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「ひと昔前を歩く」
目の前にゆるやかな曲線の
急な坂
鼻を鳴らし
挑みながらのぼる
蔓に囲まれた廃墟をながめながら
人の住みづらさを感じる
いま思えば
おかしな感覚はここからだった
![](https://assets.st-note.com/img/1666049442624-fKO6VIvXDg.jpg?width=1200)
本命の現代彫刻美術館
誰もいない空間に置かれた
野外彫刻
感じたのは懐かしさ
作られた年代は七十年代
これはロダンの影響が強い人物像
八十年代にはイサムノグチを思わせる
大きな抽象彫刻
![](https://assets.st-note.com/img/1666049324595-78kA1OfP39.jpg?width=1200)
山のように段々となる
庭園を下りながら思う
個性を輝かせながら作られたものも
歴史の中の渦のひと粒なのだなと
そしていまを生きる私たちも
また同じように歩んでいる
逆らうことできない
大きな流れの中で
![](https://assets.st-note.com/img/1666049357702-tfALCHpX3K.jpg?width=1200)
その中からわたしに向かって歩むひと
鮮やかな赤いブラウスに白いスカート
黒い日傘にサングラスの女性
暑い日差しの白昼夢なのか
どこか直視してはいけないようで
ひたすら彫刻に夢中になり
やり過ごした
彼女の後ろ姿だけを目に焼きつけて
あれはなんだったのか
まさに七十年代ファッション
わたしは迷い込んだのか
この時代に
人気の少ない高台の
中目黒四丁目
祐天寺に差しかかり
ひとけのあるところへと帰還した
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