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今の平和があるのは誰のおかげか考えたい『Fukushima 50』

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:10/47
⠀ ⠀ ⠀ 感動😭:★★★★☆
⠀ ⠀ 悲しみ😢:★★★☆☆
歴史的意義🧐:★★★★★★★★★★

これは日本人として観ておかなければならない映画だと思います。あの日、あのとき、あの場所で、一体何が起こっていたのか。。。

【どんな映画?】

2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震が起きたときに福島第一原子力発電所にいた人たちの様子を描いた映画です。

【感想】

実話ベースの映画というのは決してめずらしくないですし、僕も何本も観て来ましたが、これは当事者感がハンパないです。いや、東北に住んでいるわけではないので、軽々しく当事者などと言っては失礼ですね。。。言いたかったのは、自分が住む同じ日本という場所で実際にあったことかつ、記憶に新しい内容だから、とても身近に感じられたということです。これまで観てきた他の実話ベースの映画とは一線を画すほどです。

命を懸けて福島を、日本を守ろうとした現場の人たちの責任感と勇気の強さや、指示を出すだけの政府や電力会社本店の人たちとの軋轢など、当時起こっていたことを知ることができる貴重な内容ですが、描かれているのは原発の直接的な対応だけではないんですね。

水が出ないことによるトイレ問題や、避難民たちの様子についても触れられているので、原発問題以外のところで当時の生活感を窺い知ることもできます。特にトイレは手作業で排泄物の処理をしなければならないので、これはまた原発とは違った意味で苦労があるかと思いました。。。

当然のことながら、始終緊迫した空気が流れていますが、ずっとそうかと言うとそんなことはなく、わずかながら場がほっこりするようなシーンもあります。でも、そこがまたリアルなんですよね。人間って常に同じ感情を持ち続けられるわけではないので、こういう対照的な感情の場面があると、より人間らしいというか、現実感を強く感じます。

僕も当時のことはニュースで報道されていることぐらいしか知らなかったのですが、この映画を観ると、彼ら現場の人たちのおかげで、いま平和に暮らすことができているんだということを痛感します。

本作は本当に数多くのベテラン俳優が勢ぞろいし、セットも忠実に再現され、さらには邦画史上初めて在日米軍が撮影に協力するという重厚な仕上がりが特徴的で、まるでハリウッド映画のような雰囲気がありました。

あの地震からまだ9年、もう9年、感じ方は人それぞれだと思いますが、第二次世界大戦以降最悪の自然災害として後世に語り継ぐために、これは観ておくべき作品だと思います。

この地震で亡くなったすべての方にご冥福をお祈りいたします。

【3/9追記】

本作はいろいろ事実と異なる部分があり、物議を醸しているようだけれども、実際体を張って作業に当たった人たちがいたのは確かなことで、それがわかるだけでもよいのではと個人的には思います。あくまでも、「事実を元にしたお話」なので、フィクションではあるのだから。少なくとも「映画としては」面白かった。

ただ、記憶に新しい分、事実とは違う描かれ方をしていることに異を唱える人が多くいるのもわかるので、ここはもう各々の感じ方を大事にした方がよいかなと。とはいえ、この映画の内容がそっくりそのまま現実にあったわけではないという認識は持っていてもいいかもしれません。


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