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2月演劇ワークショップをふりかえって(後編)

みどりです。右下で頭にツノを生やしています。

撮影した動画を見返しては、同じところで笑ったり。
ひとりで言ってて恥ずかしいですが、本当に楽しかったなあ・・・

さあ前編に続き、ワークショップの内容をふりかえる後編です。

演劇の不自由さについて

TwitterやInstagramを見ていて感じるように
美しい風景も、かわいい猫の仕草も、上手にできた料理も
写真や映像で残せば、いつでも思い返すことができるようになりました。


しかし、舞台上で再現できることには限界があります。

場所も、時間も、人物も、全くその通りにはならない。

むしろ、その不自由なところから表現されることの方に
どうやら面白味があるようです。


落語にも「だくだく」という噺があります。

盗みに入った家は、家財道具すべてが絵。

盗人は驚いたものの
「引き出しを開けたつもり。上等な着物が入ってたつもり。盗んだつもり・・・」と
見事「つもり」で盗み出そうとしています。

そこを家主が「絵の槍を泥棒に刺したつもり」で
とっつかまえるという、なんともバカバカしい話です。

子どものままごとにも似ていますね。


ないものを、あるように表現する。

不自由だけど自由であるのが演劇だと私は思います。

そんな面白味を感じてもらうワークとして「雪合戦」をしました。
もちろん工房に雪が積もっているわけではありません。でもここは雪原。
自らも子どもになって、チーム戦です。

相手の投げた雪玉(もちろんこの場には存在しません)を受ける
・・・どうしてだか「やられたー!」という気持ちになる。
逆に自分の雪玉(もちろんそんなものはない)を相手に投げる
・・・「外した!」「当たった!」がわかる。

なんか乱暴に聞こえるけど「よっしゃー」とか言いながら
汗をかきかき、チーム戦を楽しみました。
それこそが、全員が「つもり」や「ごっこ」を信じている証拠です。

舞台上でないものをあるように表現すること
そして、その嘘を観客が一緒に楽しむことと同じです。


これは演劇の経験の有無には関係なく
子どもの頃から自然と身につけてきたことなのかな~と分かりました。


なんと嬉しいことに、参加者のおひとりが雪国出身だったので
雪合戦の思い出を聞かせていただくチャンスも!
私は雪遊びの経験が少ないので、戦略的な話も聞けて興味深かったです。


テキストを読んでみる

さて、前半はおのれの「想像力」をぐいぐい感じてもらうため
「自分を知る/相手を知る」ワークをしました。

後半は、せっかく演劇のワークショップなら
テキストも読んじゃおう!と
戯曲や絵本のテキストをお渡ししたわけです。

ひとつめ『命を弄ぶ男ふたり』(岸田國士)
ふたつめ『おおきな木』(シェル・シルヴァスタイン)
みっつめ『風に吹かれてドンキホーテ』(別役実)
よっつめ『セロ弾きのゴーシュ』(宮沢賢治)


なんか、ややこしそうなテキストに見えますでしょ。

でもご安心を。実際に読むところは3~4ページほど。
しかも役の台詞を読むので、そんなに負担にならないよう選びました。

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私からは上手に読む必要はないですよ、と何度もお伝えしました。

まずはテキストの文字から状況や気持ちを
次は相手に言葉を届けるつもりで
そして相手の言葉から、テンションや空気を受け取って

それだけを順番にお願いしていきました。


『命を~』と『風に~』の戯曲2本に関しては
同じシーンを読んでもらったり、他のひとの演技を見てもらったりして
強引にもシーンをつくってもらいました。

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どうなるかな?と始めてみたら・・・これが面白い!!
演じる人によって、こんなにバリエーションがあるのか!と思うほど
いろんなシーンが見られました。

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ここでは正解を求めてはいないので
とにかくその場でつくるシーンは、どれも説得力があり
ちゃっかり私も勉強させていただきました。


『おおきな木』と『セロ弾きの~』はどちらも絵本なので
地の文から場面を想像していきます。

読み終わったあとに、どう感じるかを確認し合いました。
絵本を読み聞かせするのとは違い、自分が登場人物になることで
安心したりうれしがったり、感情が芽生えていくのもふしぎです。

表情が変わらないのに、なぜか感情がみえてくる人形劇に近いかも・・・

動物にしても、植物にしても
私たちは思わず気持ちを投影してしまうのでしょうね。


演劇を応援してね

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2月は全4回、ワークショップをやってきました。
今回のワークショップを通じて、確信したことがあります。

それは「演劇ってすっごいわ!」ということ。

すっごいわ、演劇。すごい。

中学時代の友達も、高校時代の友達も、社会人になってから知り合った友達も
家族も地元の知り合いも、初めましての方も、みんなひっくるめて仲良くさせてしまう。

サポートのやたろうさん(写真左)も言ってくれたけど
「作品を通して、初対面の距離感がなくなる」ことを
強く強く感じました。


演劇という遊びを通して、楽しい空間をつくるという目標は
参加者のみなさんのおかげで、見事達成されたわけです。


今回は演劇をつくる過程のワークばかりでしたが
へんな言い方ですが、観る側も同じ思考をたどっていると思うんですね。

ないものをあるように、とか

相手の言葉を受け取る、とか

そして劇場には、鍛えられた俳優による奇跡のような時間があると思うと
私はみんなに劇場に行ってほしいと願ってやみません。

今は劇場に行きづらいだろうから、少なくとも、演劇のことを応援してほしい。

演劇に限らない、あなたの好きなものを応援してほしい。

みんなが互いを応援し合って、助け合っていきましょう。


私のつたない言葉の中に、何か面白がれるものがあれば幸いです。
つらつらと前編・後編と書いてきましたが
これからも修行して、演劇を楽しめる場を増やしてまいります。

どうもありがとうございました。


★3/13(土)・14(日)の企画公演も絶賛稽古中です。
★次回ワークショップは3/18(木)12~14時に予定しておりますので、
あわせてチェックしてくださいね。

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