ミッドサマー

白昼堂々の狂気と衝撃と救済の『ミッドサマー』

鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:2/28
狂気🤯:★★★★★★★★★★
衝撃😳:★★★★★★★
グロ🤮:★★★★☆
怖い😖:★★★★☆

本来は2月21日公開予定なのですが、今回町山智浩さんの解説付きの特別イベントで一足先に観て来ました。

いやはや、、、ものすごい狂気と衝撃でした。。。開いた口がまったく塞がらなくて。。。こんな映画初めてかもしれないです。。。

小さい頃のトラウマで基本ホラー映画は観ないスタンスなのですが、これは予告の時点で真昼間の光景が多く、これなら怖くないかなと思って観に行ったのですが、、、正解でしたね。これは観てよかった。ホラー的な怖さはなく、狂気と物理的なグチャミソした怖さだったので、ギリギリセーフです(笑)

【どんな映画?】

家族を不慮の事故で失ったダニー(フローレンス・ピュー)が、友人たちとスウェーデンの奥地にある村に旅行に行きます。
太陽の沈まない明るい土地で、全身真っ白な衣装に身を包んだ村人たちが温かく迎え入れてくれて、そこで90年に一度の祝祭を体験するのですが、やがて想像を絶する悪夢に遭遇してしまいます。。。

【感想】

とにかく、画がヤバイです。。。ほぼ昼間で青い空と白い雲がまぶしい中、全身真っ白な人たちがいるんですよ。もう「明るさの極み」みたいな感じじゃないですか。そんな中で、常識の通じない理不尽さと、外に助けを求められない閉塞感による刺激的な恐怖が襲ってくるわけです。その対比がものすごい。

また、小さなコミュニティに根付く伝承やしきたりほど怖いものはないですよね。自分たちとはまったく違う世界で生きている人たちの中に入ってしまうと、おかしいということも言えなくなってしまう。そういった徐々に追いつめられる感じが、穏やかで華やかな風景とあいまって余計に怖さを助長するんです。

ホラーというと、やっぱり暗くてジメジメした感じが王道だと思うのですが、今回はその真逆。あんなに明るい中でここまで怖くできるという監督の手腕に驚かされました。

ネタバレは避けたいので詳しくは書けませんが、この物語、最後まで観ると、主人公を救済するような意味合いもあるかなと思います。恋人との関係で埋まらなかった溝を、この村での生活が埋めてくれたという見方もできるので。そういう意味では、ホラーというよりホラー形式のヒューマンドラマとも捉えられなくないかなと思います。そこはもう観た人の考えに委ねるところですが。

さて、今回は町山智浩さんの解説もついていました。初めてです。生で拝聴したの。実をいうと、これだけ映画を観ていながら、町山智浩さんの存在を知ったのはここ1~2年ぐらいの間でのことなのですが。。。でも、あの方ぐらいの幅広い知識があると、映画をもっと深く楽しむことができるだろうなと思いました。どうやったらあそこまでの知識を得られるのだろう。。。

なお、お客さんの質問に応じる形で進んで行くのですが、それを聴いていると、映画好きにはたまらないトリビアがたくさんあってかなり楽しかったです!!いくつか挙げますと、、、

・映画作りの参考にしたのがまさかの日本映画だったりとか(今村昌平監督の『神々の深き欲望』(1968)や『楢山節考』(1983)など)。こんな衝撃的な日本映画ないだろうと思っていたので、ここはびっくりでしたね。

・もともとスウェーデンの映画会社からの依頼なのに実際の撮影はハンガリーだったりとか。ちょっとひどいですね(笑)

・人里離れた村に行く話は、白人が有色人種の未開の部族のところに行くのが王道だけど、今回はあえて逆にしているとか。

・この映画の主人公と恋人の関係は、監督自身のエピソードを踏まえての構成だけど、それもイングマール・ベルイマン監督の『ある結婚の風景』(1973)を参考にしているとか(なお、その映画は『マリッジ・ストーリー』にも影響を与えているそう)。

解説のおかげで映画への理解もより深まって、非常に有意義な体験でした。

一般公開は2月21日(金)なので、これは本当に観て欲しいです。
狂気と衝撃という点では『パラサイト』を優に超えます!!


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