スウィングキッズ

タップダンスで戦時中の心に平穏を取り戻す『スウィング・キッズ』

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:12/38
⠀ 感動😭:★★★★☆
⠀ 興奮🤩:★★★☆☆
ダンス🕺:★★★★★

吹奏楽部を舞台にした陽気な青春ストーリーを思い出しそうですが、まったく別の話です。戦時中の捕虜収容所を舞台としたタップダンスの話で、正直重いです。。。

【どんな映画?】

時代は1951年。朝鮮戦争真っ只中。実在する巨済(コジェ)捕虜収容所に新しく赴任した所長は収容所の対外的なイメージメイキングのために、戦争捕虜たちによるダンスチーム結成プロジェクトを計画します。

そこで、収容所で一番のトラブルメーカーだったロ・ギス(D.O)、4カ国後も話せる通訳士ヤン・パンネ(パク・ヘス)、敵兵と間違われて捕虜にされたカン・ビョンサム(オ・ジョンセ)、ぽっちゃりで栄養失調の踊り手シャオパン(キム・ミノ)、彼らをまとめるリーダーであり元ブロードウェイのタップダンサー、ジャクソン(ジャレッド・グライムス)を集めて、みんなでタップダンスを踊るというものです。

【感想】

実話かと思いきや、原作は韓国のミュージカルのようです。捕虜収容所にタップダンスを掛け合わせるという突拍子もない組み合わせが韓国映画の好きなところなんですが、監督のカン・ヒョンチョルが「朝鮮戦争時代に国も思想も異なる人々がダンスを踊って幸せを夢見る“鳥合の衆”の物語です」って答えている通り、暗い時代背景の中、出自がバラバラな人たちが集まって、何かひとつのことをやり遂げる話ってのは、それだけで面白いです。
(メイキングの映像も公開されているのでよかったら観てみてください)

そして、そのタップダンスの完成度の高さも圧巻です!!そりゃボディダブルも使ってはいるんでしょうが、素敵な音楽に合わせて奏でられるあのカツカツ鳴る軽快なリズムがとてもカッコいい!足ってあんなに速く動くのかって驚きです。

でもね、そういう楽しい時間だけじゃないのがこの映画の辛いところです。共産主義者に翻弄されて、望まぬ道を歩む主人公ロ・ギスの運命と、悲しい現実を突きつけられる展開が悲しすぎて号泣必至です。。。

彼らは幸せだったんでしょうか。もちろん、戦争という辛い時代の中、満足いく生活もできなければ、大切な人とも離れ離れになって、決して幸せとは言い切れないでしょう。でも、そんな中でも新しい仲間に出会えて、タップダンスという打ち込めるものも見つけられて、人々に感動を与えることができたのだから、彼らにとってそれは希望だったと思うんです。例え一時的であったとしても、心に平穏を持つことができてよかったと思いたいです。

なお、この映画を観るなら、朝鮮戦争時代の知識はちょっとあった方がより楽しめると思いました。南北の関係やら、その背景としての世界大戦など。

僕はそこらへんの知識がほぼないので、いつも後からいろいろ調べて「ああ、なるほど」と思うことが少なくないのですが、一度体系立てて学ぶことができれば、今後戦争映画の理解もより深められると思うんですよね。何かいい方法ないですかね。


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