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父の看取りの話

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令和3年10月24日、肝臓がんで70歳の人生を終えた。 自宅で看取りをした話。
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父を看取った

父の希望を叶えるために、お世話になってきた病院から自宅に連れて帰ってきた。

昔から「俺が死ぬ時は延命はしなくていいからな」と何度も聞かされてきた。

なんなら、死んだ後に体を洗ったり、
豪華な花を棺にも入れなくていいと。

理由は、「死んでからでは意味がない」だった。

今が1番大切だと常に言っていて、

花を送りたいなら今送れ。

手を繋ぐなら今繋げ。

感謝は今しろ。

そう言って母の手を取

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最後まで泣き笑い

今朝、父は逝った。

父の周りでは大勢の人が泣き笑いしていた。

朝起きてすぐはまだいつもの浪曲のような唸りが聞こえていて、

呼びかければなんとなく頷いたり、反応があったけれど

訪問看護師さんが来てバイタルを測ると、昨日まで、お手本のようだった血圧が、もう、上が62で辛うじて測れるほどだった。

「…おそらく、24時間もつかどうか…」
会わせてあげたい人などにお声かけ下さいとの事だった。

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