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マンホールに落ちた男の脱出サバイバル!かと思いきや……の『#マンホール』

【個人的な満足度】

2023年日本公開映画で面白かった順位:13/19
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

【作品情報】

  製作年:2023年
  製作国:日本
   配給:ギャガ
 上映時間:99分
 ジャンル:サスペンス、スリラー
元ネタなど:なし

【あらすじ】

営業成績No.1のデキる男・川村俊介(中島裕翔)。社長令嬢との結婚式前夜、渋谷で開かれたサプライズパーティーで酩酊し、帰り道で不覚にもマンホールの穴に落ちてしまう。

深夜、穴の底で目覚めた川村は、足に深手を負い、思うように身動きが取れない。スマホで現在位置を調べるが、GPSは誤作動を起こし、警察に連絡するも、まともに取り合ってもらえない。唯一つながった元カノ(奈緒)に助けを求めることができたが、そこである疑念が生じる。

「もしかして、ここは渋谷ではない?」

何者かにハメられたと考えた彼は、SNS上で「マンホール女」のアカウントを立ち上げ、場所の特定と救出を求める。犯人捜しに沸き上がるネット民たちを操る川村。結婚式までのタイムリミットはあとわずか―。

このどん底から這い上がれるのか!?

【感想】

先日、地上600mのテレビ塔からのサバイバル劇を描いた『FALL/フォール』を観ましたけど、今度の舞台はは地下です。地下10mぐらいでしょうか。閉所恐怖症の人は居心地悪いかもしれません(笑)

<弱点をうまくカバーした作り>

マンホールに落ちた男の脱出劇ではあるんですけど、正直、絶体絶命感はあまり感じられませんでした。スマホは使えますし、がんばれば登り切れそうな高さでしたしね(実際は登れないんですけどw)。同じ地下へ落ちる話なら、昨年観た『奈落のマイホーム』(2022)という韓国映画の方がインパクトは大きいです。あっちは地下500mなので、絶体絶命感がハンパなかったですから。

でも、今回の映画は、ハリウッド映画や韓国映画と比べるとどうしても欠けてしまうインパクトを、スリラーなストーリー展開でうまくカバーできていたと思います。弱点という言い方が正しいかはわかりませんが、やはり見劣りしてしまう部分はあります。そこを同じように映像の迫力やスケールの大きさで勝負することなく、違うフィールで戦っていたのがよかったんじゃないかなと思いました。

なぜ自分はここにいるのか?ここは一体どこなのか?事故なのか、それとも故意にやられたことなのか?SNSを駆使し、天気や辺りの様子から場所を絞り込み、さらには自分を陥れた人までをも特定しようとします。そして、そのSNSのアカウントもあえて男性ではなく、女性を装おうことで、少しでもリプ率を上げるという戦略。ものすごく現代っぽいやり方でリアルさがありましたね。ネット民の力で次々と手助けのヒントが出てくるところは面白いです。

<もう少し丁寧でもよかったかもと思う部分>

ただ、もっとこうだったらよかったのになあと思う部分もありました。それは主人公の川村の扱いです。この男、いろいろ問題がありそうな割には、そのシーンが皆無なんですよ。特に女性関係が派手だったそうなんですが、SNS上の書き込みで片付けられてしまっているのみだったので、回想でワンシーンぐらいフラッシュバック的に差し込んでくれたら、彼の人となりをもっとリアルに感じることができてよかったんじゃないかなあって思いました。同じように、彼に嫉妬している同僚の様子なんかも観てみたかったですね。

それはオチの部分にも言えます。終盤から何となく予想はつくんですけど、イマイチ釈然としないところがあるんですよね。ネタバレ厳禁なので詳細は割愛しますけど、"動機"の部分がちょっと弱かったかなって。「えー、そんなことで?」と感じてしまったので、個人的な意見としては、もう一歩踏み込んでくれたら、もっと楽しめたんじゃないかなーってところです。

<そんなわけで>

アクション主体のサバイバル劇というより、マンホールに落ちたことで知られざる事実が発覚していくサスペンススリラーという印象が強い映画でしたね。個人的な好みとしては、先の『FALL/フォール』や『奈落のマイホーム』の方が、映像もすごいしインパクトも強いので推したいですけど。とはいえ、今まで好青年の役が多かった中島裕翔さんが見せる怪演は見どころでした!ファンの方でもそうじゃなくても、それだけでも一見の価値はありますよ!


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