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「白許と白秋」

家族で
お金持ちの真っ白な家に
仮住まいしていた
タダで

その部屋はどこも真っ白で
余計なものがない
ホテルのようで
心地よい

その白に
ずっと目を奪われていた
その白さは
疲れた体に優しかった

眠ることを
許してくれた
真っ白な天井を眺めながら
眠りについた

たくさん眠って目覚めたら
美味しい匂いが漂ってきた
食堂で白いトーストが
ほんのり焼けていた

白いマーガリンを
ふわふわバターナイフで削りながら
パンにつける
心地よい瞬間

周りは騒がしいのに
ひとりきりのような
静けさの中
木製の古い家屋に変わった部屋を眺めてた

なんとなく夢の中であることを
知りながら
眠気に襲われ
再び夢の中へ

秋は白い
なんでだろう?
白いものばかりが
目にはいる

急に寒くなるものだから
気張っていた体が
緩みすぎて
力が入らないんだ

脱力の白
空っぽの白
休息の白 
寒さの白

いくらでも眠れる
白が許してくれるから
秋が許してくれるから
私が許しているのだから

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