見出し画像

ネガフィルムxネガフィルム = ポジフィルム???

———————————————————————————
概要
———————————————————————————
 表題の件である撮影済ネガフィルムをネガフィルムで撮影したらどうなるか、について実験したことをまとめた記事である。

章立てとしては以下の通りである。

はじめに

 読者の皆さまはリバーサルフィルムの現像済みフィルムを見たことがあるだろうか。
 写真として切り取った風景がそのまま閉じ込められたような綺麗な仕上がりは、フィルムカメラを趣味としてる人は一度体験してほしいと思うところだ。

ポジフィルム

 だがここ最近フィルム全体の値段が上がり、その中でもポジフィルムの値上がりは凄まじいものがある。次の画像を参照されたい。

写真フィルムの値上がりについて
https://www.fujifilm.com/ffis/ja/news/130

 これで主要なポジフィルムの価格が2160円から3600円まで値上げされた。このほかにも他メーカーでも年始に値上げがおこなれており、現在フィルム業界では根本とも言えるフィルム自体で怒涛の値上げラッシュが続いている。

 今現在の主要なフィルムは最安値のもので1500円からで高いものになると4000円を超えてくる。
 今回再現しようと考えているポジフィルムについては、最安値が3000円ほどで高いものだと5630円となっている。
→ちなみに上記のフィルムは36枚撮りである。撮影後には現像代とスキャン代(スマホに写真を送るためのデータ化)、必要なプリント代がかかる。

現像代はネガフィルムでネット郵送で最安が400円から、店頭だと現像、スキャン込みだと大体1500円前後といったところだ。

 昨今の世界情勢や為替状況、個人の趣味が中心という需要だからしかたがないのかもしれないがやはりかなり厳しいものだ。
 3000円を超えるフィルムを店頭で見た時は、「もうやめようかな」と頭によぎったほどだ。

 この通り、フィルムを取り巻く状況は非常に厳しいものとなってきている。そんな状況ではあるが、私は2年ほど前からフィルムカメラを嗜むようになり、最近ではフィルムしか使わないという状態になってしまった。
 
その中でもポジフィルムの魅力に取り憑かれてしまった。

 ただ前述の通り、ポジフィルムのランニングコストはとても高いそこで手軽にポジフィルムを楽しむ方法はないだろうか、私はそう考えていた。
→ランニングコスト
 フィルム代 3600円
 現像代 2000円

 撮影枚数(36)で1枚あたり 約140円。。。
 タバコより高いのではないか、この趣味。。。

このコストに頭を抱えていたがある日、

「現像済みネガフィルムをネガフィルムで撮影して現像すれば、ポジフィルムになるのでは」

という着想を得たのだ。

これは試すしかない。。。

というわけで、
今回はネガフィルムをポジフィルムにできないか、という試みを行ったのでそれについて記載する。

ネガフィルムとポジフィルムについて

 実験の前に、読者の皆さまはすでにご存知かも知れないが、ネガフィルムとポジフィルムについて簡単に紹介する。

ポジフィルム
—————————————————
 さて、リバーサルフィルムもといポジフィルムは、現像時点で陽画(ポジ)として完成させるものである。この陽画は私たちの目で見て写真であると判別できる色を持ったものだ。

現像で上がった写真データよりも、このフィルムを確認するのが何よりも楽しいのがポジフィルムの魅力であろう。

ネガフィルム
—————————————————
 現像で上がってくるフィルムはオレンジや茶色のシートがベースで色もイマイチよくわからないものとなっている。だがこちらはデータとして上がってくる写真は通常の写真の色をしているため特に問題はない。

ネガは焼き増し用にとっておく、といった感じだ。

 なぜあの形で現像を行うのかというと、ネガはポジに比べて明るさの調整に強いためである。そのために露出関連で撮影ミスをしている写真をプリントの過程で救うことができるのだ。

だから写ルンです。といったカメラにも採用されているのだろう。

繰り返しになるが、

ある日私はポジフィルムの現像結果を見ていてあることを思いついた。
ネガは反転してポジの状態して写真をプリントしたりスキャンしたりする。
それならば、ネガをネガで写してしまえば、スキャン時にポジになるのではないか。

こんなことを思いついてしまったのだ。

うーん、気になる。。。

実験について

実験のゴール
 ネガxネガ=ポジであることを確認する。
 ネガフィルムをいかにポジフィルムに近づけることができるのか

今回はすでに撮影したネガをネガフィルムで撮影するという方法をとった。
撮影時にはトレース台を使用、マクロレンズを使用して可能な限りフィルム面を大きく撮影した。
撮影対象としたネガはできるだけ色の強いもので、今回は花をセレクトした。
使用フィルムは普通に写るフィルムとしてColoplus200,FujiColor 100をチョイスした。

使用機材
———————————————————————————
 オリンパス OM10
 オリンパス Zuiko Auto-S 50mm F1.4
 KENKO マクロアダプターレンズ
 トレース台 トレース台/LomographyのDegiliza+
 三脚
 その他 レリーズ

撮影に使用した機材 オリンパス OM-10
実験風景
実験風景 ファインダー内部


実験結果

1回目
———————————————————————————
Colorplus200
複数のフィルムを同時に撮影した。
仕上がったネガを確認してみるとネガかポジかの判別は難しい。
スキャン結果はネガとして出ているのでおそらく成功していると思われる。
トレース台に移して確認をしてみると、色はとても薄いが確かにポジとして色が出ていることを確認した。

実験前の現像済ネガフィルム

結果
———————————————————————————
ネガxネガ=ポジは確かであることを確認した。。
 →ただ、オレンジベースのためか色は綺麗に見えない。
ポジフィルムのような仕上がったフィルムを見て感動できるようなことはないと思った方が良いだろう。
 →そのためにはおそらく透明なベースである必要がある。

現像済ネガフィルムをネガで撮影した結果

次回の申し送り
色の強いネガをベースにすればもっと綺麗に色が出るかもしれない。
もっと一枚にクローズアップして撮影を実施すればよかった。
トレース台の色を変えれば結果が変わるかもしれない。

2回目
———————————————————————————
前回の反省を活かして一枚にフォーカスを当ててネガをネガで撮影
色が濃く出るクロスプロセスされたフィルムを被写体とした。
→ネガ?

クロスプロセスで撮影した現像済フィルム

結果
———————————————————————————
近づいて撮影できた分、前回よりも確認は容易であった。
色味については前回よりも多少はマシになったとは思う
 →やはりオレンジベースが邪魔してあまり綺麗には見えない

現像済みフィルムをネガ撮影した現像済ネガ

次回の申し送り
・オレンジベースが視認性の障壁になっているように思えるので色の濃いネガ、もしくはクロスプロセスしたフィルムをリバーサルフィルムで撮影してクロスプロセスを行えばオレンジベース問題は解決できるかもしれない。
・トレース台問題は多分その後に取り掛かるべき課題だろう。
・比較のためにも1回目のバラをもう一度撮影した方がよい。


課題

オレンジベース問題
トレース台問題
コスト問題
→ネガをポジで撮ってクロスプロセスすることに何の意味が。。。


やってみて思ったこと

 気になっていたネガをネガで撮影すれば、ポジになるということを確認できた。これはよかったが、やはりポジフィルムはポジフィルムで撮るべきなのだと再認識させられた。 
 当然すぎて何をいっていると思われるかも知れないが、それが結果的にコストがかからないだろう。

 これをやってみたきっかけとしては、ネガxネガ=ポジの確認もあったがもう一つ、お気に入りのネガを現像済みフィルムの状態からポジに複写できればネガフィルムもポジフィルムのように楽しめるのではと考えたためである。
 確かにこの方法でもポジ的なものは得られるかもしれないが、やはりポジはポジで、ネガはネガで楽しむべきなのだろう。
 フィルムの金額が安価ならば、さらなる調査を行なっても良いかと思うが、今のこのご時世ではおいそれとはできない。

なので、今回は一旦ここまでとする。

実験して〜という声があればするかもしれないが、それならフィルムを提供していただけるとたすかるが。笑

続きの実験をするのなら、以下のような感じだろうか。
ゴールとしては、ネガフィルムをいかにポジフィルムの現像結果に近づけられるか

第三段階
 現像済みネガ・クロス現像結果をポジで撮影してクロス現像。
第四段階
 これまでに試してきた組み合わせで一番良いもののトレース台の色を変更して実験。
第五段階
 思いつかない。

  
 ポジフィルムのどんどん値段がどんどん上がっていく昨今、手軽にポジを楽しむ方法はないかと模索したが、やはりポジはポジでしか得られない感動があると再認識することができた。手持ちのポジフィルムを大切に使おうと思う。

以上です
ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?