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こんな上司が身近にいてくれたらっていう『幸せへのまわり道』

【基本情報】

 原題:A Beautiful Day in the Neighborhood
製作年:2019年
製作国:アメリカ
 配給:イオンエンターテインメント

【個人的順位】

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:70/116
 ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【あらすじ】

ロイド・ヴォ―ゲル(マシュー・リス)は、優秀な雑誌記者としてキャリアを積み、今は愛する妻と生まれたばかりの子どもと暮らしている。

ある日、ロイドは姉の結婚式に招待され、式場で絶縁していた父・ジェリー(クリス・クーパー)と再会を果たす。ロイドは、家庭を顧みず家族を見捨てた父を許せずにいたため、些細なことがきっかけで手を上げてしまう。

それから数日後、ロイドは編集部の依頼で、子ども向け番組の司会者として人気者だったフレッド・ロジャース(トム・ハンクス)に関する記事を書くため、スタジオを訪ねる。

フレッドは、ひと目見ただけなのに、ロイドの抱える家庭問題や心のわだかまりを感じとるが、ロイドもまたフレッドの不思議な人柄に惹かれていく。

やがて2人は、公私共に交流を深めていくのだった。

【感想】

トム・ハンクスの演じたフレッド・ロジャース、僕は初めて知りましたが、アメリカでは有名な方のようですね。子ども向け番組の名司会者のおじさんっていうと、日本だとグッチ裕三ぐらいしか思いつきませんが、そんな感じでしょうか?(笑)

この映画の魅力は何といってもそのフレッドがとてつもない人格者であることだと思います。もう絶対無理だけれど、僕もああいう人でありたいって思うほどに人間ができてました。。。

決して他人を怒らず、否定せず、いつもおおらかで優しく、悩んでいる人や困っている人を諭すかのように語りかけるんですよ。インタビューしているロイドがいつの間にか自分がインタビューされている感じになりますから。

そして、これが一番大きいのですが、フレッドって「ありがとう」を忘れないんですよね。どんな小さなことにも感謝をして、それを言葉にして伝えるんですよ。スタジオに来てくれたロイドに対してはもちろんですが、ロイドの妻にも「旦那さんを貸してくれてありがとう」と言うんです。こんなの意識してもなかなかできることじゃないですよね。フレッドの妻いわく、努力と訓練で培ったらしいですが、まさに気遣いの鬼(笑)

ロイドは父親に対する長年の恨みが募りすぎてて、なかなか許すことができないのですが、そんなフレッドと会話をしていくことで少しずつその怒りが溶けていくんです。

「君は信念があって、善悪の区別をきっちりつけられる」とフレッドは言いいますが、曲がりなりにも父親とのわだかまりがあったからこそ出来上がった人間だということを気づかせてくれるんですね。

そこから、ロイドは父親とも少しずつ話ができるようになり、育児を妻に押し付けていた考えも改め協力的になっていきます。

特に教訓めいた映画というわけではないのですが、この映画は感情をコントロールする方法を教えてくれたような気がします。それは、原因を突き止めて受け入れること。ロイド自身もかつての父親の振る舞いに傷ついたものの、そんな父との関係性があって今の自分があるということを受け入れられたからこそ、怒りをコントロールすることができましたから。

辛いことって何かと目をそらしたり、変なこだわりが出てきて凝り固まってしまったりするし、歳を重ねると変化というものが難しくなってくるものですが、この映画のフレッドのように親身になって背中を押してくれる人がいるといいなと思いました。

だから、学校の先生や会社の上司など、指導的立場にある人にこういう人がいると、生徒や部下は育ちやすくなるんじゃないかと。

何か怒りが抑えられない人や子供が生まれたばかりの人にはちょっと観てもらいたい作品でした。


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