味「得る、手に入れる」というだろうが、それは数ある意味のうち、ほんの一部に過ぎない。だから、今後であるありとあらゆるgetを、すべて「得る、手に入れる」と訳していたのでは、それこそ冒頭でやった例文のような、ずれた解釈が生まれてしまう。
では、どのようにgetの意味を判別するのか。その方法が「文型」である。
①~⑤の文は、いわゆる第1文型・第2文型…というような形で、順番に並んでいる。⑤の文は第5文型である。つまりは、getを使った文が第5文型だったのなら、⑤の意味の可能性が高いということである。文型を正しく判断できれば、例えば⑤の英文で、「手に入れる」なんて馬鹿げた訳をしなくてもよいのだ。こうした読みが、脱「なんとなく読み」への営みなのである。
③自主学習をうんと効果的にするため
我ながら、「英文法導入講座」というこのタイトルは、やや変であるように思う。普通「入門講座」だろう。なぜ、「導入」なのか。
これは私の実体験でもあるのだが、例えば共通テスト英語やTOEICを受けるために勉強をしているときに、文構造の解説を目にすることがあるはずだ。それ、ちゃんと生かせているだろうか。まさか「ふーん、構造はこんな感じなのね。まあ、おれはそんなのいらないけど。使わんし。」とか思ってぺらっと次のページに行ってはいるまいな。英語長文の参考書で一番重要なのはあそこだ。あのページが効果的に使えると、英語力は一気にぐっと伸びてくる。
「品詞」と「文型」は、すべての英文法を理解する上での、基礎の基礎になる部分である。「品詞」と「文型」は、英文法学習における幹なのだ。すべての英文法の共通部分が、この「品詞」と「文型」なのだ。
だから、この記事シリーズは、入門ではなく「導入」なのである。これからしっかり英文法を学んでいく人が、その門をくぐる前の、下準備のための講義である。
前置きのおわりに
さて、前置きの前置きがおわり、本格的に前置きを書いたわけだが、この前置きが想定よりも長くなってしまったので、「品詞」と「文型」については、次回以降の記事で解説する。
「ここまで読んだのに、なんにもまだ勉強できていないんですけど!」だと?
いいか、目次をみろ。見たらだいたい予想つくだろ。あきらめて次の記事に行け。
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