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インフルエンサーにはなろうと思ってもなれない『スプリー』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:73/85
   ストーリー:★★☆☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★☆☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ホラー
スプラッター
SNS
インフルエンサー
自己承認欲求

【あらすじ】

フォロワーを増やしたい一心のライドシェアドライバー、カート・カンクル(ジョー・キーリー)。彼はSNSをバズらせて人生の一発逆転を狙うために、彼はSNSをバズらせて人生の一発逆転を狙うため、乗客を殺し、その様子をライブストリーミング配信するという恐ろしいアイディアを思いつく。

絶対バズると意気込むカートだったが、「フェイクだ」「退屈だ」というネガティブな反応ばかりでまったく盛り上がらない。

怒りの矛先は乗客だけでなく、拡散させないインフルエンサーにまで向けられ、狂気は加速していく……。

【感想】

フォロワー数を増やしたいがために殺人を犯すという、いかにも現代らしい映画です。若い人の方がより身近に感じやすいかもしれません。

<設定はいいけど映画として観るとイマイチ>

ここのところ、『裏アカ』や『SNS-少女たちの10日間-』など、SNSを取り巻く題材の映画が多い印象ですが、これはその中でもだいぶスプラッターな内容です。血がたくさん出るシーンもあるので、そういうのがダメな人には向かないかもしれませんが、フォロワー数を増やしたくて過激な行動に出るというのは、映画の題材にしやすいのかもしれません。ただ、スプラッターだけ目立ってしまい、映画として個人的にはそこまでハマりませんでした。理由は、「フォロワーを増やして何をしたいのか」という部分が欠けていたからです。なので、主人公の動機がちょっと弱いかなって思いました。フォロワー数増やしてお金持ちになりたいとか、美人と付き合いたいとか、そういう欲が出ていた方がわかりやすかったかもしれません。

<SNSで何かしたいと思っている人には観てもいいかも>

映画としてはピンとこなくても、例えばインフルエンサーになって一発逆転したいとか考えているとは観てもいいかもしれません。結局、インフルエンサーってなろうと思ってもなれないなっていうのがよくわかるので(笑)

主人公は10年間も動画をアップし続けるものの、視聴者数が2桁を超えたことがないんですよ。そこで、人殺しのライブストリーミングを思いつくんですが、それでもフォロワーが増えないんですよね。そこで、他のインフルエンサーに絡もうとするもうまくいかず、物語は最悪の方向へってのがこの映画の流れ。

この主人公を見てて改めて思うのは、誰もが簡単に動画をアップできる今の時代、チャンスは平等にあるけれど、そこから抜きん出るには、もう奇をてらうだけではダメなんだなってことです。

<もはやSNSで目立つのは難しい時代>

映画の感想とはずれちゃいますけど、ちょっと思っていることを書かせていただきますね。多分、YouTubeとかが出始めたときからコツコツ動画をアップしているとかだったら、まだ観てもらえる可能性はありましたけど、今はもうライバルが多すぎますよね。

よほど見た目にアドバンテージがあるか(かわいいってだけですべてがギャップに見えるのは相当強い武器だと思ってます)、人に真似できない特技を持っているか、莫大な金やコネで何とかできるっていう環境がない限りは、頭を使って隙間市場を見極めて、粛々と継続するしかないんですよ。

それも、僕が映画を観るように、呼吸するようにストレスなく続けられるぐらい好きでやれるような人じゃないと、続けるのも難しいかもしれないですね。

もはや個人では、才能とセンスのある限られた人にしかなれないんじゃないかってのが、今のインフルエンサーのイメージです。だから、この映画の主人公のように、フォロワー欲しさのために、人の命を奪って、それでも大して盛り上がらないっていうのは、、、お粗末すぎます。

それがポップな人殺しに発展してしまうのは、いかにもアメリカ映画って感じですけど、日本でもバカッターみたいな感じで、コンビニのアイスの冷凍庫に入る若者が炎上したりしているので、まあ似たようなものかもしれませんね。

<現代社会を反映しているという点では興味深い>

今の社会って、いろんなSNSがありますけど、そのフォロワー数が、人の価値を決めてしまうある種の指標と捉えられてしまうじゃないですか。だから、フォロワー数が多い人の方が強いとか偉いとかかっこいいとかかわいいとか、まるっと「価値がある」って思われますよね。もちろん、ビジネスとか経済的な視点で言えばそういう側面はあります。でもだからといって、人柄まで優れているという保証にはならないと僕は思います。それだけが人間の価値のすべてではないと信じています。でも、そういう社会に生きる若い子たちは、やっぱりフォロワー数欲しくなって、いろいろやっちゃいたくなる気持ちもわからないでもないです。さすがに犯罪はダメですけど。なので、そういうことを踏まえると、時事性の高い映画と言えるでしょう。

僕は社会人になってからいろんなSNSが流行り出した世代なので、まだ人との距離感や常識的な部分はわかる方なのかな~って勝手に思っていますけど、子供の頃から当たり前のようにSNSに囲まれていると、僕とはまったく違った生き物になりそうです。改めて、SNSとの関わり方を考えさせられますね。


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