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人間は、不便な生き物。



ここ数日間、様々な思想が巡って、
心が浮わついている。



頭の中に鮮明に呼び起こされる記憶は
まるでドラマのワンシーンのようだ。


ふと、食事をしながら思い出す。


独身時代、仕事の打ち合わせを兼ねて
男性と二人で食事をした際に、

私が「人間って不便ですよね」と
何気なく口にしたら、

「初めて同じ価値観の人に出会いました」と
心底 嬉しそうに言われた。


そう、人間は不便。

いや、
人間に限らず「生き物」というのは
絶妙なバランスで成り立っていて、

そのバランスを保つ為には
色々な制約が付きまとう。

そして、その制約からは
生きている限り決して逃れられない。


空気がなければ死んでしまう。
食べ物がなければ死んでしまう。
水がなければ死んでしまう。
寝なければ死んでしまう。
身体は脆くて、直ぐに壊れてしまう。


それは ”当たり前“ なのだけれど、
不便を感じずにはいられない。


「結局は、人間もただの生き物で、
 知能を持ち、地球を支配した気でいても、
 動物や自然には勝てない。
 つまり、弱くて愚かな生き物で……」


やけに規模の大きい彼の話を聴きながら、
目の前に置かれた色とりどりの料理を口に運ぶ。


生きる為だけに食事が必要というのなら、
こうやって凝った造りの料理を食べながら
人工物に囲まれた景色を眺めるのは、
無意味で、滑稽にも思えた。



それとも、これが贅沢というのだろうか。


今、私の目の前には
自分で作った色気のない料理があって、
だけど、身体のことを考えて
栄養には気を遣ったつもりではいる。


それがまた、とても面倒で、
料理が楽しいなんて思うことはなくて、


人間って不便だな……と思うのは相変わらずで、
きっと、死ぬときにも同じことを思うのだろう。


シンプルで素朴で穏やかな生き方を出来る人が
どれだけ少ないことか。


そう居る為には「衣食住に困らない」が大前提で、
つまり「お金の心配がない」ということ。


贅沢をしなくたって、
ただ生きているだけでも金と時間は食い潰されていく。



命を保つ為に、作っては消費する。
その繰り返し。


生きるって、楽じゃないね。



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