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自分の存在意義を確かめたいとき、子供の育て方を振り返りたいときにピッタリかもしれない『ミラベルと魔法だらけの家』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:23/254
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【要素】

ディズニー
ミュージカル
ファンタジー
ファミリードラマ
ラテン系

【元になった出来事や原作・過去作など】

なし

【あらすじ】

魔法の力に包まれた、不思議な家に暮らすマドリガル家。家族全員が家から与えられた“魔法のギフト(才能)”を持つ中で、少女ミラベルだけ何の魔法も使えなかった。

ある日、彼女は家に大きな”亀裂”があることに気づく──。それは世界から魔法の力が失われていく前兆だった。残された希望は、魔法のギフトを持たないミラベルただひとり。

なぜ、彼女だけ魔法が使えないのか?そして、魔法だらけの家に隠された驚くべき秘密とは…?

【感想】

ディズニー長編アニメーション映画第60作目。まさに記念すべき数ですね。久しぶりに"ザ・ディズニー映画"っていう感じがして、個人的にはとても楽しめました。

<4年ぶりの新作ミュージカル>

この映画、実は『モアナと伝説の海』(2017)以来、4年ぶりの新作ミュージカルとのことです。確かに、この前観た『ラーヤと龍の王国』(2021)は歌なかったですもんね。久しぶりに歌と踊りがふんだんに盛り込まれたディズニーらしい映画を堪能できます。ただ、歌はラテン系ということもあってか、これまでのディズニーミュージックと比べると、ちょっと口ずさみづらいかもしれません(笑)

<日本の家庭にもありそうなファミリードラマ>

お話自体はオーソドックス。自分だけ"魔法のギフト"がないミラベルが、家族の中で孤独を感じ、自らのアイデンティティに悩む。しかし、そこには深い意味があった、、、というもの。ディズニーらしく魔法という形でファンタジー感を出していますが、日本の家庭にもありそうな話でした。例えば、家系が全員東大を出ているのに、自分だけ違うとか。家族全員スポーツで輝かしい成績を残しているのに、自分だけ運動音痴とか。人生で最も身近な家族というコミュニティにおいて、自分だけが仲間外れにされているように感じてしまうのは辛いですよね。特に、今回のミラベルたちの住む村のように、他に行き場がないときの孤独といったら、想像しただけで心が痛みます。でも、ミラベルは陽気に振舞います。心にわだかまりを抱えつつも、少しでもみんなの役に立ちたいとあれこれ動き回ります。なのに、結果として邪魔者にしかならないんですよね。。。これがまたかわいそうで。。。

<人を見るときに大事なこと>

ミラベル以外はみんな魔法のギフトを持っているので、この家を取り仕切る祖母もそこばかり注目します。ここがこの映画のポイントなんですよ。祖母は暗い過去を二度と繰り返さないために、子供や孫のギフトにばかり目がいき、その役割に期待します。でも、それは彼らにとってプレッシャーとなっているんですよね。「こうあらねばならない」と。

でも、大事なのは"何の能力(ギフト)を持っているか"ではなく、"あなた自身がギフト"だということです。普通の家庭でも、子供の能力にばかり目がいくことがあるかもしれません。もしかしたら、それは子供たちにとってはプレッシャーになっている可能性もあります。気にかけるべきは能力ではなく、子供の存在そのものだということ。逆に言えば、能力がなくても、愛すべき存在であるというだけで、そこには絆が生まれ、個人の能力以上の実績や幸せが手に入ることも。そう考えると、この映画はある意味、子育てしている親が観てもいいんじゃないかなという気もします。

<その他>

ソウルフル・ワールド』(2020)もそうでしたが、直近のディズニー映画は、「何気ない日常」や「ありのままの自分」の大切さをドストレートに訴えてる作品が目立ちますね。コロナの影響もあって、いろいろ見失いやすいときだからこそ、それを題材にしてディズニーなりのメッセージを伝えているのかもしれませんね。


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