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時代のアイコンで、セックスシンボルで、キング・オブ・ロックンロールで、、、もうこんな人二度と現れないだろうなと思った『エルヴィス』

【個人的な満足度】

2022年日本公開映画で面白かった順位:11/101
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★☆
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★

【作品情報】

   原題:Elvis
  製作年:2022年
  製作国:アメリカ
   配給:ワーナー・ブラザース映画
 上映時間:159分
 ジャンル:ヒューマンドラマ、伝記映画、音楽
元ネタなど:エルヴィス・プレスリー(1935-1977)

【あらすじ】

1950年代、エルヴィス・プレスリー(オースティン・バトラー)は歌手としてデビューする。禁断の音楽"ロック"が生まれ、世界は一変した。しかし、保守的な価値観しか受け入れられなかった時代に、彼のセンセーショナルすぎるパフォーマンスは若者に支持される一方で、世間から非難も浴びてしまう。

やがて、故郷メンフィスのラスウッド・パークスタジアムでライブを行うことになったエルヴィスだったが、会場は警察に監視され、強欲なマネージャーのトム・パーカー(トム・ハンクス)は、逮捕を恐れてエルヴィスらしいパフォーマンスを阻止しようとする。それでも、自分の心に素直に従ったエルヴィスのライブはさらなる熱狂を生み、語り継がれるものとなったのだが……。

型破りに逆境を打ち破る伝説と、その裏側の危険な実話。果たして、彼を殺したのは誰なのか?

【感想】

究極のロックンロールを目の当たりにしました。世代ではまったくないですし、知っている曲も少ないんですが、十分楽しめました。エルヴィス・プレスリーの伝説の裏側が知れる有意義な伝記映画ですよ。

<めまぐるしい展開の前半>

この映画、大きく前半と後半に分けられるかなと思います。前半はエルヴィスがパーカー大佐と出会い、徴兵されるまでの話です。エルヴィスがトントン拍子にスターダムをのし上がっていく間に、少年時代のエピソードを挟み込むことで、短い尺で彼の半生を伝える工夫された構成が印象的でした。ただ、決してわかりづらいわけではないものの、ちょっとめまぐるしい展開でしたかね。

ここでは、エルヴィスの音楽スタイルの原点が知れるのも貴重でした。。今でこそいろんな人がいろんな音楽を聴ける時代ですが、当時はそんなことはまったくなくて。人種差別も強かったから、聴く音楽も分断されていたんですよ。そんな時代に、エルヴィスは少年時代にメンフィスという黒人の労働者階級が多い街に住んでいた関係で、彼らの音楽に慣れ親しんでいました。その黒人の音楽と白人のカントリー音楽を融合させたことで、彼の斬新な音楽スタイルが生まれたんです。

<晩年のエルヴィスを描いた後半>

途中、彼は徴兵制のために2年間陸軍に所属することになるんですが、それが終わってからが後半ですね。ここからは人気に陰りが見えてきてからの復活劇。また、パーカー大佐との方向性の違いが浮き彫りになってきたのも大きなポイントでしょう。それでも、不動の人気を得ている彼は強いですよ。何だかんだで精力的にライブをこなしていきますから。

もちろん、それによって犠牲にしたものもあります。多忙なスケジュールによって酷使された体に鞭打つため、いろんな処方薬を口にします。それが原因で、妻や娘とも別れることになってしまいますから。

<胸躍る圧倒的なパフォーマンス>

この映画で一番面白いのは、何と言ってもエルヴィスの凄まじいパフォーマンスに尽きます。エルヴィスを演じたオースティン・バトラーは見た目だけでなく、歌声も本人に寄せてきていて、その徹底した役作りがすごかったです。本編は随所に本人の映像も差し込まれるんですが、見事にマッチしてましたから。

そんなエルヴィスだからこそ、とにかく女性からの人気がすごいのなんのって。彼はヒップを揺らして歌う独特の歌唱スタイルだったんですが、それを見て女性客は"感じ"ちゃってて。あまりにも気分が高揚しすぎて、下着を投げちゃうほどの異常事態でした(笑)エキストラなのに恍惚の表情をするのがみんなうまいのも、細かいところまでキャスティングに力を入れているなって思いましたね。

その中で、個人的にはラストが一番好きです。誰もが聴いたことある有名な曲をね、満身創痍になりながらもあの美声で歌い上げるってんで、思わず涙が出ましたよ。。。

<激動の時代を生きたエルヴィス>

映画を観てて気づいたんですが、エルヴィス・プレスリーが生きた時代って、歴史に残るほどの事件がいろいろ起こってるんですよ。キング牧師やケネディ元大統領の暗殺に、シャロン・テートの殺害。さらに、ジェームズ・ディーンとの関わりやビートルズの台頭、ジャクソン5の名前までも。政治やエンタメの分野で大きな動きがあったまさのそのときを生きていたってのがなんかすごいなって思いませんか?

<誰が彼を殺したのか>

結局、エルヴィスは42歳という若さでこの世を去ってしまいます。映画では死因をはっきり明言していませんでしたが、実際は処方薬の極端な誤用による不整脈というのが公表された内容らしいです。これね、過密スケジュールの疲れを取るために薬を飲みまくってたっていう事実はあるんですよ。じゃあその過密スケジュールにしたのは誰かと言ったら、パーカー大佐ですよね。彼は本当にがめつくて、最終的にエルヴィスの売上の50%をもらってたらしく、それが公になったのはエルヴィスの死後。エルヴィスを殺したのは誰なのかといったら、パーカー大佐が一番の原因と考えてもおかしくはなさそうです。とはいえ、エルヴィスがここまで有名になれたのはパーカー大佐のおかげだし、嫌々歌ってたわけでもないですからね、パーカー大佐のせいとも言い切れませんが。。。実はこの映画、パーカー大佐の声でナレーションが入るんですよ。それで「私だ」とは言えませんからね(笑)一応この映画というか、監督や脚本家の方々の思う答えだとは思うんですが、「エルヴィスを死に至らしめたもの」について最後に言及されているので、ぜひ映画館で確かめて欲しいですね。

<そんなわけで>

煌びやかなショービズ界の光景と、遺伝子レベルでヤバいと思わせる圧倒的な歌唱力もあって、とても楽しめる映画です。あれは大きなスクリーン、整った音響設備で観てこそだと思うので、ぜひ映画館に足を運んでいただきたいです。

それにしても、最近の洋画はこういう音楽モノの伝記映画が多いですね。きっとこれからも増えるでしょう。まだマイケル・ジャクソンとかビートルズとかカーペンターズとか、ネタはいろいろあると思うので(笑)


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