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アスペルガーの息子 会食恐怖症のはじまり(中学生編)

私の息子(26歳)は大人になってアスペルガーと診断された。

小さい頃からちょっと変わった所があったが、小学生時代はそれでも子供らしい時間を過ごせていたと思う。それが、中学校に入り一変した。

給食が飲み込めない

中1の5月。

あれ?なかなか起きて来ないな?と思い2階に上がってみた。

布団をめくると、真っ赤な目をした息子がいた。

私「あれ?どうしたの?」

息子「涙が止まらないんだ」

私「え?」「なんかあったの?」

息子「給食が飲み込めないんだ」

私「え。。。」

その時すぐに精神的なものだと気づいた。


息子は小学生の頃、給食が大好きだった。家のご飯より給食のほうが美味しいと言っていたくらいだったのに。。

息子はその頃、クラスの中で一番背が低かった。組体操のピラミッドでは一番上の役だ。細くて小さく大人しい子だから、もしかしてイジメられているのでは?と思い聞くが、イジメられていないと言う。

では、なぜ。。。 しばらく2人で色々話した。

そんな事をしているうちに、登校時間も過ぎてしまい、とりあえずその日は休ますことにした。すると、息子の涙は自然と止まった。。

それからは、毎日同じ朝の繰り返しだった。布団をめくると真っ赤な目をして泣いている息子がいた。

不登校のはじまり

これは、不登校?

私の不安は的中した。不登校になる子がいるのは知っていたが、まさか自分の子が不登校になるなんて。。。

ショックだった。

担任の先生と話をして事情を伝えた。先生も給食を無理に食べなくてもいいし、食べられないなら私にくれたら食べてあげますよっと言ってくれた。教室での様子を聞いても、特にイジメは無いとも言われた。

息子に無理に食べなくてもいいし、残してもいい、と何度も伝えた。でも、状況は変わらなかった。

私がしっかりしなくちゃ。なんとか学校に行けるようにしなくちゃ。

そう思っていたけれど、一ヶ月が過ぎる頃には、変わらない現状を目の当たりにして、自分を責めるようになっていった。

私が悪い。私の育て方が悪かったんだ。もっとあの時ああしていたら、こんな事にはならなかったのに、と過去を何度も悔やんだ。

そのうち、朝になって息子の赤い目を見ると、心がズキンと痛むようになり、私も涙があふれるようになった。

二人で、泣いた。。。毎朝。。。

息子は、自分が不登校になってしまった事をすごく気にしていた。周りから不登校になった子として見られる事をひどく嫌がったし、そうなってしまった自分を心から恥じているように見えた。

休んでホッとして寛ぐというよりも、家にいても暗く思い詰めていた。

行っても苦痛、休んでも苦痛、そんな状態だった。

息子は苦しんでいた。そして私も苦しかった。。

この先、どうしよう。。。。

そんな大きな不安を、自分の力ではどうすることもできず、ただ受け入れるしかない日々だった。

不登校になった原因

その時は、原因が分からなかった。きっとどこか繊細なところがあるからだろう、しか思いつかなかった。

でも、息子が大人になってから、実はあの頃イジメられたことが原因だったと教えてくれた。クラスメイトから殴られたそうだ。

でも、当時は一切その事を私に話さなかった。

言えなかったのだろう。。。同じように泣いてしまう私に、これ以上嫌な想いをさせたくなかったのだろう。。。

会食恐怖症

「会食恐怖症」という名前がある。

〜誰かと一緒に食事をすることに対して、強い不安感・緊張感を抱く症状〜 

家では食べられる。でも他人と一緒に食べられなくなるのだ。

それは、どんなにお腹がすいていたとしても飲み込めない。食べられないので、常に空腹状態。

お弁当のような自分がなんとか食べれらるものを、食べられる量で持っていくのは、まだマシだったが、給食や人との外食は調整がつかない。そして、一番辛いのが、普通に食べられる人からしたら理解できないので、奇妙な目で見られることだ。

給食という決まった料理を、拒否することもできず毎日向き合わなくてはならない日々。

一時的に症状が出ても、成長するにつれて改善する人もいるだろうが、息子の場合はその後、ずっと症状は残ることになる。

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中1の5月から始まった不登校は夏休み明けから、行けるようになった。その後中3で再び不登校になったが、なんとか高校へ上がる。

では、給食の時間をどうしたかというと、人に食べてもらったり、なんとか少量は無理やり飲み込んでしのいでいたらしい。お腹は満たされず空腹状態との戦いだった。

息子もこの中学時代は苦しい思い出となったであろう。なによりも自分の現状に驚き、失望し、葛藤したのは彼本人だったのだから。

会食恐怖症は対人不安によるもので、食べられないことと、今吐いてしまったらどうしよう、という恐怖によって更に食べられなくなる。

そうなってしまうのも、発達障害をもつ子が集団生活という閉鎖された空間で感じ取る違和感や拒絶感から起こってしまう症状なのかもしれない。

発達障害という観点から見ると、この頃はまだ子ども時代らしく、どこか親が守ってあげられる状況だったと思える。が、大人になっていき自分の考えや意思がはっきり確立してくる頃になると、また違ってくるのだった。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

marrietty.room

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