妊婦さんは鑑賞を控えた方がいいかもしれないリアルな男女の胸糞映画『わたし達はおとな』
【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:45/83
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★★★
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆
【ジャンル】
ヒューマンドラマ
【元になった出来事や原作・過去作など】
なし
【あらすじ】
大学でデザインの勉強をしている優実(木竜麻生)には、演劇サークルに所属する直哉(藤原季節)という恋人がいるが、ある日、自分が妊娠していることに気づく。悩みながらも優実は直哉に妊娠と、"ある事実"を告白する。
直哉は将来自分の劇団を持ちたいと願っていた。現実を受け入れようとすればするほど、2人の想いや考えはすれ違っていく…。同じ時間を過ごし、お互いを求めたはずなのに、今はお互いが分からなくなっている…。
2人の出した結論とは…。
【感想】
予告編で観た直哉のモラハラ全開なセリフが印象に残ったので鑑賞することを決めた作品ですが、、、うん、これはなかなか、、、辛いですね。。。
<とにかく言い方に問題アリな直哉>
あの予告だけを観ると、同じ男の目線から見ても、直哉の言い方に「いやー、これはちょっと、、、世の中の女性を敵に回す言い方じゃないか、、、」とヒヤヒヤしますよね。ただ、前後関係がわからないので実際はどうなんだろうと思いましたが、実際に本編を鑑賞しても、彼には「他にもっと言い方があるだろう」強く感じました。
ただ、彼の言っていること自体がおかしいとかっていう話ではないんです。ないんですが、そもそも正しい正しくないの話じゃないんですよ、もはや。また、あの論破してきそうな正論の押し付けと、自らの正当性を誇示したそうな言い方は、少なくとも結婚して長くいっしょにいたいと思わせるには程遠いコミュニケーションの取り方だなあと感じました。しかも、優実は妊娠しており、けっこうつわりがひどい体質っぽそう(よく吐いてたし)なのに、あの接し方かよって。
<直哉ばかりに非があるわけではないが……>
でも、直哉の言い分もわからないでもないんですよ。突然の彼女の妊娠。それによって人生プランの変更を余儀なくされますから。さらに一番難しいのは、「誰の子かわからない」っていう状況です。突然子供ができたことを告げられたものの、それが自分の子供じゃないかもしれないって。これはかなり複雑な心境でしょうね。登場人物はみんな大学生ですから、まだまだ若いですよ。それであんな状況に陥るなんて、なかなか受け入れられるものではありません。
とはいえ、そもそも直哉自身もセックスするときに避妊しなかったのだから、妊娠自体は想定しておけよとは思うんですけどね。あと、優実が他の男性と関係を持ってしまったきっかけも、間接的にですが、直哉が作ったんじゃないかなあと僕は思います。直哉の元カノがかなりヒステリック(その怪演もよかったんですが)で、このままじゃヤバいってんで、何の前触れもなく優実に一方的に別れを告げました。それで、優実は振られた気晴らしで合コンに参加してっていう流れですよ。
結果的に、ほとんど直哉が悪いのではと個人的には思います(笑)どうも彼は言葉足らずというか、自分の主張を押し通したいところがあって、劇中では明確なシーンはないものの、多分短気なんですよね。優実に「すぐ怒るじゃん」って言われていたので。そこもまた、うまく2人でコミュニケーションを取れなくする要因なのかなと。もちろん、優実がまったく悪くないわけではないですが、、、直哉がもう少しいろいろ丁寧だったら防げたことはたくさんあるかもしれません(笑)
<ラストの終わり方が好き>
そういう男女のリアルないざこざをメインにしながら、どういう結末を迎えるのかっていうのがこの映画の醍醐味なんですけど、個人的にはラストシーンが好きでした。「どんな絶望的な状況でも人は腹が減る」っていうメッセージ性に溢れた終わり方でね、「ああ、人間らしいな」って。
<そんなわけで>
映画というよりも、とあるカップルの日常に密着取材したんじゃないかってぐらいのリアリティーある作品でしたね。話は淡々としていますし、時系列が行ったり来たりするので、若干わかりづらい部分もあるんですが、主演2人の演技がすごくよかったです。全体的に胸糞系ではあるので、男女で意見は分かれそうですね。特に妊婦さんが観るとかなり体力を持っていかれそうなので、あまりオススメはしません(笑)カップルや夫婦で観に行くよりは、同性の友達と観に行った方がよさそうです。
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