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私を通り過ぎた参考書たち

春である。
まだまだ寒いが、春なのである。
春と言えば、卒業。
しかし、その前にあるのが受験。
受験と言えば、そう、参考書。
と言うわけで、参考書の思い出など。

小学校の最初の頃は、あまり参考書などを使った記憶がない。
参考書と言うよりは、ドリルが多かったかもしれない。
夏休みや冬休みには、「毎日の学習」、たしかそんなタイトルの問題集を買っていた記憶がある。
学校で売っていたので、多分先生はリベートをもらっていたのだろう。
学校で売ると言うと、僕たちの頃は、学習研究社、学研の「科学」「学習」も学校で申し込んで、毎月先生から受け取っていた。
あれも、多分リベートがあったに違いない。

小学校も高学年になると、僕はお受験のために俄然勉強を始めることになる。
そのための塾にも放課後、電車に乗って通い始めた。
恐らくその頃に人生で最初の参考書と言うものを使うことになった。
それは、受験研究社の「自由自在」シリーズ。
その分厚さは、逆にこれをマスターすればと意欲をかき立てた。
そして、僕は見事、お受験に成功する。

しかし、この中学校は1学期で辞めてしまった。
このことは以前に記事にしている。
後悔の多い人生で唯一、間違っていなかったと胸を張れる決断だ。

さて、中学校では、その頃、参考書界の2大巨頭が君臨していた。
旺文社の「ばらシリーズ」
そして、学研の「ニューコースシリーズ」
僕はニューコース派だった。
「ABCは知ってても、それだけじゃ困ります」の「旺文社カセットLL」も懐かしい。
これは持ってなかったが、英語の勉強に必要というよくわからない理屈をつけて、ラジカセを買ってもらった。
ナショナルMACだ。

中学から高校にかけては、旺文社と学研は何かにつけて張り合っていた。
参考書だけでなく、雑誌も旺文社は「中一時代」から始まる「時代シリーズ」
学研は「中学1年コース」から始まる「コースシリーズ」
「螢雪時代」、「高3コース」をもって僕たちはこの戦いから解放される。
僕は「中一時代」を年間予約して万年筆をもらった。

高校時代は、高3の秋まで、ほとんど勉強らしきことはしていなかった。
教科書も1年間机の中。
それでも落第しなかったのは、野球部だったからだ。
数学のテストで赤点再試験が続出する中、僕は三角ひとつで40点でセーフ。
みんなに見せても、
「ええのおー、野球部は」
それですんでいた時代。
今なら大炎上間違いなしだろう。

高3の秋から受験勉強を始めても間に合うわけもない。
東京で3校、関西で1校、一応受けてはみたがことごとくアウト。
予備校は京都の駿台。
多くの浪人生がそうであるように、そこでの1年間が人生で最も勉強した期間になる。
あれをその後も続けていればと何度後悔したことか。

さて、予備校時代は予備校のテキストが基本。
それに加えて、
「試験に出る英単語」
「試験に出る英熟語」
通称「シケタン」「シケジュク」
これは、ほぼ全て暗記した。
英単語、英熟語では、旺文社の、
「英語基本単語熟語集」
通称「赤尾の豆単」もあったが、こちらはアルファベット順であるのに対して、「シケタン」「シケジュク」は確か頻出順だったと思う。
当時「シケタン」が流行った背景に、そのサイズがジーンズのお尻ポケットにフィットしたことがあるとまことしやかに語られていたが、真相はどうなのだろう。
英語では他に、研究社の「英文解釈教室」
これも例文からなにからほぼ暗記した。

選択科目は世界史を選択したので、まずは山川の教科書を欄外の注にいたるまで丸暗記。
さらには同じく山川の「世界史用語集」

そして、大学受験と言えば、当時の定番は、
旺文社の「傾向と対策」
大学別学部別の過去問を集めた通称「赤本」

参考書の種類も形態も今は変わっているのだろう。
電子書籍になっているものもあるに違いない。
勉強の仕方も変わっているはずだ。
当時は覚えるとなると、とにかく書いておぼえる。
漢字も英単語も、世界史の年号や人名地名、出来事も、すべて書いて書いて書きまくった。
10代の男子が「かく」となると変なことを想像するかもしれないが、あくまでも「書いて」なので、その「かく」ではない。

1日にボールペンを1本使い切る。
最初はBICのボールペンだったが、途中から「見える見える」のゼブラボールペン。
やはり、インクの減りが見える方がモチベーションが上がる。

思考力も応用力もない僕は、得意の精神論で乗り切るしかない。
そんなことで、書いて書いての丸暗記で、僕は念願の東京の大学に合格することができた。

今はそんな精神論に頼らない、もっと効率のいい覚え方があるのだろう。
受験からも、「ようはやる気」の精神論は無くなっているのかもしれない。

ここに書いた参考書の類いが今も健在なのかどうかは確認していない。

若い方には、なんのこっちゃの話だろうが、ある程度の年齢の方には、「あったあった」と盛り上がっていただけるのでないだろうか。

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