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総じてセリーヌ・ディオンのファンムービーだと思った『ヴォイス・オブ・ラブ』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:174/270
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】

ヒューマンドラマ
音楽
歌手

【元になった出来事や原作・過去作など】

・人物(歌手)
 セリーヌ・ディオン(1968~)

【あらすじ】

カナダの小さな田舎町に暮らす音楽好きの一家に、14人兄弟の末っ子として生まれたアリーヌ(ヴァレリー・ルメルシエ)。彼女の特別な歌の才能に気づいた地元の名プロデューサーのギィ=クロード(シルヴァン・マルセル)は、奇跡の原石を大切に育て、12歳でデビューして以降、アリーヌは世界的歌姫へと成長していく。

それは、自分を見い出してくれたギィ=クロードとの真実の愛と出会う旅でもあった。

【感想】

全米で2番目に売れた女性アーティスト、セリーヌ・ディオン。『タイタニック』の主題歌、"My Heart Will Go On"が一番有名ですかね。本作は、そんな彼女の人生を基に作られたフィクションという位置付けの映画です。

<いろいろびっくりなセリーヌ・ディオンの生い立ち>

まず、彼女の兄弟の多さに驚きます。その数なんと14人(これは事実)。その末っ子として生まれたのがセリーヌ(彼女に敬意を表し、作中ではアリーヌ)です。昔の人は兄弟が多いというのはよく聞きますけど、14人って。両親がんばりすぎじゃないですかね(笑)そこまで裕福には見えませんでしたが、よく全員ちゃんと育てられたなと思います。今の日本じゃまず無理じゃないでしょうか。

さらに、彼女の才能を見出したプロデューサーと結婚するも、歳の差なんと26歳!「ハゲでデブな老いぼれ、かつバツ2の人なんて選ばないで!」と言った母親の気持ちも、失礼ながら理解はできますね(笑)世界的アーティストに育つ自分の娘には、相応の王子様がいると思うのは親として当然かと。

<演じたヴァレリー・ルメルシェの幅広すぎる役どころ>

今回、主人公を演じたのがヴァレリー・ルメルシェ。現在57歳ですが、作中では12歳〜50歳を演じています。いや、12歳って。引きで見せたり、若返るメイクを施したり、小さな女の子に自分の顔を合成して、それっぽくは見せていましたけど、、、さすがにちょっと無理がありましたね(笑)ここは普通に子役を使えばよかったのではって思いますが。

しかも、ずっと同じ人が演じているので、成人した後の時間経過がわかりづらいんですよ。20代なのか、30代なのか、40代なのか見分けがつきづらく、そこがあんまりあんまり話に入り込めない要因にはなった気がします。ちなみに、ヴァレリーは主演だけでなく、監督と脚本も担当しています。

あと、向こうの世界への売り出し方が本格的だなと感じたのは、歯の矯正と英語の猛勉強。特に歯については、日本では八重歯がかわいいとされていますけど、海外ではそう見られないため、完全に治されていましたね。

<歌の消費サイクルが早すぎる>

本作では、セリーヌ・ディオン以外の歌も含めて、全部で40曲以上の挿入歌があったんですけど、フルで歌ったのは1曲もないんですよ。歌の一部のみ流れて、すぐに次の歌に移るので、ある意味メドレーみたいな感じなんでよね。せっかくのセリーヌなのでじっくり聴きたかった身としては、ちょっと残念でした。個人的には"My Heart Will Go On"がすごく好きだったんですけど、本当にちょっとしかなくて。むしろ、セリーヌの歌よりも、エルヴィス・プレスリーの“Love Me Tender”の方が印象に残りました(笑)

<物質的豊かさと精神的豊かさの乖離>

歌手として成功を収め、不妊治療の末に子供も3人授かったアリーヌではありますが、その生活は激務の極みでした。ワーキングママを超えたワーキングママ、をさらにもう一つ超えたワーキングママかもしれませんね。大豪邸に住み、モノはなんでも揃っていたけど、分刻みのスケジュールで多忙に追われる日々。そんな中、家族の死や子供たちが合宿などで不在となると、寂しさに苛まれ、ひとりでは寝られません。一見満ち足りているように見えますが、その裏には一流歌手として凡人には理解できない孤独があったのかもしれませんね。10代の頃から自由と言える自由がなかったわけですから。幸福とは何ぞやと考えさせらます。

<その他>

歌手として、母として、歌好きな少女として描かれていたセリーヌ・ディオン。ただ、波乱万丈というよりは、元から才能に恵まれて、トントン拍子で成功を収めており、そこは少し淡々としているようにも感じました。さらに、歌もじっくり聴けるわけではないので、個人的には、映画としてそこまでハマれるものではありませんでしたが、彼女の人生を垣間見るにはちょうどいいかもしれません。


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