見出し画像

主人公の見た目がとにかく印象的な『聖なる犯罪者』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:8/13
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

ヒューマンドラマ
前科者の人生
クスリ
ドラッグ
セックス

【あらすじ】

少年院で出会った神父の影響で熱心なキリスト教徒となった20歳の青年ダニエル(バルトシュ・ビィエレニア)は、前科者は聖職者になれないと知りながらも、神父になることを夢見ている。

仮釈放が決まり、ダニエルは少年院から遠く離れた田舎の製材所に就職することになった。製材所へ向かう途中、偶然立ち寄った教会で出会った少女マルタ(エリーザ・リチェムブル)に「司祭だ」とウソをついたのがきっかけで、新任の司祭と勘違いされ、そのまま司祭の代わりを任されることに。

ダニエルの司祭らしからぬ言動に村人たちは戸惑うが、若者たちとも交流し、親しみやすい司祭として人々の信頼を得ていく。

1年前、この村で7人もの命を奪った凄惨な事故があったことを知ったダニエルは、この事故が村人たちに与えた深い傷を知る。残された家族を癒してあげたいと模索するダニエルの元に、同じ少年院にいた男が現れ、事態は思わぬ方向へと転がりだす……。

【感想】

前科のある聖職者ってことで、日本だと『GTO』とか『サラリーマン金太郎』的な感じがしますね(笑)

ただ、この映画はコメディ要素はなく、全体的に暗い雰囲気で静かに進んでいく映画です。ただ、主人公が身分を偽ってまで聖職者を演じ、1年前の事故を発端にした、村人たちの人間関係のいざこざに首を突っ込んでいく内容は見ごたえがありました。

まず、外見からして主人公の存在感がすごいんですよ。彫りの深さと青い瞳、そしてボウズという出立ちがおっかなさすぎて。「極悪非道の限りを尽くし、地元じゃ“デスクロー”と呼ばれていた」なんて言われても不思議じゃないぐらいの悪役感はあります。

画像1

あれだけキリスト教に熱心になったのだから、少年院できちんと更生されたかと思いきや、仮釈放後は真っ先にクラブに向かい、ドラッグ、酒、女と欲望の限りを尽くしますからね。結局は悪いやつだと思いたいところですが、中身はけっこう真面目なんですよ。前科者は聖職者になれないと知っていても神父になりたいと夢を抱き、身分を偽ってはいますが、自分なりのやり方で村人の癒しになろうとしているので、そういうギャップはよかったです。

制度的にはNGですけどね、彼のやっていることは聖職者そのものですよ。よく職業モノの話であるのが、資格はあるのに人として終わっているのと、無資格だけど人として立派っていう、そのどちらが本物かっていうの。今回は前者のような人は出てきませんが、主人公のダニエルは後者に当たるでしょうね。

また、この映画を観ると、前科者がその後の人生をどう歩むかっていうことをふと考えちゃいます。ちゃんと更生されるのか、自由はあるのか、夢を見られるのか。今作ではそこにきちんとした答えは出していませんでしたが、村でのダニエルの生活を見る限りでは、夢を叶え、人々に寄りそう姿勢もあったので、希望が持てそうな感じではありました。

シリアスな作風ですが、これ、コメディでやっても面白いかなって感じました。

ちなみに、日本だと犯罪歴のある人がお坊さんになるっていう感じなんですかね。まあ、日本は信仰心が薄いので、この手の映画はなかなか作られなそうですが(笑)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?