【読書感想文】『もしドラ』から読むザコ会社員ワイの強みと弱み
ご機嫌麗しゅう。ザコ会社員です。
2009年に発行されてちょっとしたブームになった『もしドラ』を読んだので読書感想文でヤンス(何かザコそうな語尾)。
きっかけは、半年間の休職期間を経てひとまず復帰することに決めたこと。
今在籍している会社はベンチャー気質の強い中小企業で、部署の割り方やメンバー構成がころころ変わる。
休職する少し前には、ドラッカーの『マネジメント』に倣って”強みを活かす”をテーマにチーム編成が行われた。
そんなわけで会社の方向性について何かしら理解すべく、何か読まなきゃなーと思ってブックオフで見つけたのが『もしドラ』だった。
お値段なんと220円。ブックオフ万歳。
『もしドラ』って何?
『もしドラ』、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』は2009年に発行されたビジネススポ根小説。
著者の岩崎夏海さん(可愛い名前だけどスキンヘッドのおじさん)は秋元康の弟子として、放送作家や文筆業をやっているそう。
思い起こせばブームになった頃、つるつる頭のおじさんがよくテレビに出ていた気がする。
岩崎さんは組織マネジメントの決定書『マネジメント』を読んでいたく感銘を受けて涙まで流したそう。経営でいう「マネージャー」と、通常日本で聞いて思い浮かぶ「野球部のマネージャー」って言葉は一緒だけど結構イメージ違うよな、という思いつきで女子マネが『マネジメント』に沿って弱小野球部を立て直す物語を思いついたのだそう。
読書感想文
あらすじ:めちゃくちゃベタなサクセスストーリー
主人公のみなみはワケあって大の野球嫌い。
それなのに、野球部の女子マネをしていた親友が重病で入院してしまい、代わりを務めるべく女子マネになる。
やるからには目指すは一つ、野球部を甲子園に連れていくこと!
しかし在籍する高校は弱小校で、本戦出場はおろか、地方大会で数回勝ち上がれる程度。部員はやる気がなく、練習にすら来ない。監督も部員に何も言わず、他人事のようだ。
そんな野球部を甲子園にいけるチームにすべく、みなみが手に取ったのは何故か経営書のベストセラー『マネジメント』だったーーー
勘のいい読者はお気づきかも知れないが、ここから野球部の気持ちいいサクセスストーリーが続く。当然失敗や苦悩、葛藤は訪れるのだけど、それを乗り越えて主人公みなみは成長し、それが野球部全体を巻き込んで見事甲子園本戦出場を叶える。(ネタバレしちゃった)
ドラマ『ルーキーズ』を観たときのようなワクワク感があったし、 脳内でGReeeeNの「キセキ」まで流れた。
『ルーキーズ』は2008年放送とのことで、『もしドラ』発刊の一年前だ。
時代がこういうスポ根を求めていたのかしら。
表紙や挿絵も『涼宮ハルヒの憂鬱』などの電撃文庫っぽさを感じて、ゼロ年代にタイムスリップする感覚も味わえた。
物語はとにかくわかりやすい。
物語がわかりやすいからこそ、その進行を裏付けていく『マネジメント』のエッセンスが理解しやすい。これはなかなか良い構成だと思った。
組織は何のためにある?
物語を通して、野球部という組織は何のために存在しているのか、という問いが繰り返される。
ドラッカーは「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠と『マネジメント』で語る。そして「企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である」と続く。
確かに会社であればお客さんがいないと成り立たないからよく理解できる。
じゃあ野球部にとっての顧客は?と考えた末に出たのは、顧客はお金を出す保護者であり、部活動を指導する学校であり、周りを取り囲む社会であり、そして野球部員自身である、という答えだった。
そして顧客全員に対する事業は、野球を通じて感動を与えることだ、と。
そのために目指す目標は甲子園出場しかないっしょ!ということだった。
いわゆるビジネスでよく言われる「三方よし」の考えだ。
「ステークホルダーエンゲージメント」というかっこいい言い方もある。
言葉としてはもちろん知っているけど、目の前の仕事にあたっているとそんなことまで考えていられない、というのが正直なところだ。
けど少しでも意識すると、「これって誰のための仕事だっけ?」と振り返ることができる気がする。
会社では定期的に目標設定をさせられる。私はそれがとても苦手だ。
上長からは「目指す姿、ありたい姿から逆算して、定量的な目標を立てるように」と言われる。けれどその姿が全く思い浮かばないのだ。
振り返ると、失敗して怒られないように、自分ができることをそのまま目標にしてみたり、世の中的に聞こえが良いことを言ったりしていた。
顧客が求めることから考えていくしかないんだね、と至極当たり前のことがようやくわかった気がする。
マネジメント=強みを活かすこと
本書を読んで一番肝になる部分は、強みを活かすことだと感じた。
作中の該当部分を引用してみる。
これが、今の会社がドラッカーをテーマに組織編成した理由だ。
作中では部員の強みを発揮するためにチーム制を敷いて競争関係を作ったり、練習メニューを変えて特技を伸ばせるようにした。
同じように今の会社でも部内にチーム制を敷いて、社員一人一人を何らかの責任者に任命した。
私もある分野の責任者になった。結局それを放り出して休職してしまったが。
自分の会社員生活を振り返った時、「強み」を意識させられたのは今の会社が初めてだった。
今の会社の前、暗黒のJTC(Japanese Traditional Company)に勤めていた頃は強みなんて考えている場合はなかったし、誰も言及したことはなかった。
すでに事業も顧客も出来上がっていて、求められるのはそこに適応することだったからだ。
顧客との関係を維持し、受注と発注の実務サイクルを回し、売上を上げること。それが至上命題だった。
活かされる個性はお客さんとの交渉が得意だったり、無口だけど実務がスムーズだったり、どちらもイマイチだけど何となく周囲に気に入られたり、くらいのバリエーションだと感じていた。
上のいずれも持ち合わせていなかった私は関係維持、実務サイクルの間で揉みくちゃにされて心身がぶっ壊れたまま転職。そして休職に至った。
7年ほどの在籍で何も成せなかったし、上出来な評価も受けなかったと感じていた。
ザコ会社員ワイの強みと弱み
転職してからしばらく経った後、仲良くしていた先輩と飲む機会があって嬉しい言葉を言われた。
「お前は過小評価されすぎたと思うよ。一番業務量を持ってたし、あれだけ回せる人もいなかった。それを文句も言わずやってたんだもんなあ。まあ文句があったから辞めたんだろうけど」
「強み」について今の会社で少し学んだからこそ分かることがある。
それは、どんな要望も状況も受け入れる「受容性」が私の強みであり、弱点なのだ。
入社時、FFS理論(Five Factors & Stress理論)というものに基づいた診断を受けさせられた。心理テストのようなもので、五つの因子(特性)のバランスとストレス要因でその人の特徴を表すものだ。
恥ずかしいけど診断結果の一部分を載せてみる。
受容性の項目が20点。カンストしているのだ。
前職では客の無理難題も現場の都合も全部飲み込んで、その間で板挟みになっていた。
どちらの事情も分かるし、共感してしまう。
結局どっちつかずになり、歪みを一身で受け止めて無理矢理こなしていた。
業務を沢山持っていたのは、頼まれたら断れずに積み上がっていったから。
「受容性」という特徴が裏目に出まくって自分を苦しめていたのだった。
転職し、今の会社でも仕事を任されるのが嬉しくて、イケイケどんどんで仕事を増やしてきた。
しかし前職でいじめ抜いてきた身体はそれに耐えられなかったようで、色んな数値がバグり散らかすという形で休職を迎えた。
もしザコ会社員がドラッカーの『マネジメント』を読んだら
『もしドラ』を読んで一つ足掛かりができたので、次は『マネジメント』本編を読むことにした。
ベストセラーとはいえ古い本なので身近な書店では見つからなくて、結局Amazonで古本を取り寄せることにした。文明の利器最高。
復職をしたのち、しばらく今の会社に勤めるかもしれないし、そうじゃないかも知れない。
いずれにしても生きていく上では何らかの組織や集団に属さないといけないことは確かだ。
これまでや現在は組織の一員としてマネジメントされる立場だったが、いずれはマネージャーになるかも知れないし、ならないかも知れない。
ザコ会社員がドラッカーの『マネジメント』を読んだらどうなるのか、乞うご期待であります。
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