マガジンのカバー画像

映画感想

20
運営しているクリエイター

2019年6月の記事一覧

青春に取り逃がしたもの(「夜明け告げるルーのうた」感想)

青春に取り逃がしたものがたくさんある、キラキラした友情とか恋愛とかそういうもの。それに手を伸ばすことを躊躇ってばかりの人間が主人公だが、歌をうたうとやってくる人魚ルーに心を動かされ、純粋な気持ちに立ち返り、キラキラしたものを掴みに行こうとする話だ。そしてそんな日々の終わりの話。

カッコいいJPOPのアレンジがビシバシ効いてきて、それで画面は画面でとんでもなく派手なことが次々と起こる。その目まぐる

もっとみる
理解するとは(映画「海獣の子供」感想)

理解するとは(映画「海獣の子供」感想)

「理解した気」になる物語がありふれている。一人称語りの物語を読めば、主人公の気持ちを知った気になる。簡略化された説明書を読んで分かった気になるようなものだ。

映画「海獣の子供」は、まこと「思いあがるな人間!」と叫んでいるかのような映画だ。理解なんて、できないことは世界にたくさんあって、理解できているというおごりを取っ払ってしまう。怒涛の海、怒涛の宇宙。

世界観に呑まれるほどに、私たちの認識の世

もっとみる
嘘はいくつあったか(ルパン三世「峰不二子の嘘」感想)

嘘はいくつあったか(ルパン三世「峰不二子の嘘」感想)

二作目飛ばして三作目「峰不二子の嘘」を観てきました。

峰不二子という存在が特殊設定ミステリのギミックのように機能して、物語が結ばれるこの爽快感はさすが。峰不二子を見たら男は必ず惚れてしまう、という設定だけでトリッキーな演出を成してしまうわけです。

峰不二子を語るときに愛を語るのは(騙るのは?)当然なわけですが、その愛の真価を「子ども」という異物によって表現するところ。峰不二子というもののロジッ

もっとみる

何故次元が狙われたのか(「「LUPIN THE3RD 次元大介の墓標」感想)

脚本家が高橋悠也だと知って俄然興味が湧いて見始めた、ルパン三世。今日は、「次元大介の墓標」。もう、タイトルのインパクトが強いんですが、本当に墓標が映るんです。

狙った相手の墓標を先に立ててしまう、なんともお茶目な狙撃犯に狙われた次元たちが、どうにかそれを阻止しようとするのですが、いやはやスリリング! 峰不二子が捕まっていかがわしいところに連れてかれてるのも、なんだかスリリング!

ミステリとして

もっとみる
燃えて、消す!(映画「プロメア」感想)

燃えて、消す!(映画「プロメア」感想)

TRIGGERの作品は、実はそう観てなくて、「パンティ&ストッキングwithガーターベルト」しか観たことがない。

そんな私でもついていけるだろうか、と思いながら観に行きました。目がチカチカした。最初からスタイリッシュな炎がチカチカするのです。カッコいい音楽に乗せられて、人々が燃えていく。

誰よりも暑そうな熱そうな男を救助と消火のヒーローにし、めくるめく火付け集団とのバトル、バトル! 既にここで

もっとみる