留学なんて十中八九楽しくない。

もうすぐ3ヶ月半もあった夏休みが終了し、秋学期が再開する。
キャンパスにもどんどんと人が戻り始めいていて、「もうすぐ学期が始まる」というエネルギーを感じる。

もう8ヶ月もアメリカに滞在していることになる。様子見でスタートして右も左も分からなかった春学期よりも、若干心の余裕は生まれている気がする。気がするだけで学期が始まったらまたてんやわんやになるかもしれないけど。

夏休み中、校内でバイトをしていたのだが、勤務時間中のほぼ全てオフィスの椅子に座っているだけという日もあり、「ああでもない、こうでもない」とごちゃごちゃ考えるながら過ごすことが多かった。

その中で、留学を開始してから時々話す日本にいる知り合いに聞かれて返答に困る質問があったことを思い出した。それは、

「留学生活楽しい?」である。

ほぼ例外なく、質問者の声のトーン的に「楽しいよ!行ってよかった!」と言ってほしいんだろうな、と察してその場は「楽しい」と答えている。ただ、どう考えても「楽しく」はない。

少し話が飛んでしまうが、編入する前の大学のゼミの教授が言っていたことで、すごく心に残っていることがある。それが、「楽しい」と「面白い」の違いだ。「楽しい」は外部からの刺激なので、いつか慣れる(≒飽きる)時が来るし、受動的なので自己の成長には関係ない。それとは別に、「面白い」は能動的なので、自己の成長に繋がる、ということだ。

だから正直、アメリカの食堂で英語で雑談をするよりも、日本の安くて美味しい居酒屋でごちゃごちゃ愚痴を話している方が圧倒的に「楽しい」。自分の伝えたいことを伝えたいままに話せるし、相手の言っていることも表面上は100%聞き取って理解することができる。その瞬間での心の満足度は、日本の居酒屋の方が圧倒的に高い。

アメリカの食堂では、身の回りに起きたハプニングとかを時系列で話そうとしても、時制がゴチャゴチャになったり、情景描写できる表現力も足りてなかったりしてハプニング自体の面白さが全然伝わらないし、知らない国の知らない政治家の話とかされても全然よく分からないし、時々向けられる「こいつ何言ってんの?」みたいな空白の表情はいまだに心に突き刺さる。

だけど、そっちの方が自分にとっては「面白い」。
いまだに知らないであろう単語やスラングがたくさんあって、付けるべきなのに付けられていない知識があって、「英語下手くそだな」と思われたらどうしようという不安がある。でもそれをどう乗り越えようか、どう追いつこうかと考えれば、現時点での自分の置かれた環境を「面白い」と思えるし、思えている。

「留学楽しい!」と心の底から言える人は言えばいいし、自分の知ったことではない。さらに言うと、これだけ格好つけたことを書きながらも、「面白がれずにネガティブスパイラルにはまってしまう事柄」もたくさんある。

「就職」なんていうのは、今まさに、ネガティブスパイラルの心棒だ。
日本にいる間も、レジュメに書けるような「輝かしいインターンシップ」なんてしてないし、今年の夏休みだって自分が使用済みバスタオルを部屋から回収して袋詰めしてレンタル業者に返している間に、周りは誰もが聞いたことがあるような企業でインターンしていたりする。

「もう無理じゃん」という「諦め」から、いかに「面白い」にギアチェンジすることが大切なのかは分かっているので、今はギアがスムーズに変えられるように必死で修理している最中だ。

とにかく、「面白い」と思えるように工夫するしかないし、「面白い」と思えたら続けられる。だから、もし貴方の貴重な時間を使ってこれを読んでいただけましたら、どうか私に「留学楽しい?」と尋ねないでください。

答えに困ります。(旅行して日本では見れない景色を見たり、単純に海岸を歩いて「洋楽のMV出演者気取り」するとか、楽しいこともあるので、一概に「全く楽しくない」とも言えないのです。)

自分自身の留学生活は、概ね楽しくはないけれど、面白いことは日々起こっています。



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