黒い司法

遺族に疎まれ、警察に睨まれても、戦う覚悟があなたにありますか『黒い司法 0%からの奇跡』

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:28/44
⠀ ⠀ ⠀⠀感動😭:★★★☆☆
⠀ ⠀ ⠀⠀怒り😡:★★★☆☆
社会的意義🧐:★★★★☆

「ワカンダフォーエバー!」ってちょっと言いたくなるキャスト陣です。『ブラック・パンサー』で敵役のキルモンガーを演じたマイケル・B・ジョーダンに、『キャプテン・マーベル』のブリー・ラーソンですからね。マーベルってる映画ではあります(笑)

【どんな映画?】

実話ベースの話で、いわゆる冤罪事件を扱った映画です。とある白人女性が殺されたのですが、何の罪もないウォルター・マクミリアン(ジェイミー・フォックス)は黒人であるというだけで容疑者とされ、そのまま死刑囚になってしまいました。そんな彼を、ブライアン・スティーブンソン(マイケル・B・ジョーダン)が弁護するというものです。

【感想】

舞台は1988年のアラバマ州で、まだ黒人差別が色濃く残っているときなんですよね。だから、捕まったウォルターは大した捜査も行われず、法的支援もないまま死刑囚とされ、執行日をひたすら待つというとんでもない状況でした。それがとても辛く腹立たしくて。。。

さらに、ブライアン自身も黒人なので、様々な嫌がらせを受けるのですが、それに屈せず、人種差別の壁を乗り越えて、冤罪を晴らしていく姿は輝かしいですね。

でも、この歳になると、それがどれだけ大変かというのもわかります。死刑が確定しているんですよ?それを覆すには相応の証拠を集めなくてはならないのですが、当然遺族には疎まれるし、警察にも睨まれるし、僕だったら諦めてしまうと思います。

何が彼を突き動かすのでしょうか。

彼は言います。「理想を掲げるだけではダメだ。強い信念も必要だ」と。しかし、信念を継続させるのもまた至難の業。それは、おそらく彼の若い頃の経験が影響しているんだと思います。
10代の頃、祖父が白黒テレビを巡って殺されてしまったんだとか。しかし、大した支援も受けることができなかったようで、そのとき、白人社会にとっては気に留めるほどのことでもないんだと気づいたそうです。
おそらく、そのときの自らの体験が、力のない人たちを支援しようという気持ちの原動力になっているのではないかと思いました。
やっぱり、衝撃的な体験がないと、大きなことは成し遂げられないんですかね。。。

映画としては、冤罪を晴らすというシンプルなものなので、物足りないと感じる人もいるかもしれません。正直、ものすごいドラマチックな展開があるかというとそうでもないのですが、これが実話ベースというところが大変意義深いなと僕は思います。

ブライアンが作ったEJIという団体は、法的支援を受けられずに有罪や死刑囚になってしまった人たちを手助けすることを生業としています。ウォルターはもちろん、同じ時期に刑務所にいたレイという実在の人物も、30年間の刑務所生活を経て、2015年に自由の身となったそうですが、実際の映像が流れていたのですが、ちょっと目頭が熱くなります。。。

ちなみに、舞台となったアラバマ州では、街の人が「『アラバマ物語』の舞台となった街だよー」と言っていますが、その映画もまた、白人女性の暴行容疑が黒人の青年にかけられるという話です。

『ローマの休日』で有名なグレゴリー・ペックが主演で、ラストの法廷シーンは圧巻なので、興味があればぜひ観てみてください。

それにしても、アメリカでは死刑囚の中にも冤罪の人がいるようですが、そういう人たちの人生を考えると胸が痛みますね。。。今回の映画を観て、いろいろ思うところがありました。






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